【7/26(金)~9/1(日)開催】まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだ ニャゴ! ~ 子どもも大人も一緒に夏の美術館を楽しもう
絵本「11ぴきのねこ」シリーズの作者、馬場のぼる(ばば のぼる)さんを知っていますか。
倉敷市立図書館の利用カードや移動図書館のファミリー号にもラッピングされているので、倉敷市民にとってはお馴染みの絵本キャラクターのひとつかもしれません。
かわいらしい見た目とは裏腹に、ズル賢いチームワークが自慢の「11ぴきのねこ」シリーズをはじめとする馬場のぼるさんの展覧会が倉敷市立美術館に巡回してくると聞いたので、見どころを取材してきました。
2021年から全国を巡回してきた本展覧会、倉敷市立美術館だからこそ見られる展示やグッズもあるので、必見ですよ。
倉敷市立美術館とは
倉敷市立美術館は、倉敷駅から市役所方面に徒歩10分程度、倉敷美観地区にもほど近い倉敷市立中央図書館や倉敷市立自然史博物館などの文化施設ゾーンをなしている施設のひとつです。
旧倉敷市役所庁舎を再利用している倉敷市立美術館は、建築家の丹下健三(たんげ けんぞう)が設計。2020年には国の登録有形文化財に認定されています。
館内では、郷土ゆかりのコレクション展示や特別展を随時開催。冬には倉敷市内の小・中学校すべてが参加する「倉敷っ子美術展」や市内の特別支援学校・特別支援学級が参加する「倉敷っ子なかよし作品展」を開催するなど、子どもたちの美術活動を応援する企画が開催しているのも、特色のひとつです。
「まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだ ニャゴ!」とは
「まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだ ニャゴ!」は、2024年7月26日(金)から倉敷市立美術館で開催される特別展です。今年(2024年)は山陽新聞創刊145周年の節目の年なので、山陽新聞社と倉敷市立美術館で立ち上げられた「まるごと馬場のぼる展実行委員会」と倉敷市が主催で、開催されます。
本企画は、馬場のぼるの没後20年に、アトリエを構えていた東京都練馬区にある練馬区立美術館を皮切りに始まった巡回展です。
子どもから大人まで幅広い年齢層に親しみのある「11ぴきのねこ」シリーズをはじめ、デビュー前の創作活動の軌跡や没後に見つかったスケッチブックなど、大人も楽しめるコンテンツが盛りだくさん。
詳しくは、以下の画像を確認してください。
特別展関連イベント
「まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだ ニャゴ!」は、夏休み期間の開催。子どもから大人まで楽しめる関連イベントも予定されています。
事前申込不要のイベントは、以下のとおりです。
記念講演会
2024年7月27日(土)午後1時30分〜3時には、三階講堂にて「11ぴきのねこ」と馬場のぼる先生 ~本物のユーモアを求めつづけて~と題して、馬場のぼるの担当編集者でこぐま社元編集長の関谷裕子(せきや ゆうこ)さんを招いて記念講演会が開催されます。
参加費は無料で、定員は200人(当日先着順)です。
青森県三戸町から11ぴきのねこがやってくる!
2024年8月3日(土)と17日(土)には、青森県三戸町(さんのへまち)から11ぴきのねこがやってきます。こちらも参加費無料(各回50名)で、写真撮影が可能。スケジュールは以下のとおりです。
・午前10時30分~
・午後1時30分~
・午後3時30分~
・手持ちのカメラでの撮影は、1グループにつき1枚
・撮影は、天候・その他の理由により、中止になる可能性があり
・各回30分前に、1階エントランスホールにて整理券を配布
絵本の読み聞かせ
2024年8月4日(日)、18日(日)、25日(日)には、1階エントランスホールにて、倉敷市立中央図書館司書による馬場のぼる作品の絵本の読み聞かせがあります。
時間は、午前10時30分〜11時です。
巨大塗り絵
会場内には『絵巻えほん 11ぴきのねこ マラソン大会』が設置されます。この巨大塗り絵は、倉敷市立美術館で過去に開催された特別展でも人気のプログラムだったのだとか。
今回の特別展は、倉敷市立美術館の1階と2階を使う大きな展示。途中で疲れてしまったお子さんの気分転換にもなりそうな仕掛けですね。
特別展限定グッズ
「11ぴきのねこ」シリーズは、かわいらしいグッズも魅力のひとつ。私も、自宅の食器やカトラリーに11ぴきのねこグッズを揃える、大ファンです。
「11ぴきのねこ」シリーズのグッズは、書店の絵本コーナーやオンラインショップでも見かけますが、今回はグッズ売り場で実物を見て触れて購入できます。
さらに、倉敷市立美術館オリジナルグッズのデニムバッグも販売されます。こちらは、倉敷市児島地区のデニムブランドBetty Smith(ベティスミス)とのコラボレーショングッズ。
トートバッグもランチバッグもシンプルな作りなので、日常生活でも重宝しそうです。
担当者インタビュー
「まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだニャゴ!」の楽しみかたについて、倉敷市立美術館の尾上真由(おのうえ まゆ)さんに話を聞きました。
──いよいよ、「まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだニャゴ!」の開催が迫ってきましたね。
尾上(敬称略)──
今回は、有名な「11ぴきのねこ」シリーズはもちろんのこと、馬場さんの幼少期の作品やスケッチブックの中身も展示する予定です。
スケッチブックは馬場さんが亡くなられてから見つかった秘蔵のものでして。今回はスケッチブックの中身の一部を映像資料として展示するので、スケッチ一枚一枚をじっくり見ていただける展示になっています。
馬場さんは、幼少期から絵を描くことが大好きだったそうで、たくさんのスケッチが残っています。そのどれもが高い描写力なんです。
この「紙ふうせん」の作品は馬場さんが小学生の頃に描かれた作品なんですけど、紙風船の質感がわかるくらいに、リアルに描いています。
馬場さんのスケッチの魅力は、リアルさだけではありません。どのスケッチもとても楽しそうに描かれているんです。まさに今回の特別展の副題「描いた つくった 楽しんだ ニャゴ!」を体現したようなタッチで。
そういう馬場さんの、描くことや作ることに対するあふれるばかりの喜びを、会場で感じていただきたいと思います。
──こちらの特別展は巡回企画ですが、倉敷市立美術館独自の展示作品はありますか。
尾上──
基本的には、ほかの巡回会場とほぼ同じ内容を展示する予定ですが、せっかく岡山県で開催するのでほかの巡回会場では展示していなかった「ももたろう」の絵本原画を公開します。こちらは倉敷会場特別の展示で、絵本の章の最後にほぼ全編(表紙・見返し以外)を展示しております
7月27日(土)に開催する記念講演会の演者 関谷さんも、馬場さんの絵本「ももたろう」についてお話をしたいとおっしゃっています。今まであまりスポットの当たらなかった作品なので、貴重なお話が聞けると思いますよ。
──特別展にあわせて、イベントも目白押しですね。
尾上──
そうなんです。
事前申込制のワークショップは、募集初日に定員となりました。こちらのワークショップは、お隣の倉敷市立中央図書館さんと一緒に開催します。馬場さんの作品はリトグラフと呼ばれる版画の技法が使われているので、低年齢のお子さんにはスタンプを少し大きいお子さんにはリトグラフを体験していただきます。
倉敷らしいワークショップにしたくて、台紙は屏風型です。作品風になるので、夏休みの制作としても活用していただけるのではないでしょうか。
倉敷美観地区で、毎年秋に開催される「倉敷屏風祭」ってご存知ですか?実はここ、倉敷市立美術館も毎年お祭りに参加しているんです。特別展の会期が終わってからも、子どもたちに屏風や倉敷市立美術館に親しみをもってもらえたらいいなと思っています。
絵本の読み聞かせ企画も、倉敷市立中央図書館さんとのコラボレーション企画です。ワークショップには美術館の職員が図書館へ伺いますが、読み聞かせには図書館の司書さんたちが美術館に来てくれます。
それから、11ぴきのねこも倉敷市立美術館に遊びに来てくれます。当日以外も、倉敷市立図書館のファミリーカーを倉敷市立美術館の前に駐車したり1階エントランス周辺にフォトスポットを用意したりして、馬場のぼるの世界観を写真に撮っていただけるよう準備していますよ。
──特別展の楽しみかたを教えてください。
尾上──
まず、美術館に入った瞬間から『11ぴきのねこ』の世界観が広がります。普段は静かな美術館ですが、特別展の会期中は子どもたちであふれるにぎやかな空間を作りたいと思っているので、気軽にいらしていただきたいです。
展示が進むにつれて、馬場さんのスケッチや立体作品、絵本『ももたろう』の展示に移ります。後半の展示は、少し大人向けの内容かもしれませんが、お子さんは巨大塗り絵を楽しんでいただくこともできますよ。
──最後に、読者へのメッセージをお願いします。
尾上──
副題のとおり馬場さんのユーモアあふれる作品から「楽しさ」を感じられる企画展です。
大人はもちろん、子どもたちに、描くことを、作ることをこんなにも楽しむ作家さんがいることや、描くことや作るのは楽しいんだということを感じてもらいたいです。
老若男女問わずたくさんのかたのご来場を、心よりお待ちしております。
おわりに
私は、前職で特別支援学校幼稚部の教員をしていたこともあり「まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだ ニャゴ!」は、2021年の練馬区立美術館にも足を運んだ馬場のぼるファンです。
子どもたちと何度も絵本を読み、ごっこ遊びをした作品が倉敷市立美術館で見られること、倉敷ならではの展示やグッズ、ワークショップを見られることに今からワクワクしています。作品を読んだことがなくても、どこか懐かしい気持ちになる素敵な作品が目白押しです。
また、普段は静かで少し難しそうな作品の並ぶ美術館が子どもたちのにぎやかな声であふれるのも楽しみのひとつ。お子さんの美術館デビューにもピッタリではないでしょうか。