サイコロを振って運だめし! 新橋『豚屋鳥山』のせんべろセットがお得すぎる!
分厚いポークステーキが売りの新橋『豚屋鳥山』には、15時から注文できるせんべろセットがある。フードやドリンクを専用のコインと引き換えるシステムで、サイコロを振って特定の目がそろうとコインの枚数が増える。鯛の骨蒸しやムール貝の唐揚げなどをつまみに全国各地の日本酒を味わえば、あっという間にほろ酔い気分に。
新橋駅直結の好立地で、昼間から飲むプチ贅沢を
ビジネスパーソンの街として知られ、テレビの街頭インタビューでもおなじみの新橋。駅周辺にはオフィスビルや飲食店が立ち並び、平日は朝から晩まで多くの人でにぎわっている。
新橋駅から地下通路で直結している「新橋駅前ビル1号館」には、個性豊かな飲食店がズラリ。ラーメン、カレー、クラフトビール、日本酒バーなど、あらゆるジャンルのお店が軒を連ねている。同ビルの1階にあるのが、2023年11月に「貝出汁粥 鬼貝」としてオープンし、2024年6月10日にリニューアルした『豚屋鳥山』だ。
同店の看板メニューは、低温調理した肉厚のポークステーキ。なのだが、「鬼貝」の頃から「1000円でべろべろに酔える」せんべろのお店としても人気を博している。店名は変わっても、昼間から気軽に飲めるのは変わらない。
店内はカウンター席のみで、ビル側の出入り口付近にはコンパクトな立ち飲み席がある。平日の夕方に伺ったにもかかわらず、カウンター席はすでに埋まりかけていた。取材を始めてからも、お客さんが続々とやってくる。
取材当日は水曜日。店長の佐藤正幸さんによると「水曜日は会社のノー残業デーとかで早めに飲みにくるお客さんが多い」とのこと。「だから16時頃から結構にぎわいますね。本当に混むのは18時ぐらいからですけど」。
新橋という土地柄ゆえ、お客さんの多くは会社帰りに見える。仕事を早めに切り上げて飲みに行く、その1軒目なのかもしれない。ここで軽く飲んでからハシゴするもよし、サクッと飲んで帰宅するもよし。一人ひとりの滞在時間が短めでお客さんの回転が速いのは、きっとそういうことだろう。
サイコロを振って運だめし。一層お得になるせんべろセット
さっそく、せんべろセット1100円を注文。基本のセット内容はコイン4枚とお通し2品で、このコインをドリンクやおつまみと交換する。そして1セットにつき1回チャレンジできるのが、サイコロを3つ同時に振るゲーム「チンチロリン」。当たりが出ればコインが1~3枚追加される、太っ腹すぎるシステムだ。
まずは、せんべろセットのルール説明から。サイコロを振って、サイコロの目が3つ同じならコインがプラス3枚もらえる。また4、5、6(シゴロ)がそろった場合はプラス2枚、ワンペア(たとえば6、6、3)ならプラス1枚だ。
もしコインが足りなければ、単品のメニューを追加注文してもいい。もちろん、せんべろセットをおかわりするのも手だ。その場合お通しは付かないが、チンチロリンに再挑戦できる。
コインをもらったら、せんべろメニューをオーダー。佐藤さんにイチオシを伺うと、真っ先に挙がったのが、鯛の骨蒸し660円(2コイン)。鯛の頭を兜割りし、湯引きして臭みを取ったメニューで、鯛の下には豆腐が入っている。
「鯛の旨味が出尽くすまで、2、3時間かけて煮込んで出汁を取っています。身が結構多いので、骨や目玉の周りもしゃぶって、うまい具合に鱗をよけながら食べてもらうような、汁物枠ですね。サッパリした味なので、ポン酢をちょっとつけて食べてください」
以前の店名が「鬼貝」だったことからもわかるとおり、同店では貝を使ったメニューが豊富にそろっている。中でも、佐藤さんが「コイン1枚で頼めて人気がある」と語るおつまみが、ムール貝の唐揚げ440円(1コイン)だ。
「ムール貝に関しては、シンプルにおいしく食べるんだったら、唐揚げがいい」と佐藤さん。その言葉どおり、ムール貝の旨味がしっかり感じられる。粒が大きく、ふっくらとした食感もたまらない。
続いて、たまり漬けクリームチーズ440円(1コイン)をオーダー。佐藤さんいわく「ラップに包んで持ち帰るお客さんもいる」ほどファンが多いおつまみだ。
「日本酒でもワインでも合いやすいように、ちょっと甘めのたまり醤油で漬け込んでいる、っていう感じです。たまり醬油は、醤油と酒と牡蠣醤油をブレンドして作っています。チーズをかじりながら日本酒を飲むお客さんが多いですね」
全国各地のちょっと珍しい日本酒がお手頃価格で飲めるのも、同店の強みだ。日本酒に詳しい人ほど、そのコストパフォーマンスのよさに驚かされるはず。
「ウチの社長がすごい日本酒好きで、その時々のいいお酒を買い付けているんです。本来ならもっといい値段しちゃう日本酒が手軽に飲める、っていうのが店の目玉。ラインアップは毎日のように変わるので、それを楽しみに来てくれる方もいます」
あまり手に入らないという3コインの「花邑(はなむら)美郷錦 純米吟醸」も気になるが、今回は「鍋島 特別純米酒(90cc)」660円(2コイン)をチョイス。非常に香り高く、スッキリした甘さと爽やかな酸味が感じられて、各種おつまみとの相性のよさも文句なし。
さらにハイボール550円(1コイン)まで注文して、せんべろセットをとことん味わった。鯛の骨蒸し、ムール貝の唐揚げ、たまり漬けクリームチーズ、鍋島 特別純米酒、ハイボール……最大のコイン7枚なら、これで1100円。こんなにお得なら、おかわりしたくなるのは当然だろう。
スローガンは「面白い飲食店の経営」
サイコロを振って当たりが出ればコインを多くゲットできる。そんなアミューズメント性に加え、こだわりの日本酒が手頃な価格で味わえる『豚屋鳥山』のせんべろセット。これが新橋で受け入れられないわけがない。佐藤さんも「お客さんに喜んでもらっていて、リピーターがすごく多い」と言う。
「ウチの社長は、安くてうまいを追求するエキスパートみたいな感じ」と佐藤さん。一方で「スタッフとしてはヒヤヒヤすることばっかり」と思わず苦笑い。たとえば同店のポークステーキは、「鬼貝」時代は昼のみだったが、店名変更を経て夜にも提供することになった。
「このビル、ランチはすごくにぎわうんですけど、夜の食事処があんまりないんですよ。だから夜にポークステーキをやってみて、どういうふうになるのか見てみたいと。そういう挑戦を楽しむ会社なので、店舗のシステムもいろいろ変わるんです。『え、また変わんの?』っていうぐらい(笑)」
あらためて佐藤さんの名刺を見ると、下のほうに「面白い飲食店の経営」の文字が。つまり、お客さんにとって「面白い店」であるだけでなく、仕事するのも楽しい店ということだ。それから最後に、ヘルニアで腰を3回手術したという佐藤さんへ、心からエールを送りたい。
豚屋鳥山(ぶたや とりやま)
住所:東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館1F/営業時間:11:00~22:30LO(土・日・祝は11:00~20:30LO)/定休日:無/アクセス:JR・地下鉄・ゆりかもめ新橋駅から徒歩3分
構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=上原純
アート・サプライ
編集プロダクション
1971年創業の編プロ。「旅&食&散策」ジャンルに強く、情報誌では子供向けから鉄道やドライブでの大人旅まで。さらにグルメ系ではラーメンや唐揚げ専門情報誌をはじめ、日本全国うまいもの紹介なども手掛けている。