【来て、見て、能登】地震、津波、豪雨。3つの災害の怖さを心に刻むツアー「リブート珠洲 復興ガイド支援ツアー」
2024年元日に北陸地方で突如発生した能登半島地震。特に被害の大きかった能登に同年9月21日、今度は観測史上最大の豪雨が襲った。これらの災害で、町もそこにある暮らしも、以前と同じではなくなった。しかし能登にはいま、地域を前へと動かし続ける人たちがいる。彼らの力で少しずつ復旧、復興が進んでいる。自分の目で、足で、能登のいまを知る旅に出かけよう。『旅の手帖』2025年2月号から、被災地のリアルを知る体験ツアー「リブート珠洲 復興ガイド支援ツアー」に参加した話をお届けします。
地震、津波、豪雨。3つの災害の怖さを心に刻むツアー
2024年元日の地震と津波、9月の豪雨と、3つの災害によって大きな被害を受けた珠洲(すず)市。そこで行われている「復興支援ガイドツアー」に参加してきた。みずからも被災者であるガイドが被災地を案内するもので、2024年7月の開始以来、半年で900人以上が参加、または予約した。
集合場所の見附(みつけ)公園駐車場に行くと、ツアーを主催する「リブート珠洲」代表の篠原和彦さんが待っていてくれた。まずは本日回る場所の紹介を受ける。地震で倒壊した家屋や津波被害跡、仮設住宅、豪雨被害の跡など、珠洲市全域のなかから、参加者の目的などを加味してその日のコースをガイドが決める。
「倒壊した家を見ると、柱から梁が抜けて潰れているのがわかります。柱と梁を金具で留めるとか、筋交(すじかい)を入れることで倒壊が防げたかもしれません」と、被災した建物を見ながら説明を聞けば、耐震補強の重要性を痛感する。
珠洲市宝立町(ほうりゅうまち)は、地震だけでなく、場所によっては約3ⅿの津波に襲われている。鉄骨がひしゃげた倉庫を指差し、津波によって曲がったものだと説明される。鉄骨は地震には強いが、津波にはひとたまりもないことがわかる。
内陸部や外浦へ向かうと、地震に加えて洪水の被害も目の当たりに。下部がえぐられて斜めになってしまった家や、土石流に埋もれてしまった家々など、無情な景色が広がる。
「普段はあまり聞いてもらえない防災の話も、ここに来て私たちが語ることで、みなさん真剣に聞いてくださいます。立て続けに災害が起こってしまいましたが、それを乗り越えていく、防災の先にある安心安全の住まいを考える場所に、珠洲市がなっていけたらと思っています」
避難所での暮らしや困ったことなど、実際に経験した人から聞く話は重みが違う。現地を目にすることで自分ごととなって、「災害に遭ったら?」と、切実に考えるようになる。
たくさんの気づきや学びを得ることができる、いまここでしか体験できないガイドツアーだ。
『リブート珠洲 復興ガイド支援ツアー』
☎090-2111-1785
9:30~・13:30~(要予約)、所要2時間30分〜3時間。1名2000~5000円(申し込み人数により異なる)
石川県珠洲市宝立町鵜飼見附公園駐車場(集合場所)
北陸新幹線金沢駅からバス2時間3分の穴水駅前で乗り換え、バス55分の珠洲鵜飼下車、徒歩20分。送迎および現地での車移動に関しては応相談。
※最新情報はサイト(https://rebootsuzu.com/)で確認
文・写真=若井 憲