「たった一欠片でご飯一杯食べられる?」強烈にしょっぱい塩鮭『ぼだっこ』がSNSで話題
最近、SNSで秋田県の「ぼだっこ」なる食材が話題となっています。一体どんなものなのでしょうか?
SNSで「ぼだっこ弁当」が話題
先日、SNSで「秋田県で売られていたお弁当がスゴイ」といった旨の投稿が話題となりました。
そのお弁当は秋田県内のJA系スーパーで売られていたもので、一見すると白飯に梅干しが一つだけ乗った「日の丸弁当」のようです。価格も150円と非常に安く、おかずを別添えにして白飯代わりに使えそう。
しかしよく見ると、乗っているのは梅干しではなくたった一欠片の焼鮭。なんとこれでおかずもセットになったものだったのです。
ただの塩鮭ではない!
このお弁当は「げきからぼだっこ弁当」という名前で、秋田県のソウルフードである「ぼだっこ」とご飯がセットになっているものです。
ぼだっこは一見すると普通の塩鮭に見えますが、実は非常に塩気が強くなっています。これは紅鮭を大量の塩で漬けるようにして作られた塩鮭で、焼くと表面に塩分が析出するほど。
そのため「一欠片しか乗っていない」というより「一欠片だけで白飯が十分に食べられる」というシロモノなのです。
ぼだっこ弁当自作してみた
筆者も先日秋田県に行く機会があったので、ぼだっこ弁当の実物を見てみようと思ったのですが、駅近くのスーパーでは見かけることがありませんでした。しかしぼだっこそのものは市販されていたので、購入してお弁当を自作してみました。
ぼだっこは一般的な塩鮭カットのものと「秋田切り」と呼ばれる拍子木状に切られたものがありましたが、「激辛」は前者のみだったのでそちらをセレクト。家のグリルで焼いてみると、あっという間に真っ白に塩が吹き出します。
一欠片だけ千切って白飯の上に乗せ、食べてみると、確かに強烈にしょっぱいものの、その塩気の間から濃縮された紅鮭の美味しさがブワッと膨らみます。塩気と味の濃さで、箸の先でつまんだだけの量で一口の白飯が美味しく食べられました。
寒い冬の間食べ続ける保存食として愛されてきたぼだっこ。強い塩気で魚の旨味を濃縮する手法は他の魚にも応用できるので、好きな魚で作ってみるのも良いかもしれません。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>