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【ミリオンヒッツ1994】300万枚突破!竹内まりや2枚目のベストアルバム「Impressions」

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1994年07月25日 竹内まりやのアルバム「Impressions」発売日

リレー連載【ミリオンヒッツ1994】vol.15
Impressions(アルバム)/ 竹内まりや
▶ 発売:1994年7月25日
▶ 売上枚数:306.7万枚

テレビ出演がほとんどなかった90年代の竹内まりや


1994年にリリースされた、竹内まりや通算2枚目にあたるベストアルバム『Impressions』。コラムを書くにあたり、本作がリリースされた頃の印象を思い出そうとしたが、幼少だったこともあり、さっぱり思い出せない。楽曲のことならよく知っているのに、アーティスト本人に対しての印象がすっかり抜け落ちているのだ。そこで、“あぁ、そうか” と気がついた。

竹内まりやはテレビの歌番組に一切出ていなかったので、幼かった筆者にはアーティストの情報がまったくなかったのだ。情報は歌声とモノクロのジャケット写真だけ。最初に動く姿を見たのはおそらく1998年のシングル「カムフラージュ」のミュージックビデオで、そのあとは2007年のアルバム『DENIM』のリリース直前に出演したNHKの『SONGS』になる。それが26年ぶりのTV出演だったというから、1981年以来テレビには出ていなかったわけだ。

その『SONGS』を契機として少しずつメディア露出が増え、2019年の年末には『NHK紅白歌合戦』への出場も果たした竹内まりや。そんな現在の状況はあるにせよ、90年代、特にこの『Impressions』がリリースされた時期の彼女は、筆者にとって完全に謎めいた存在だった。そう、『Impressions』がリリースされた時期は、夫である山下達郎が言うところの “シンガーソング専業主婦” を実践していた頃にあたる。

オリジナル歌手のイメージを刷新した「REQUEST」のセルフカバー


『Impressions』に収録され、日本テレビ系『火曜サスペンス劇場』の主題歌になった「シングル・アゲイン」と「告白」は平成に入ってすぐのヒットで、幅広い層のファンを取り込むことに成功していた。また、1987年のアルバム『REQUEST』から選ばれた、河合奈保子「けんかをやめて」、薬師丸ひろ子「元気を出して」、中森明菜「駅」といった提供曲のセルフカバーも、オリジナル歌手のイメージより竹内まりやのほうが強く印象づけられていた。

ここで筆者の個人的な笑い話をひとつ。この『Impressions』に収録されている「家に帰ろう(マイ・スウィート・ホーム)」は、1992年にリリースされた楽曲で、坂井真紀が出演していた『エステティックはTBC』のCMに使われていたのだが、ベスト盤がリリースされた1994年には藤谷美和子と中井貴一が出演する『日産セフィーロ』のCMにも使用されることになる。

一度は別の企業がCMに採用した楽曲を再度使用することに対して、日産側が配慮をしたのだろうか? TBCではサビの部分が使われ、日産では歌いだしの部分が使用された。どちらのCMでもテロップには “SONG BY 竹内まりや” としか出ていなかったので、フルコーラスを聴いたときには驚いた。それまでずっと、別々の曲だと思っていたからだ。

ちなみに、1994年の日産セフィーロのCMシリーズは菊池桃子とラサール石井、山口智子と竹中直人という、もう2組のカップルも登場するバージョンもあり、そこにも、このベスト盤に収録されている「純愛ラプソディ」と「もう一度」がそれぞれ使用されていた。もうほとんど『Impressions』のCMみたいなものである(笑)。

キャッチーな曲調がCM向きだった「マージービートで唄わせて」


さらに、1984年のアルバム『VARIETY』から選曲された「マージービートで唄わせて」もイントロの短さといい、いきなりサビから入るビートルズ・リスペクトな曲の構成といい、そのキャッチーさはCM向きだ。実際、車のCMで聴いたような記憶があったのだが、いくら調べてもそんなCMはなく、どうやら筆者の勘違いだったらしい。それくらい本作の収録曲には耳馴染みがあった。

本作リリースの翌年、1995年のシングル「今夜はHearty Party」では木村拓哉との共演が話題になり、冒頭に書いたようなメディアから距離を置いたスタンスも少しずつ緩和されるようになる。この曲にユーロビートを取り入れたことは意外な気もしたが、それはやはり『Impressions』の選曲が、安定感のあるスタイルを集大成した選曲だったからだろう。

ちなみに、シティポップ・ブームの火付け役として再評価された「プラスティック・ラブ」がこのベストアルバムに入らないのは意外なこととは思わない。90年代半ばは、80年代のサウンドが少し時代がかって聴こえていたように思うし、本作でまとめられた温かみのあるサウンドの楽曲とは世界観が違っているからである。

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