日本で見つかる不思議化石、異常巻きアンモナイトとは?【眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話】
異常巻きアンモナイト
デタラメじゃない?日本で見つかる不思議化石
誰もが知っている古生物としてやはりアンモナイトは欠かせません。アンモナイト類は古生代デボン紀にオウムガイの仲間から進化して分かれたグループで、平面的ならせん状に巻いた殻の化石が有名です。
ところが中生代に入ると、この殻が奇妙な形になる種が現れます。いわゆる異常巻きアンモナイトです。
その代表的な種が中生代白亜紀後期に登場するニッポニテスです。北海道やサハリンなどで見つかる化石で、東北帝国大学の矢部長克先生が、東京帝国大学在学中である1904年10月15日に新属新種として報告し、この名がつきました。
U字が立体的に組み合わさった、まるでデタラメのように見える形ですが、1980年代にコンピュータをつかったシミュレーションで規則性が確認されています。日本を代表する化石として日本古生物学会のシンボルマークになっており、10月15日は「化石の日」です。
プラビトセラスも白亜紀後期の異常巻きアンモナイトのひとつです。S字の殻は、搭のように巻いたり、平面に巻いたりしてから、最後は逆方向に巻きます。成長するにつれて巻きかたが変わっていくと考えられています。日本の淡路島、徳島県の鳴門周辺でのみ見つかっていましたが、最近北海道でも発見されました。
ポリプティコセラスは異常巻きアンモナイトのなかでも、完全に巻きがほどけてしまったような楽器のトロンボーンに似た形の殻をもつ種です。ニッポニテス、プラビトセラスと同じ白亜紀後期に登場しました。北海道からは、比較的多く見つかる異常巻きアンモナイトです。
異常巻きの世界
ニッポニテス
中生代
白亜紀後期
軟体動物 頭足類
アンモナイト類
日本の名前がついている化石のため、日本古生物学会のシンボルマークになっている。
いろいろな白亜紀アンモナイト
ポリプティコセラス
プラビドセラス
ノストセラス
メヌイテス
スカラリテス
どのアンモナイトも数式で計算できる規則的な形。“異常”とはいうもののこれが正常な状態だ。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』代表監修:大橋 智之