博多の粋とモダンライフが交差する街 ─ 山笠が駆け抜ける「博多部」エリアの魅力
博多祇園山笠が今年もいよいよ7月1日から15日に開催!豪華絢爛な飾り山と勇壮豪快な舁き山笠、水法被に締め込み姿の男衆で博多の街は祭り一色に染まります。今回はそんな博多祇園山笠の開催エリアに注目し、街の新たな発見や暮らしの魅力についてリサーチしてみました。
山笠が駆け抜けるのは博多の街中!都心にいながら伝統を感じる
博多の街が一年で最も熱くなる季節が到来しました。しめ縄や提灯、飾り山笠を建てる白いテントが街のあちらこちらで見られるようになり、街全体がどこか浮き足立っているかのようです。やがて「オイサ、オイサ!」という威勢の良い掛け声と共に、勇ましい舁き山笠が博多の街を駆け抜けます。
その興奮と迫力を間近で感じられるのが、山笠の「七流」がある「博多部」と呼ばれるエリアです。博多祇園山笠の伝統が息づき、歴史と文化が色濃く残る一方で、現代的な快適さを追求したマンションも点在しています。古き良き博多と新しい暮らしの心地よさが交錯する、それが博多部エリアの魅力です。
博多の夏の風物詩!博多祇園山笠の歴史と魅力をおさらい
鎌倉時代に疫病退散の祈りを込めて始まったとされる博多祇園山笠は、現在、博多の総鎮守である櫛田神社に奉納される神事として執り行われています。博多っ子の生活に深く根ざし、「追い山笠が終わると博多に夏がやってくる」と言われるほどです。今年で784年という長い歴史を誇り、2016年(平成28年)にはユネスコ無形文化遺産にも登録されました。
期間中は市内13箇所に博多人形師が手掛ける飾り山笠が設置され、祭り後半には博多の街で各区域(東流・中洲流・西流・千代流・恵比須流・土居流・大黒流 ※全七流)ごとに個性豊かな舁き山笠が登場し、街を駆け巡ります。
中でも圧巻はフィナーレの「追い山」です。7月15日早朝4時59分に開始し、重さ1トンを超える舁き山笠が沿道からの「勢い水」を浴びながら疾走する様子は迫力満点です。男たちの魂がぶつかり合う熱気と、山笠の芸術性に魅了されることでしょう。
スケジュールとみどころをチェック!〜山笠イベントカレンダーとルート
博多祇園山笠の期間中には、さまざまな行事が行われます。押さえておきたい見どころをピックアップしました。
・飾り山笠一般公開/見物(7月1日〜7月14日)
博多祇園山笠は7月1日から開幕し、博多部を中心に合計13基の飾り山笠が公開されます。
令和7年の飾り山情報はこちらをご確認ください。
https://www.hakatayamakasa.com/170060.html
・流舁き(7月10日・14日夕刻)
各流れがそれぞれのホームグラウンドである流区域内を舁き回り、山笠を街にお披露目します。
・追い山笠馴らし(7月12日15時39分から)
フィナーレの「追い山笠」の予行演習です。本番とほぼ同じコースを短縮して走ります。
・集団山笠見せ(7月13日15時30分から)
7つの流の山笠が一堂に会し、博多の街を飛び出してかつての城下町である福岡地区に乗り入れる貴重な日です。
・追い山笠(7月15日4時59分から)
博多祇園山笠のフィナーレを飾る行事です。各流が櫛田神社をスタートし、博多の街を駆け抜けます。
ルートはこちらをご確認ください。
https://www.hakatayamakasa.com/162155.html
山笠の舞台「博多部」はどんな街?追い山笠ルートを歩いてみた
博多祇園山笠の舞台となっている博多部の街は、神社仏閣や古い街並みが残る中に、単身者用マンションやオフィスビル、飲食店などがひしめくエリアです。伝統的な街並みと現代的な住環境が混じり合うエリアの魅力や暮らしぶりを知るため、追い山のルートを実際に歩いてみました。そこで発見した気になるスポットやおすすめのショップと共にご紹介します。
①櫛田神社(出発点)
櫛田神社は「山留め」と呼ばれる、追い山笠のスタート地点です。境内では舁き山笠が通る「清道」とその中央にある「清道旗」を見ることができ、山笠期間中はこの周りに桟敷席が設けられます。
②国体道路〜大博通り
櫛田神社を出ると、程なくして博多の街へ。これまでの雰囲気とは一変し、国体道路沿いにオフィスビルやマンションが立ち並ぶ都会的な景色が広がります。やがて博多駅から福岡サンパレス方面へ続く大博通りと交錯し、通り沿いに鎮座する「東長寺」がお目見え。博多駅から徒歩10分ほどの都心で、博多の歴史を強く感じられます。
③御供所町
大博通りから一本奥へと入ると途端に景色は変わり、「御供所通り」の静かな街並みが現れます。
「聖福寺」を筆頭に由緒ある寺院が点在し、その周辺には古くからの家や商店が軒を連ねており、どこか懐かしい雰囲気を体感できます。昔から商業地として栄え、現在でも古くから続く商店が現存しています。
④上呉服町
古くからの住人が多く下町の風情が色濃く残る地域ですが、オフィスビルや高層マンションも点在。24時間営業のスーパーもあり、暮らしにも便利なエリアです。御供所町と同じく、かつては商人の街として栄え、古くからの商店が健在です。現在は営業していませんが、レトロな銭湯跡も見つけました。
そして地下鉄呉服町駅付近は、飲食店がひしめくエリアです。1954年(昭和29年)創業の老舗うどん店「みやけうどん」といった名店もあります。
⑤中呉服町〜下呉服町
東町筋を進むと、福岡都市高速道路・呉服町出入口に続く昭和通りに差し掛かります。横断歩道を渡って中呉服町から下呉服町へ行くことができますが、ここで気になる光景が。追い山のルートに、ガードレールが設置されているではありませんか!
山笠を担いでここを乗り越えて横断するのかと思いきや、当日はガードレールを取り外して通行できるようにしているそうです。このエリアも大通り沿いにオフィスビルやマンションが立ち並ぶ一方、通りから一本中へ入った東町筋にはどこか懐かしい街並みが続きます。
⑥奈良屋町
豪商の「奈良屋九兵衛」が住んでいたことに由来する奈良屋町。こちらも御供所町や呉服町エリアと同じく、大通り沿いにはビルやマンションが多く都会的な雰囲気を感じる一方で、道を一歩入ると古い街並みが広がります。
子ども山笠に参加することで知られる「博多小学校」や、屋台からスタートした人気の居酒屋「須崎屋台かじしか」などのスポットがあり、地域の暮らしを肌で感じることができます。
ここで、井戸と石像のある気になる史跡を発見しました。ここは「大同庵跡・古渓水」と呼ばれる史跡で、“博多の火除けスポット”として大切に保存されているようです。
⑦冷泉町
古い商店や民家が点在する昔ながらの風情の中に、オフィスビルや単身者向けマンションが入り混じるエリアです。
博多祇園山笠の「西流」の地域とあって、期間中は街のあちらこちらで法被を着た男衆に出会うことができます。
そんな街の中、上西町通り沿いのマンションの隣で「勢い水処」と書かれた看板を発見!
「勢い水」とは「きおいみず」と読み、山笠や舁き手にかける水のことを言います。このあたりは路地が狭く、山笠最大の難所がある場所なのだそう。追い山当日は、マンションを一歩出ると勢い水が思い切り飛んでくるかもしれません!
⑧須崎町
追い山笠のゴール地点「廻り止め」がある、博多祇園山笠にとって重要なエリアです。博多祇園山笠に関連した店舗が点在しているのも、このエリアの魅力です。
こちらは、博多祇園山笠のグッズや用品が揃う店「ハンダ」。店頭に座る、法被姿のキューピーちゃんがなんとも言えない可愛らしさ!
おすすめ立ち寄りスポット
石村萬盛堂本店
須崎町の「廻り止め」地点に佇む創業120年を迎える老舗菓子店。店舗の2階には追い山笠の計測所があり、1年間を通して7月15日の追い山笠の早朝だけ開き、櫛田神社の神職、宮総代、幸田時計店の計測係のみが登ることができるそうです。
ちなみに追い山笠当日は、開始時間に合わせて早朝5時頃から営業されているそうです。
そして「石村萬盛堂」と言えば、マシュマロ生地で黄身餡を包んだ博多伝統のお菓子「鶴乃子」が有名ですが、本店では限定でマシュマロ生地を使ったスイーツ「つるのこのこ(750円)」を味わえるのが醍醐味です。できたてのふわふわ&プルプル食感が楽しい新感覚スイーツと共に、博多祇園山笠の歴史を感じてみてはいかがでしょうか。
石村萬盛堂本店
住所:福岡市博多区須崎町2-1[map]
電話番号:092-291-1592
営業時間:10:00〜19:00(つるのこのこ工房は〜18:00)
休み:第3水曜日
Instagram:@ishimuramanseido
山笠エリアで暮らせば、徒歩数分で祭りの熱狂の中に!
博多祇園山笠が始まると、マンションの扉を開けた瞬間から祭りの熱気に包み込まれます。エネルギッシュな男たちのかけ声、空気を震わせる太鼓の音、祭り一色に包まれた街の活気。博多駅に近い好立地で都会的な生活を送りながらも、博多の伝統や文化を肌で感じられるのが、山笠エリアでの暮らしの最大の魅力と言えるでしょう。