【登録者数39万人超のYouTubeチャンネル】92歳祖母の「心豊かに暮らす方法」
登録者数39万人超のYouTubeチャンネル「Kuro―北国の暮らし」から生まれた書籍『北国の暮らし 今を豊かに生きる家しごと庭しごと』(KADOKAWA)。動画に無言で登場する、Kuroさんの67歳母と92歳祖母が、この本で初めてご自身の暮らしや秘訣について語っています。庭仕事に精を出し、日々の暮らしを慈しむ「始末のよい暮らし」は、まさに未来への種まき。北国の大地で培われた、穏やかで豊かな暮らしのヒントが詰まっています。日々の生活をより健やかに過ごすための知恵を、ぜひ本書から見つけてみませんか。
※本記事はKuroによる書籍『北国の暮らし 今を豊かに生きる家しごと庭しごと』から一部抜粋・編集しました。
好きなものと暮らしています
今の住まいに引っ越してきたのは、50年以上前になります。
それまでは同じ町内で、大姑や姑、小姑、住み込みの店員、お手伝いさん、子守など10人を超す大所帯で暮らしていました。
北海道の冬は、厳しい寒さの屋外と、半袖で過ごせるほどあたたかい室内、というイメージを持つ方が多いでしょうが、それはごく最近のことです。嫁いだ当時の北海道の住宅には断熱材や二重窓はなく、大所帯の家の中でもストーブがあるのは居間だけでした。
だから、店舗と住居を分ける計画が持ち上がったときは、あたたかい家にしたいと思いました。家の設計中は「どんな間取りにしようか」「居間は日の当たる明るくてあたたかい部屋にしたいね」など、毎夜夫と図面をひきながら相談し、本当に楽しく幸せな時間を過ごしました。夢にまで見た新居での親子水入らずの生活も嬉しかったです。
玄関にも好みのものを置いています。
家具にはこだわりました。私の両親は大正8年から昭和2年まで西本願寺の開教師として約10年間ハワイに滞在し、帰国してからも現地から持ち帰ったベッドや彫刻が美しい鏡やドレッサー、緑のベルベットのチェアなどを使っていました。暮らしの中に溶け込んで、子ども心にも素敵だなあと思っていたことから、洋風のクラシカルな家具を置きたくて、老舗百貨店の家具を少しずつ買い揃え、今も愛用しています。最初に自分が満足できるものを選んだら、ずっと何十年も楽しめます。
家具が家に届いたら、まずは、テーブルの裏など見えないところに墨で年月日を書くようにしています。そうすれば、いつ買ったかわかりますし、買った当時のことを鮮やかに思い出せます。今も、昭和43年の置き時計や平成4年のテーブルなどを使っています。ずいぶん長い期間、この家でいっしょに過ごしているんだと思うとしみじみします。
YouTube にも登場している置き時計。
通信販売のカタログも大好きです。Kuroの母である娘からは、「このカタログは、行かなくても買えるお母さんのデパートだね」と言われますが、この一冊の中に、家具も食器もアクセサリーも紹介されており、カタログを見ているだけで楽しく、時間が経つのを忘れて眺められます。モネのひなげしの絵が美しい楕円形のお盆や、ゴールドの壁掛けの鏡、木彫りの小箱、弦楽器のハープをかたどったブックエンドなど普段使いできる小物類は、家具とマッチするものにしたいと思い、英国の通販カタログから見つけました。
どの品も、考えに考えて買うから、お買いもので失敗したと思ったことはありません。実際、どれも美しくて、造りがしっかりしているから、今までずっと使い続けています。
家の中に絵や写真を飾るのも好きです。YouTubeの動画で映ることの多いリビングの窓際に飾ってある女性の絵画は、フランスの画家・カシニョールの作品です。ちょっと大きなサイズだから、こういうところにあると映えるんじゃないかしらと思って飾りました。
カシニョールの女性画。
絵が好きなので、トイレの壁にも作家の小品などを並べ、プチギャラリーとして楽しんでいます。5センチほどの小さな絵や絵はがきは大きめの額縁に収めると驚くほど見映えがします。ひとり暮らしでも、美しくて好きなものに囲まれていると心まで豊かになります。
絵を飾ったら殺風景なトイレの壁が素敵な空間に。
とにかくおしゃれ! おばあちゃんはセンスの塊 次兄より
僕が生まれて以降、50代からの祖母しか知らないけど、子どものときからしゃれたおばあちゃんだなぁと思っていました。持ってるものはもちろん、生き方自体にセンスがあるような気がします。
お買いものが大好きな祖母の家に行くたびに、ものが増えているのはご愛嬌かな。「また、買ったの?」と聞くと、「そうなのよ~」と満面の笑みで答えます。いろいろ買っているけど、全部大切に使っていて、「どれも捨てられないの」と言っているのも祖母らしいです。