大浦千佳、初舞台の市川蒼ら出演で〈ドイツ・ヒロイン三部作〉第二弾『ルル-地霊・パンドラの箱-』を上演 演出は深作健太
2024年12月18日(水)~12月22日(日)シアター・アルファ東京にて、『ルル-地霊・パンドラの箱-』が上演されることが決定した。
本作は2021 年よりドイツ戯曲を立て続けに7作品上演した深作組による〈ドイツ・ヒロイン三部作〉第二弾。
『ルル』は、『地霊』『パンドラの箱』の二篇から成る、時代に翻弄されながら、男たちを破滅させてゆく娼婦〈ルル〉の、愛と堕落を描くフランク・ヴェデキントの野心作。この傑作を、深作組作品の翻訳で第16回小田島雄志・翻訳戯曲賞を受賞した大川珠季が新たに翻訳し、演劇やオペラ、映像作品など多彩なジャンルで活躍する深作健太が、今までの作品同様、現代社会が抱える問題をえぐる挑戦的な演出でおくる。また、舞台上で、音楽の西川裕一があらゆる楽器を操り、心象風景を奏でるのも見どころのひとつ。
出演は、男たちを次々と虜にしていく主役ルルに、深作組では『火の顔/アンティゴネ』(2023)などに出演した大浦千佳、ルルと兄妹のように育つアルヴァ役に、今作品が初舞台の声優・市川蒼、シゴルヒ役に映像や舞台で活躍する萩野崇、そして深作組常連の宮地大介、七味まゆ味、葉山昴、小田龍哉、小林風花というキャストが集結した。
さらに今回、19日(木)18:30 回、及び20日(金)14:00回終了後のトークセッションの実施も決定。19日(木)は、深作組〈新ドイツ三部作〉第一弾『オルレアンの少女‐ジャンヌ・ダルク-』(2022)と〈ドイツ・ヒロイン三部作〉第一弾『ノラ-あるいは、人形の家-』(2024)で主演をつとめた夏川椎菜をゲストに迎え、演出・深作健太が参加するゲストトーク、20日(金)は、大浦千佳、市川蒼と、翻訳・大川珠季、演出・深作健太によるアフタートークを行う。詳細は公式サイトにて。
自由を求めた女の〈その後〉を描く本作品に期待しよう。
【STORY】
第一次世界大戦末期、ベルリン。
新聞社役員シェーンは、浮浪児ルルを自宅に連れ帰り、美しい女性に教育した。
謎の男シゴルヒ、老医師ゴル、画家シュヴァルツ、曲芸師ロドリーゴ、熱心な少年フーゲンブルクら、次々とルルに魅かれては、破滅してゆく男達。
やがて嫉妬に狂ったシェーンは、ルルに銃を向けるが、返り討ちとなる。
投獄されたルルは、レズビアンの伯爵令嬢ゲシュヴィッツ、幼馴染のアルヴァらに救出され、パリへと逃げのびる。
そこへ襲いかかる、1929年の〈世界恐慌〉。娼婦として路上に立つようになったルルに、切り裂きジャックのナイフが容赦なく迫る。
世界を覆う次の戦争の影と、〈崩壊〉の予兆……。
大浦千佳 コメント
深作さんに「わたしが、ルル役ですか?!」と何度も伺いました。それくらいに主人公ルルの人間性の掴めなさや、想像を絶するような環境を生きていくハイパーガールを、わたしが?!?! と何度も。有難いことではあるのですが、緊張と不安と少しの楽しみが交錯しています。日本では、オペラや名女優の方々で上演されている『ルル』。深作さんをはじめ、信頼できる共演者やスタッフさんに支えてもらいながら、全力で取り組みたいと思っております。深作版『ルル』きっと観たことのない演劇体験になると思います。
市川蒼 コメント
アルヴァ役を演じさせていただきます、市川蒼です。
声優という職に就いてから初めての舞台ということで、台本に書かれているセリフひとつひとつが今までにない新鮮さを感じさせてくれています。
魅了、翻弄、狂気、破滅。その中に光る純粋さ。ルルという女性と、その生涯に巻き込まれていく男たちをどうぞ劇場でお楽しみいただければと思います。
深作健太 コメント
あまり上演機会の少ないドイツ演劇を、大好きな仲間たちと一緖に。
そんな想いでスタートした深作組も、あっという間に8作品目。
ヴェデキント作『ルル ー地霊・パンドラの箱ー』をお送りします。
この作品は19世紀末の発表当時、何度も上演禁止となった〈問題作〉です。
のちに魔性の女、ファム・ファタールの代表として語られるようになるルル。
しかし現代の視点を持ち込むなら、裏町に立つ彼女は決して悪ではありません。
まるで鏡に映る虚像のように、刻々と姿を変えてゆく大役に、大好きな千佳ちゃんが挑みます。そして最も信頼する声優、蒼くんの初舞台。ようやく御一緒できる萩野さんや、宮地さんをはじめとする深作組レギュラー陣がガッチリ脇を固めます。
今回は物語の背景を、1917年から1933年にナチスが台頭するまでの、二つの世界大戦の時代に読み替えて上演します。
〈新たなる戦前〉といわれる現代。
平和へのささやかな祈りが、少しでもこの残酷な世界に届きますよう。
クリスマス前の、忘年会公演。ぜひ劇場へお出かけください。