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世界的な陸上選手との交流イベントを取材!聞こえる人も聞こえない人も楽しめた理由とは?~TOKYO FORWARD 2025~

Sports

2025年、東京で開催される世界陸上とデフリンピック。陸上競技の世界最高峰の戦いと、世界中の聴覚障がいのあるアスリートによるスポーツの祭典。とくにデフリンピックは、100年もの歴史のある大会であり、その歴史の中で初めて日本・東京で開催されます。
スポーツのおもしろさを体験するだけでなく、“一緒につくる”共生社会へのきっかけづくりとなるような取り組みが東京都を中心に開催されています。

今回は、『TOKYO FORWARD 2025 アスリート交流イベント for KIDS』と題したイベントが、東京都立葛飾ろう学校で開催されました。世界でも活躍した朝原宣治さんをはじめとした、世界陸上関連アスリート・デフリンピック関連アスリートが、ろう者も聴者も混ざった子どもたち計28名(うち、ろう者13名)と交流。このイベントの様子をお届けします。

イベントゲスト

<世界陸上関連アスリート> 黒川和樹選手<デフリンピック関連アスリート> 岡田海緒選手<東京2025デフリンピック応援アンバサダー>朝原宣治さん<東京2025デフリンピック応援アンバサダー> 川俣郁美さん

現役アスリートが楽しみにする東京での“2025年”

それぞれ2025年に東京で行われる世界陸上・デフリンピックにそれぞれ出場を目指す選手も参加したこのイベント。参加した皆さんに、『世界陸上』『デフリンピック』それぞれの魅力を聞いてみます。

世界陸上

黒川)世界陸上は、観客の人数が多く盛り上がる試合です。2025年の東京での世界陸上も、多くの方が楽しんでいただける大会になればと思っています。

朝原)世界陸上は、オリンピックと同じくらい大事な大会です。2年に1度行われる世界陸上は、オリンピックに向けて、世界での自分の位置を知る意味でも非常に重要ですよね。TOKYO2020のときは無観客だったので、是非2025年は満員の国立競技場で陸上を見ていただきたいなと思います。

朝原さんは、デフリンピックアンバサダーとしてのイベントは今回が初めて。「いろいろ教えてもらいながらデフリンピックも盛り上げていきたいです!(朝原)」(©東京都)デフリンピック

岡田)デフリンピックは、ろう者の国際競技大会です。オリンピック・パラリンピックと同じように4年に1度開催されます。デフリンピックが開催されてから100周年という記念すべき大会が東京で開催されるので、たくさん見に来てほしいです!ルールはオリンピックなどと同じですが、スタートランプや旗などを使うような“違うところ”も発見しながら楽しんでくれればいいなと思います!

前回デフリンピック陸上1500m銅メダリストの岡田選手。持ち前の明るさで、イベント全体を盛り上げていました!(©東京都)

川俣)私が初めてデフリンピック選手団に帯同したのは、2017年のトルコ・サムスンでの大会でした。手話がそれそれ国によって違い、音に頼らずに生きている、コミュニケーションを取っている、競技に一生懸命に取り組んでいる姿がとてもかっこよかったです。観客も“見て”楽しんでいる姿が印象的でした。競技面以外でも、いろいろな発見があって。国歌斉唱の場面でも、「この国の手話はかっこいいな」「この国はポップなリズムでいい歌だな」など、世界各国の人たちが集まることでさまざまな発見がありました。

日本財団にてアジアのろう者支援事業のコーディネート等を担当する川俣さん。みんなをリードして楽しい時間を作り出してくれていました!(©東京都)

きこえる・きこえないに関わらず楽しんだイベントに

アイスブレイクでは、声も手話も使わずにコミュニケーションする遊びを実施。「名字のあいうえお順」など、お題に合わせて10数人でジェスチャーを活用しながら順番を考えます。きこえない人にとっても“手話を使わない”コミュニケーションで、目を見て意思を通じ合わせようと一生懸命に取り組んでいました。

選手から直々に!走り方の指導!

子どもたちのみんなに、陸上界のレジェンドである朝原さん、現役選手の黒川選手、岡田選手から走り方の指導!世界トップレベルの選手からのポイント指導は、子どもたちにとってもよい刺激になったのではないでしょうか?

熱心に指導する朝原さん(写真中央)(©東京都)アドバイスをもとにチーム対抗戦!

最後には、もらったアドバイスをもとに再びチーム対抗リレーを実施!明らかに“かっこいい”フォームで走れるようになった子どもたちが、優勝目指して頑張って走りました。すべてのチームが1回目よりもタイムが縮むという素晴らしい結果でした!

子どもたちと一緒に練習をする黒川選手。楽しそうな表情が印象的です!(©東京都)

イベントを終えて

ーー今回、きこえるきこえないに関わらず子どもたちが交流できるイベントでした。イベントを終えてどんな感想を持たれていますか?

川俣)聞こえる人、聞こえない人関係なく、「話したい」「一緒に楽しみたい」という気持ちが子どもたちにあったように感じています。リレーで少しでもタイムを縮めたい、そのためにはどうすればいいのか、と考え、たくさんコミュニケーションを取っていました。同じ目標をもっていれば、みんなで通じ合える方法を見つけやすいのだなと感じましたね!

朝原)私にとって、デフリンピックアンバサダーとして初めて耳の聞こえない子どもたちとの交流でした。最初は不安を持ちながらでしたが、聞こえない子も積極的に伝えようとしていたし、最後はみんな仲良く楽しくリレーができたと思います。スポーツが、これまでコミュニケーションをあまり取ってこなかった関係の子たちにとって、有効な役割を果たすのだと改めて感じました。パラリンピックは一般的にも知られた存在になりましたが、デフリンピックはまだまだ知名度が低いです。今回の大会を機にもっと多くの方に知ってもらえるように頑張ります!

黒川)私自身、これまで小さい子に指導する機会があまりなく、経験も少なかったです。その中で、耳が聞こえない子どもたちにどうやったらうまく伝わるのかを考えましたし、手話通訳さんもついてくれる中でしたが、「どう自分から直接伝えることができるのか?」と考えることがすごく楽しかったです!

岡田)小学生を対象に、聞こえる人と聞こえない人がスポーツを通して交流するこの場がすごくいい機会だと感じました。最初は子どもたちも緊張していたと思いますが、走ること・リレーを通してお互いの壁を壊し、通じ合うことの喜びを感じられたのではないでしょうか。

ーー子どもたちに向けたメッセージをお願いします!

川俣)みんなすごく素敵でした。いろいろな人と話をすることによって、新しい気づき・学びがあったと思うので、どんどん吸収して、どんどん大きくなっていってくれたらうれしいです!それぞれいろいろな「聞こえない」「スポーツが好き」「背が高い」などの特徴があり、だからからこそ気づけることがたくさんあるはずです。これから先、いろいろな人に出会って、たくさんの気づきが生まれることを楽しみにしています。

黒川)昨年の国体の100メートル走で耳の聞こえない選手が出場し、スタートランプを使って一緒に走る場面を現地で見ていました。「耳が聞こえないからできない」などをなくして、みんな一緒にいろいろなことができる社会になっていけばいいなと感じています!

岡田)ほんとに楽しい時間を過ごせて、元気をいっぱいもらえました!気持ちを一つにリレーに挑戦できてよかったです。1人ではできないこともあるけれど、みんなで力を合わせればできることはたくさんあると改めて実感しました。

ーーこれからは2024年パリオリンピック、2025年の世界陸上、デフリンピックへと続いていきます。

黒川)パリオリンピックでは、400メートルハードルで日本人初の決勝進出者となることが目標です。準決勝で日本記録更新を目指し、決勝でも自分をアピールしていけたらと思います。

朝原)2025年の夏に行われる世界陸上では、満員になった国立競技場で黒川選手には決勝レースを戦ってもらいたいですね。その盛り上がりを秋からのデフリンピックに繋げていけるような活躍を期待しています。

岡田)2025年デフリンピックが初めて自国の、それも生まれ育った東京で開催されることに大きな喜びを感じています。いい色のメダルを目指したいですし、できれば『ろう文化』を皆さんにも体験していただければと思っています。

ーーありがとうございました!

みんなで「東京」の手話をしながら記念撮影(©東京都)

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