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日本初のジビエ食べ放題!「猟師工房ドライブイン」を運営する猟師に聞いた “食べ放題にした理由”

ロケットニュース24

食べ放題にも色々あるが「ジビエ食べ放題」というのは初めて聞いた。鹿も熊も何度か食べたことがあるけど、野性味あふれる味と共に印象に残ってるのは価格の高さである。

その希少性ゆえかちょっとの肉で2000円超えるのも珍しくないのに食べ放題! しかも行ってみたら税込2728円ではないか。牛角の平日ランチ食べ放題かよ!! ヒィィィハァァァーーー!

・道の駅マニアが教えてくれた

店の存在を教えてくれたのは、道の駅マニアのYouTuber「拝啓、道の駅から」の2人。スーザンさんが千葉県君津市の道の駅「ふれあいパーク・きみつ」に立ち寄った際に、店を発見し改めてだんぺいさんと2人で動画の取材に行くらしい。

そこで「一緒に行かない?」と誘われたので、とりあえず車に乗ってみた。君津がどこにあるかも知らないけど、夏だし風の吹くままに任せるのも良いだろう。

・千葉の広大さ

東京湾アクアラインを渡って木更津を越えると、一気に田舎の景色に突入する。君津って房総半島なんだ。千葉市までしか行ったことがない私にとって完全に未踏の地

なんとなく千葉って千葉市までなイメージを持ってしまっていたので、房総半島の山の中とか暗黒大陸すぎる。永遠に続くような山道に千葉の広大さを感じずにはいられない。

・山中

分け入るように山道を走ること40分。道の駅「ふれあいパーク・きみつ」に到着した。普段、絶対来ないというか、来ようという発想すら生まれない場所である。

そんな「ふれあいパーク・きみつ」のはす向かいにあるのが例のジビエ食べ放題の店らしい。その名も『猟師工房ドライブイン』。道の駅と同じくらい存在感を放っているので分かりやすくはある。

・ガチ感

店内に入ってみると、まず雑貨屋のようになっていて、毛皮や骨、角など獣の部位だけではなく、罠なども販売されていた。ガチ感が凄い

その中にお土産屋があって、ここには小物や、加工食品、冷凍の獣肉が販売されている。猪、鹿は定番と言えるが、肉の種類が多い

さらには、ツキノワグマ肉スライスやキョンのモモ肉とかまである。キョンの肉が食用で売られてるの初めて見た……! 調べてみたところ、特定外来生物であるキョンが近年房総半島で大繁殖しているという2024年4月の読売新聞の記事がヒットする。色んな脅威があるものだ。

・ちゃんとバイキングしてる

さて置き、レストランの入口はお土産屋の中にあって、確かに「ジビエ食べ放題」はガチなようだ。本日のビュッフェの営業時間は10時~15時で、税込2728円で60分食べ放題になると入口の看板に書かれている。

申し込んだところ、特に待ち時間とかはなく「どうぞ」という感じであった。広々としていて緑が見える窓の向こうの景色がなんかちょっと優雅。

驚いたのは食べ放題のメニューの多さだ。煮物やカレー、ハンバーグはもちろん、ピザ、シュラスコ、炒飯、麻婆豆腐などまである。食べ放題というだけでなく、思いのほかちゃんとバイキングしてるな。

・食べてみると……

さらには、料理の種類が多いだけでなく、ちゃんとウマイ。カレーにはコクがあるし、米は粒が立ってるし、ハンバーグも炒飯も麻婆豆腐もシュラスコも何一つ安っぽさを感じない味。ホテルのビュッフェくらい料理としてのクオリティーが高い

それゆえに、メニューは調理力を生かしたものと、ジビエの肉感が強いものに二分されている。例えば、ジビエポテトサラダ、鹿猪のハニーコーンピザ、猪炒飯、鹿麻婆豆腐、猪だし巻きなどはジビエじゃなくとも食べたい味。

一方、猪シュラスコ、ジビエおでん、鹿ハンバーグなどは、肉の繊維感などが感じられ「ジビエ肉!」って感じ。いずれにしても臭みはないのが食べやすくて良かった。

・運営者の猟師に話を聞いた

良すぎて、お腹いっぱい食べてしまった。ジビエ料理をこんなにお腹いっぱいになるまで食べたのは初めてかもしれない。定食とかあっても大体肉はちょっとだからなあ。

逆に、なぜ食べ放題にしようと思ったのだろうか? ちょうど運営者の猟師の1人である仲村さんと話す機会があったので聞いてみた。

仲村さん「まず第一に、労働力の問題ですね。席ごとに注文を聞くスタイルだとフロアに人手を取られてしまいますが、食べ放題のビュッフェ形式だと料理を出しておけばいいので楽です。料理は残りを見て作るので食品ロスが出ないのも大きい。

害獣を間引く猟師は人の社会にとっては必要な仕事だと思いますが、人以外も含めた全体から見ると、やはり人間のエゴという側面もあるとは思います。そこでせめてもの弔いに命をできる限り利用しようとやっていることなので、ロスを出したら元も子もないんですよね」

──田舎のおじさんがテンションでやってるのかと思いきや、凄い理知的な答えが返ってきてビビった。それもそのはず、後で調べたところ、仲村さんは環境省に認定を受けた有害鳥獣捕獲等事業者『株式会社TSJ』の代表取締役であった。

・猟師だからこそ

そのためか、猟師という職業が消えつつある近年の状況にも危機感を持っているようで、猟師工房には「猟師側にも還元できるビジネスモデルを作りたい」という思いもあるという。

環境と人間。そのバランスへの主張は様々だが、少なくとも私などよりも仲村さんは問題に直面している人であり机上の空論ではない

テンションで来たけど「ハッ」とさせられたその話。猟師をやっているからこその世の中への視点はウマイとか面白いとか以上に心に残ったのだった。

ある意味、共生を感じさせられる猟師工房。全国初というジビエ食べ放題も含めて、非常に興味深いお店である。房総半島の山奥にこんな店があろうとは。やはり房総半島の中心は底知れない。

・今回紹介した店舗の情報

店名 猟師工房ドライブイン
住所 千葉県君津市笹1765-9
営業時間 【ジビエショップ】10:00~18:00※[冬季期間]10:00~17:00
【ジビエビュッフェ】10:00~15:00(14時ラストオーダー)
定休日 水曜日

参考リンク:君津市観光情報、読売新聞
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼イベントの際は食べ放題メニューにキョンが加わるらしい

▼道の駅マニアYouTuber『拝啓、道の駅から』の動画はこちら。中澤もちょっと出演してます。

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