気になる子からのSOSサイン!サポートするために心がけることは?【発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK】
気になる子からのSOSサイン
大人の目線で「気になる」と感じるような言動であっても、子どもの目線に立って考えると、違った側面が見えてくるかもしれません。ここでは、気になる子をサポートするために知っておきたい基本的な考え方に加え、園で出合うことの多い20事例を通して、適切な対応のヒントをお伝えします。
気になる子をサポートするために心がけること
園やクラスに「気になる子」がいたら…?
少しのことでパニックになる、頻繁にトラブルを起こす、いつも同じことで怒られる……。皆さんが働く園やクラスにも、こうして「気になる子」がいるかもしれません。どのように関わればいいか、迷ったり悩んだりしている方も多いでしょう。
こうした子どもたちに対して、大人の目線で「どう導くか?」と考えることも大切ではありますが、それだけでは不十分。大人が困ったと感じる言動は、子どもからの「困っている」というサインでもあるかもしれません。
だからこそ、子どもの目線に立ち「困っていることは何か?」と探り、支える姿勢が大切です。
また、気になる言動がある子を、すぐ発達障害と結びつけるのはNG。医科学的な判断は医師にのみ可能なものであり、しかも成長によって判断が変わっていくことも多いのです。背景に障害があるかどうかにかかわらず、目の前にいるその子に合わせたサポートを心がけることが肝心です。
一人ひとりと向き合うことが対応の基本
「気になる子」と聞くと、ひとくくりに考えてしまいがちですが、子どもは一人ひとり違います。決まった対応マニュアルがあるわけではありませんし、誰かに合っていた方法が、ほかの子にも適用できるとは限りません。
目の前にいる子どもと向き合い、その子に合わせた方法で支援するという意味で、基本的な対応の考え方は、通常の保育と変わらないといえるでしょう。必ずしも考えた対応がうまくいくとは限りませんが、根気よく関わっていく中で、その子への理解や関係性が深まっていきます。
子どもは成長の途中にあり、日々変化していくという視点も忘れてはなりません。
さらに、保育者をはじめとした周囲の大人の関わり方も、子どもの言動に大きな影響を与えます。その子が育つ姿を中長期的な視野でも見守りながら、よりよい発達を促すような働きかけをすることこそ、保育者に求められる大切な役割なのです。
発達段階を振り返ろう
気になる子の言動を考える上では、典型的な子どもの発達について振り返ることも有用です。例えば、子どもが自己を形成していくにあたって、各段階で獲得する判断基準(+よく見られる行動)には次のようなものがあります。
1歳過ぎ~「取る/取られる」
おもちゃなどを取り合い、取られると怒ったり泣いたりする。
2歳前後~「いい/だめ」
自分にとっての「いい」基準をつくり、それに反すると激しく抵抗する
3歳前後~「好き/嫌い」
自分の好きなことが明確になり、それを尊重するように求める。
4歳前後~「勝つ/負ける」
順位を理解できるようになり、勝ち負けの意識が強くなる。
4歳頃~「不安/安心」
見えないものへ不安を感じるようになり、人の感情にも興味を持つ。
5、6歳前後~「善い/悪い」
知識や道徳をベースに物事を判断したり、人を非難したりする。
【出典】『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』著:湯汲英史