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「もう一生学校行かない!」バス通学でこだわり発動?小5自閉症息子が怒った理由は…【読者体験談】

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「もう一生学校行かない!」バス通学でこだわり発動?小5自閉症息子が怒った理由は…【読者体験談】

監修:井上雅彦

鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー

こだわり強めのASD(自閉スペクトラム症)小5息子、怒ると「出ていく!こんな世界嫌だ!」と癇癪

現在小学校5年生の息子は、6歳でASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)の診断を受けています。基本的には優しい性格で、車が大好きです。ただ、許容範囲が狭めで、怒ると大きい声で「出ていく!こんな世界嫌だ!」と言うなど、癇癪が出てしまいます。

また、マイルール=こだわりが強いという面があります。例えば『宿題をしなくてはならない』という、一見(それならいいことなのでは?)と思えるようなマイルールがあるのですが、これは体調不良でも、疲れていても眠くても、絶対に絶対にやらなければならないと決めているので厄介です。宿題がどうしてもできない……となると怒ってしまい、どうにもなりません。

「具合が悪いときはやらなくていいんだよ。やめていいんだよ」と説得しても聞いてくれず、大変です。また、学校では勝ちにこだわり、負けたらその後の授業に参加ができず、教室にこもってしまうこともあります。

そんな息子は、幼稚園の頃からスクールバス通学。バスが好きなのでそれはいいのですが、つい先日、このバス通学に対して息子のこだわりが出て、トラブルがおこりました。

「もう学校行かない!やだ!一生行かない!」突然玄関から聞こえた声

息子は、朝ごはんをのんびり食べがちです。そしてもうすぐバスの時間だと大急ぎで準備をして、時間ギリギリセーフ!が日課なのですが、その日は余裕でごはんを食べ終わり、私は「今日はせかさなくてもいいわ~、良かった~♪」と思っていました。

そして登校準備を済ませた息子が玄関を出た時のことです。「もう学校行かない!やだ!一生行かない!」と、突然息子が大声で怒鳴り散らす声が聞こえてきたのです。機嫌が良かったのに、何事!?私は慌てて息子の様子を見ました。

興奮して、肩で息をしている状態の息子。タブレット、ランドセルを投げて……

わが家の前には道路があり、その道路の反対側にバス停があります。扉を開ければバス停が見えるのですが、その時バスが定刻より早く着いていたのです。どうやら『バスよりも早くバス停に着いていないとダメ』というマイルールがあったようで、バスが見えた瞬間、息子はパニックになってしまったのでした。

息子はすぐ室内に引き返し、手に持っていたタブレットをクッションの上に、そしてランドセルも床に投げました。とても興奮して、肩で息をしている状態です。

室内にいた幼稚園年長の妹は、兄の怒鳴り声を聞きいて両耳を両手で押さえていました。妹は兄が癇癪を起こす様子は見慣れているものの、少し怯えていましたので、私は妹を抱きしめ「大丈夫だよ。バスが早く来てたから怒っちゃったみたい」と伝えました。

その後私は運転手さんのところへ向かい、今日はバスに乗りませんと話しました。バスに乗っていたほかの児童や運転手さんは、何事なのか不思議そうにこちらを見ていました。きっとバスの中でも息子の怒鳴り声が聞こえていたと思います。申し訳ないやらいたたまれないやら……なんとも言えない気持ちでした。

「行きたい」「でもやだ」「こわい」独り言を言う息子。でも、自分で立て直そうとする姿に感動

リビングで怒っていた息子に対して私は「学校行かなくてもいいよ。休んだら?」とだけ言って、あとは何も声をかけずクールダウンするのを待ちました。こんな時にさらに声をかけると、どんどんヒートアップしてしまうからです。私は(仕事は遅刻確定だな……)と諦めました。

息子はしばらく突っ伏したり、うろうろしたりしていました。そして、「行きたい」「でもやだ」「こわい」と独り言をぶつぶつ。怒りでいっぱいだった気持ちが弱くなり、そして自ら深呼吸をして自分を落ち着けているようでした。

その後息子は「学校へ連れていって」と自分から私に言ってきました。私は「分かった」と車で息子を学校へ連れていきました。

今までは一緒に昇降口まで行き、担任の先生に迎えにきてもらって教室に行っていた息子でしたが、今回は「一人で大丈夫」と、車から降りて一人で昇降口へ入って行きました。

こだわりから癇癪を起こしてしまったけれど、その後自分でクールダウンして、一人で学校へ入って行った息子の後ろ姿を見た私は、(小さい頃はこんな風に一人で落ち着けなかったのに……まだ困ったことはあるけれど、息子はどんどん成長しているんだな。すごいな)と、とてもとても感動しました。

そういえば、最近は勝ちへのこだわりも少なくなり、応援したりできる場面も増えたように思えます。いつも気持ちを立て直すことができるとは限りませんが「まぁいっか!」と思えることがどんどん増えていってくれればこんなに嬉しいことはありません。

『バスよりも早くバス停に着いていないとダメ』というこだわりが出て今回はパニックになってしまいましたが、こういうことも今後は少しずつ減っていくのかもしれないなと思った出来事でした。

イラスト/星河ばよ
※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。

(監修:井上先生より)
投稿者の方も書いていらっしゃるように、思わぬ癇癪というものは100%防ぎきることはできません。ですが、なってしまったあとに親御さんも冷静に対処して、ご本人も一人で時間をかけながら落ち着くことができて本当によかったと思います。こうした経験を積み重ねていくことによって、イレギュラーなことに対しても少しずつ対応できるようになっていくことでしょう。年齢を重ねていく中で、一人で落ち着けるスキルを身に付けていけるといいですね。日々の出来事の中では大変なこともありますが、少し長い目でも見ながら子育てしていけるとよいですね。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。

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