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浅野ゆう子の転機となった1曲「セクシー・バス・ストップ」筒美京平ディスコ歌謡の歌姫!

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1976年04月25日 浅野ゆう子「セクシー・バス・ストップ」発売日

浅野ゆう子デビュー50周年を記念するライブを開催


2024年にデビュー50周年を迎えた浅野ゆう子。これを記念して、東京・大阪でデビュー50周年のライブ、YUKO ASANO 50th ANNIVERSARY SHOW『KANSYA』がこの1月に開催される。

浅野ゆう子は1980年代後半から1990年代にかけて、トレンディドラマの女王として活躍。浅野温子と共に “W浅野” と呼ばれ、同世代の女性たちに絶大な人気を誇った女優だが、そんな彼女もデビュー当時はアイドル歌手であった。本人も今回の50周年ライブにあたってのコメントでーー

私ってデビューは一応アイドル歌手だったんだ…」ということにハタと気づきました(笑)


ーーと語っている。歌手活動を休止してから30年以上が経った今、改めて浅野ゆう子の歌手キャリアについて語っていきたい。

1974年、「とびだせ初恋」でデビュー


兵庫県神戸市出身の浅野ゆう子は、1974年5月25日、RCAレコードから「とびだせ初恋」で歌手デビュー。13歳ながら身長166.5センチと、この時代の女性にしては抜群に背が高く、スラリとした肢体、長い足を強調したホットパンツ姿で歌う彼女の姿は人々の目を引いた。この年に日本レコード大賞の新人賞を受賞している。

楽曲はデビューから3作連続で作詞が有馬三恵子、作編曲は4作目の「彼」までが川口真。川口がデビューから手がけた数少ない新人でもある。2作目「恋はダン・ダン」はファンキーなイントロと跳ねたリズムの軽快なポップソウルで、B面に回った「ケンを愛さないで」は、ハイハットとギターの細かい刻みが洗練されたムードを醸し出すソフトロック歌謡。

元フォーセインツのダニー石尾が作曲した1975年の「太陽のいたずら」「青い誘惑」の2連作も含め、初期は本人の溌剌さと背伸びしたキャラを強調する楽曲が多い。この時期の曲では浜圭介の作曲によるフォーク調の「卒業アルバム」が等身大の世界を歌った作品。そして、次の楽曲で浅野ゆう子の歌手キャリアは大きな転機を迎える。

大きな転機だった​​「セクシー・バス・ストップ」


その楽曲とは、1976年4月25日発売の「セクシー・バス・ストップ」。これはもともと同年3月に発売されたインスト曲。ビクター洋楽宣伝部の “ハッスル・ホンダ” こと本多慧の企画で、アメリカで流行している “バス・ストップ” のステップが踊れる曲を、という発想で制作された。作曲家の筒美京平がJack Diamond名義で作曲、覆面ユニット "ドクター・ドラゴン&オリエンタル・エクスプレス" を結成し発表したものである。前年のヴァン・マッコイ「ハッスル」のヒットでディスコブームが始まっており、当初は日本産であることを隠し、洋楽としてリリースされた。

その後、このインスト曲に歌詞をつけて歌わせる企画が持ち上がり、浅野ゆう子に白羽の矢が立った。当初、筒美はインストを歌ものにすることに難色を示していたが、結果、作詞は橋本淳に委ねられ、キーを下げテンポを少し落とし、新たにメロディーが追加された。この曲はオリコンチャート最高12位まで上昇し、浅野ゆう子最大のヒット曲となった。テレビの歌番組で、背の高い男性と小柄な男性の2人を両サイドに置いて歌い踊る浅野の姿をご記憶の方もいるだろう。

浅野ゆう子とシェリーとの競作となった「ハッスル・ジェット」


続く8月25日発売の「ハッスル・ジェット」は、ラテンハッスルというトレンドのダンスを導入。こちらもオリエンタル・エクスプレスのインスト曲を歌ものにして、浅野ゆう子とシェリーの競作となり、シェリー盤は「恋のハッスル・ジェット」のタイトルでリリースされた。浅野盤の編曲は萩田光雄、シェリー盤は船山基紀と、ともに筒美京平作品の編曲では手腕を発揮した2人。萩田編曲はタイトなグルーヴ感があり、船山編曲は音数の多い派手でスペイシーなサウンドと、既に2人の個性の違いが出ている。

ディスコ路線第3弾「ムーンライト・タクシー」


その後、10月にリリースされたアルバム『YUKO IN DISCO』は洋楽カバーも含め全曲ディスコもので固めた傑作。そしてこれに続き、12月5日にはディスコ路線第3弾「ムーンライト・タクシー」をリリース。今回は最初から歌ものとして作られ、バックの演奏をサディスティックスが担当。こちらは、男性グループ C.C.O(獅子王)との競作となった。C.C.Oは横浜地区のディスコで有名なハコバンで、浅野ゆう子のバックバンド的な形で同曲をテレビで演奏したこともあるという。

その後も筒美京平によるディスコ歌謡路線を継続


このディスコ3部作で新たな魅力を発揮した浅野ゆう子は、その後も筒美京平によるディスコ歌謡路線を継続。1977年4月25日発売のシンセディスコ「オー・ミステリー!」はストーリー性のある面白ソングで、間奏にアース・ウィンド&ファイアー「セプテンバー」のフレーズを挿入するなど遊び心満載の1作。そう、筒美京平によるオリジナル曲はすべてディスコ歌謡で、この時期から筒美の手を離れていた岩崎宏美に代わり、浅野ゆう子が筒美流ディスコ歌謡の歌姫であったことを物語っている。

また、彼女のノーブルでクセのないボーカルは、ディスコミュージックとの親和性が高い。欧米のディスコ作品でも、女性シンガーの場合、ビブラートを駆使したりソウルフルに歌い上げるシンガーよりも、ストレートな発声で楽器のように歌うシンガーの方が重用されることが多いのだ。

独特の虚しさや諦念が滲み出ている「ぽつりぽつり」


1977年10月25日発売の「ぽつりぽつり」も筒美の作曲だが、17歳にしては相当大人っぽい内容。伊藤アキラの詞は、夜の酒場で人生を諦めたように呟く男に心傾く女性が描かれ、これを17歳の浅野に歌わせたのも驚きだが、その歌声には独特の虚しさや諦念が滲み出ている。ここからまた、浅野ゆう子の楽曲は変貌を見せる。

続く1978年4月25日発売の「センチメンタル海岸」も、松本隆作詞、馬飼野康二の作編曲による同傾向の作品。湘南が舞台だが、松本隆が湘南を描くと夏の海の、キラキラした開放的な世界ではなく、寂しく儚げな描写になる。男言葉で書かれたその詞には、やはり諦めや孤独のムードが漂う。まだ10代の彼女は、この時期からグッと大人っぽいムードを醸し出してきた。

ディスコインストのカバーといえば浅野ゆう子


1979年4月5日に発表された「サマー・チャンピオン」は、ブラジル音楽の、セルジオ・メンデス&ブラジル’88「Summer Dream」のカバーで、日本語詞を伊達歩(伊集院静)が付け、セルジオ・メンデスの歌詞ありバージョンと競作でリリースされた。トロピカル・ディスコ調の洗練された楽曲で、浅野盤はカネボウ化粧品のCMソングとなりヒット。ディスコインストの歌ものカバーといえば浅野ゆう子なのだ。

ここからグッとセクシー度数を上げ、同年10月5日発売の「ストップ・ザ・カンバセーション」では一夜のラブ・アフェアーらしき男女の姿が歌われた。作詞は小林和子、作曲は筒美京平、井上鑑の編曲。1980年7月5日発売の「沖縄サンバ」は、森山加代子が1976年にニューエレックレコードから発売した楽曲のカバー。

年齢に応じた魅力を発揮し続けていた浅野ゆう子


1980年10月25日に発売された「半分愛して(LOVE ME BY HALF)」は両面とも康珍化作詞、林哲司の作編曲で、80年代に数々の傑作を放った名コンビが初めて組んだ作品でもある。TBSの音楽番組で名高いプロデューサー渡辺正文の依頼で書かれたというメロウグルーヴだ。このように浅野ゆう子の歌手活動は、多くの優秀な作家陣が秀逸な楽曲を提供、初期の溌剌としたアイドル路線、中期のディスコヒット、その後のセクシー系作品と、年齢に応じた魅力を発揮し続けていたのである。

1985年の「NOMBRE NOIR」を最後にリリースは途絶えるが、田中美佐子とのjelly beans名義での楽曲、増田恵子や中森明菜など、同じ所属事務所の女性歌手への作詞提供も記憶に残る。以降はトレンディドラマで人気を博す一方で、巨匠・市川崑監督の常連女優となりスクリーンでも活躍する。

今回のライブは1月18日(土)が大阪・心斎橋パルコSPACE14、1月26日(日)が東京有楽町のI’M A SHOW(アイマショウ)で開催される。ゲストにはAMAZONS。久しぶりに復活する歌手・浅野ゆう子の魅力、そして往年の名曲の数々をぜひその目で体験していただきたい。

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