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「釣り用テントに頭を突っ込みムシャムシャ」草食動物のシカがワカサギを食べると話題

TSURINEWS

仔鹿(提供:茸本朗)

草食動物であるはずのシカが「魚を食べた」ニュースが話題になっています。一体なぜ魚を食べるのでしょうか?

「ワカサギを盗む」エゾシカが話題に

先日、北海道の観光地である阿寒湖で「ヘンなシカ」が現れ、話題になりました。

阿寒湖では冬になると湖面が氷結し、そこに穴を開けて「ワカサギ」を釣ることがさかんに行われます。ワカサギ釣り場には防寒用のテントが並び、そこに現れたのは、まだ生後1年にも満たないと思われるエゾシカの子ども。

ワカサギを狙うエゾシカ(提供:茸本朗)

彼は穴釣り用のテントの中に顔を突っ込むと、突然釣り上げられたワカサギをモシャモシャと食べ始めたのです。びっくりした釣り人が慌てて彼をテントから追い出そうとしますが、全く悪びれる様子もなく食べ続けようとします。

強制的に追い出されたあとも次々と他のテントに現れワカサギを盗み食いし、しまいには帰途につく釣り人が手に持つワカサギを袋ごと奪い取ろうとするなど、好き放題狼藉を働いたのでした。

なぜワカサギを食べるの?

このエゾシカ、昨年頃から阿寒湖周辺で盛んに目撃されていたそうです。もともとは野生環境で暮らしていたそうなのですが、親を交通事故で亡くし、餌を求めて人里に降りてきた、と地元の人は言います。

人里に降りたシカ(提供:茸本朗)

まだ子鹿であることや、国立公園内ゆえに狩猟の対象とならないこと、観光地であるためにヒグマなどの天敵が少ないことから警戒心が薄く、観光客になつくことで餌をもらいながら生き延びたのだそうです。その流れでワカサギ釣り場に現れ、ワカサギを盗み食いするようになったのではないかとされています。

可愛らしい姿と人懐っこさでマスコットキャラクターのようになっていますが、実際は野生動物であることに間違いはなく、触れ合うことでマダニなどの寄生虫や人畜共通感染症のリスクがあります。

また人里に降りることで親同様交通事故に遭ってしまう可能性もあり、現在の姿は決して望ましいものではありません。

消化は大丈夫?

そんな気の毒なところもあるくだんのエゾシカ、一つ気になるのは「シカって草食動物だよね?」ということ。魚であるワカサギを食べるというのは、非常に不思議に思われます。

ワカサギを欲しがるシカ(提供:茸本朗)

しかし実際のところ、シカの仲間が動物性タンパク質を食べる様子は世界中で観察されています。少し前にもSNSで、シカがまるで太い麺を噛みながら飲み込むかのように大きなヘビを食べている動画が話題となりました。

シカのような反芻動物は、4つの胃を利用して食べた植物をエネルギーに変換するのですが、その際に「消化中に増殖した微生物」を消化・吸収します。つまりそもそもタンパク質を消化する力を持ち合わせており、結果として魚のようなタンパク質も(多食しない限りは)エネルギー源とすることができるようです。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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