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新札発行で「タンス預金」がある人はどうすべき?影響とリスクは

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2024年7月、20年ぶりに新札が発行されました。多くの方が初めて手にした紙幣をSNS上にアップしていたのが印象的でした。現在はスマホなどで簡単に情報発信できる一方で、フェイクニュースも問題になっています。一部では「新紙幣発行に伴い旧紙幣の価値が無くなる」といった偽情報に触れて不安を抱える人もいました。

第二次世界大戦後に新しい円が発行された際、新円への両替は上限が設けられたことで旧紙幣の大部分が実質無価値になることはありましたが、今回はその時とは違います。今後も新旧両方の紙幣が流通することになるため、旧紙幣を「タンス預金」をしていても現時点では特に問題はありません。

ただし「何年も旧紙幣のままタンス預金をしていると何らかの影響が生じるのでは?」といった疑問を持っている人もいるようです。そこで今回は新札発行とタンス預金の関係を見ていきたいと思います。

2024年7月に新札が発行された2つの目的

新札発行の大きな目的は偽造防止です。長年同じデザインの紙幣が流通していると、偽造されるリスクが高まります。偽造紙幣が大量に出回ってしまうと、私たちの生活や経済活動に「本物の紙幣かどうか」との不安が広がり、社会活動全般に影響が出てしまいます。そのため20年に1回程度は紙幣デザインが改刷されてきました。

また財務省によりますと、目の不自由な方や外国人への配慮といった「ユニバーサルデザイン」の考え方が世界では一般的になっています。偽造防止機能の強化に加えて、誰にとっても使いやすい紙幣とすることを目指し、今回の新札発行に至ったということです。

こうした背景を考えると、できるだけ早く新紙幣に置き換わることが望まれます。よって、旧紙幣のままタンス預金で保管しておくことは、そういった流通の流れとは逆行することになりそうです。

タンス預金は総額50兆~60兆円との試算

タンス預金とは文字通り「タンスに預けているお金」です。つまり、家の中で保管されている現金のことを指します。実態が把握しづらく統計データ等がありませんが、民間の試算やエコノミストの試算などによると総額50兆~60兆円程度がタンス預金として眠っているようです。こういった大量のタンスに眠る預金が経済社会に出回ると、消費や投資を促進し、経済にプラスの効果が期待できます。

新札発行でタンス預金にはどんな影響が?考えられるリスクは

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では旧紙幣のまま今後もタンス預金を続けているとどんな影響があるのでしょうか。例えば、いずれ旧紙幣の価値が無くなるということも考えられるのでしょうか?

財務省のホームページによりますと、1885年に銀行として初めて銀行券(紙幣)を発行してから、現在までに56種類の銀行券が発行されています。そのうち現在発行している種類のほか、既に発行されなくなった種類を含めて現時点で25種類の銀行券が有効であるということです。

残りの31種類は法令に基づく特別な措置により通用力を失っています。特別な措置は以下、過去3回発動されています。

(1)関東大震災後の焼失兌換券の整理(1927年)
(2)終戦直後のインフレ進行を阻止するためのいわゆる新札切り替え
(冒頭で紹介しています)
(3)1円未満の小額通貨の整理(1953年)

つまり、このような特別な事情がない限り、今後も旧紙幣の価値は保たれることになります。ただし、旧紙幣では不便を感じることが今後増える可能性があります。例えば数年後には自動販売機や券売機が現在の新札のみが対応となっている可能性があります。また既に発行されていない紙幣は、日本銀行の本店や支店でしか両替できないものもあります。このように紙幣の流通という点から見ると、早めに新札に両替しておく方が良さそうです。
参考:日本銀行公式HP

タンス預金のメリットは少ない?デメリットは

タンス預金は金利が付かないため、資産運用の観点から見るとメリットはありません。また、タンス預金をしている間にどんどん物価が上昇すると、実質お金の価値が下落しているということになります。また銀行に預けている場合と比べ、盗難や被災のリスクもあります。

このようにデメリットは少なくありません。あえてメリットを挙げるとしたならば、いつでもすぐに使える現金であるという点や、金融機関が破綻した場合のリスクが低いという点です。万が一、預金していた銀行が倒産すると保護の対象は元本1000万円とその利息までとなっています。数千万円や数億円といったお金を1つの金融機関に預けていると大部分が金融機関の破綻によって戻ってこなくなるというリスクがありますが、タンス預金ではそのようなリスクはありません。ただし、複数の金融機関に分散して預金することで破綻リスクには対処できます。

よって、タンス預金は「このお金は誰にも知られたくない、把握されたくない」という場合に限ればメリットがあるといえます。新札・旧札に限らず、あまり大きな資産はタンス預金にしておかない方が良いでしょう。

タンス預金で相続トラブルも!相続税は要注意

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タンス預金は、相続つまり自分自身が亡くなった際にはデメリットとなり、トラブルの原因になる可能性があります。なぜなら、金融機関に預けている場合に比べ遺族が把握しづらいため、せっかくの資産を残された家族がスムーズに引き継ぐことができないかもしれません。「数年後にようやく見つかった」ということも考えられます。その場合、もしそのタンス預金が新札ではなく旧札だった場合、先に指摘したように紙幣としての価値はあってもその時点で両替などに関して不便を感じる可能性もあります。

また相続税に影響することも考えられます。タンス預金のタンスは隠し場所の象徴としての表現として使われていますが、隠し場所はタンス以外の場合もあります。屋根裏や床下などにまとまったお金を隠しているケースもあるようです。

相続税は亡くなった翌日から10カ月以内に相続人が納税する必要があります。それ以降に見つかると、相続人が複数いる場合はタンス預金をどのように分けるのか?ということはもちろんのこと、相続税の修正申告なども必要となります。

また税金という観点では「贈与税や相続税を払いたくないからタンス預金で隠している」というケースも考えられます。当然、意図的に隠して税金を払わない、税額を下げるということはやってはいけません。税務署の調査が入り指摘されることも考えられます。

タンス預金を新札に替える方法と注意点

もしタンス預金が旧札であれば、新札発行を機に両替をしておくのが良さそうです。両替の際は、両替先の銀行の口座を持っているかどうかによって手数料や両替可能枚数などが異なるので注意してください。基本的に口座を持っている銀行で両替するのが良いでしょう。

また、これを機にタンス預金を止めるというのも1つです。タンス預金をしておくメリットはほとんどありません。よって旧札をそのまま口座のある銀行に預けることも検討してください。ただし取引金額が200万円を超える場合は「犯罪収益移転防止法」に基づき、氏名、住居および生年月日などの確認が必要となるため、タンス預金が高額な場合は注意をしてください。

まとめ~旧札のタンス預金の在り方~

今回の記事の要点をまとめます。

・旧札の価値は変わらず今後も利用できる
・タンス預金はデメリットが多く、あまりメリットはない
・旧札をタンス預金している場合、新札発行を機に両替、または金融機関に預けるといったことを検討してほしい

執筆しながら筆者の財布の中を確認してみると、紙幣は全て旧札でした。先日は全て新札だったのですが…。このように、当面は新札と旧札どちらも流通し、特に不自由を感じることは無さそうです。むしろ、現時点では新札に対応していない券売機などがまだあるようなので、もしかすると旧札の方が便利かもしれません。

ただし、数年経てば新札が流通の中心となりそうです。旧札でまとまったタンス預金をしている人は焦らずゆっくりと対策を考えてください。そもそも「まとまったお金をタンス預金にしている理由」は人それぞれだと思います。ただ新札に両替すれば良いというだけではなく、資産全体、家計全般を見直す機会にもなるかもしれません。

ぜひ「誰にも知られたくない」などと言わず、信頼できる専門家や知人などに一度相談することも検討してみてください。

タンス預金に関するQ&A

Q:新札発行は「タンス預金のあぶり出し」と聞いたことがあります。どういうことでしょうか?

A:タンス預金は国や金融機関が把握することができません。世の中に出回っている通貨量を把握することは金融政策を行う上でも重要ですし、よりお金が出回り、循環していくことも経済にとっては大切です。国は新札発行を機に旧札が投資や消費に回り世に出てくることを期待しているとの見方から、タンス預金をあぶり出すという表現が使われています。

Q:タンス預金をしている場合、税務調査で分からないのではないでしょうか?

A:税務調査は様々な調査ポイントがあり、仮にタンス等に隠していても税務署の担当者が立ち合いの下、発覚することが多いです。租税回避のためのタンス預金はしてはいけません。

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