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伊賀焼作家・山﨑さんの思いかなえる遺作展 名張で27、28日

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自宅に並ぶ山﨑さんの作品を見つめる彰子さん=名張市箕曲中村で

家族が準備 「仲間や地元の方々へ感謝を」

 昨年3月に78歳で亡くなった三重県名張市箕曲中村の伊賀焼作家、山﨑龍芳(本名・芳秋)さんの遺作展が、4月27、28日に市内で開かれる。がん、脳梗塞を患い、体が思い通りに動かなくなってもなお、土と火を愛し続けた山﨑さんを支えてきた家族が一周忌を終え、生前の思いをかなえようと準備を進めてきた。

2011年当時の山﨑さん

 30代のころ、会社勤めの傍ら、近所の陶芸家のもとで学び始めた。元来手先が器用で、あっという間にのめり込んだ山﨑さんは、自宅近くに工房を造ることに。妻彰子さん(80)とともにブロックやれんがを積んで窯を築き、天に昇る火をイメージした「龍」の字を自身の名と組み合わせ、作家名を「龍芳」とした。

 40歳ごろから名張市美術展や全国公募の創造展などに出品して入賞を重ね、2021年には三重県文化奨励賞も受賞。工房で開く陶芸体験教室では、多くの生徒を指導してきた。

 長男の正成さん(56)は「父は1畳ほどしかない中庭で、何時まででもろくろを回し続けていた。私が見よう見まねで器を作っていたら、ろくろを回して少し触れただけで奇麗に直してしまった。ただただ、すごいと思った」と振り返る。

2度の大病越え作陶

 60歳の時、がん治療の後遺症で味覚を失い、唾液が出なくなった。食事量も減り、かっぷくの良かった山﨑さんの体重は半分の40キロ台に。71歳の時には脳梗塞で生死の境をさまよい、手術後に半年以上に及ぶリハビリを続けたが、右半身にまひが残った。

窯にまきをくべる山﨑さん(提供写真)

 リハビリ中から工房には毎日足を運んだが、ろくろを回しても中心が取れず、大きな作品は作れなくなった。日常生活を支える彰子さんも「今までの情熱が減ってしまったのかな」と感じていたが、山﨑さんが再び作り始めた小さなサンショウウオの箸置きは、今も大切に飾っている。

仕事と背中で見せた「強さ」

 亡くなる直前、彰子さんと正成さんは病床で「作品展をやってくれないか」と頼まれた。約半世紀にわたる陶芸人生の後半に訪れた2度の大病に負けず、「生命力や強さを、仕事や背中で見せてきた人だった」と語る彰子さんは「全国の陶芸仲間や地元の方々への感謝を込め、最後に山﨑龍芳の世界を感じていただけたらうれしい」と、自宅に並ぶ作品を見つめていた。

 遺作展は同市南町のアスピア1階で、午前10時から午後5時(28日は同4時)まで。入場無料。茶器や一輪差しなど数百点の作品を展示販売する。

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