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想いを丁寧にかたちへ、「cerchio」だからつくれる特別なジュエリー。

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想いを丁寧にかたちへ、「cerchio」だからつくれる特別なジュエリー。

金属の塊を金槌で叩き、延ばし、成型する。昔ながらの鍛造製法の技術でジュエリーをつくるお店が三条市にあります。お店の名前は「cerchio(チェルキオ)」。実は県外からも結婚指輪やジュエリーをつくりにお客さんが来るほどの人気店なんです。昨年オープン10周年を迎えた「cerchio」でお店を切り盛りする木戸さんと丸山さんに、ジュエリーづくりの気になることを聞いてきました。

cerchio

木戸 和貴 Kazuki Kido

1987年三条市生まれ。高校卒業後、ジュエリー制作会社に入社。貴金属装身具製作の技術を磨き、2010年に技能五輪全国大会で銀賞を受賞。2014年に退職し、同社で出会った丸山さんと「cerchio」をオープン。高校時代はサッカー部。今は筋トレにハマっている。

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丸山 あゆみ Ayumi Maruyama

1988年新潟市南区生まれ。高校卒業後、ジュエリー制作会社に入社。貴金属装身具製作の技術を磨き、2010年に技能五輪全国大会で金賞を受賞。小さい頃からものづくりが好きで、最近は粉からこだわるほどお菓子づくりにハマっている。

ジュエリー職人を志した、それぞれのきっかけの違い。

――おふたりはなぜこのお仕事に興味を持たれたのでしょうか?

丸山さん:昔から宝石が好きだったんです。小学生の女子ってキラキラしたものが好きな子が多いと思うんですが、私もそういうものが好きで、よく集めていました。

――小さい頃からジュエリーに興味があったんですね。

丸山さん:はい、あとは就活か進学かを考えたときに自分がリクルートスーツを着て就活しているイメージができなくて……。何か違うなあと悶々と考えていたら、たまたまテレビで修業先が短いニュース番組に取り上げられているのを見たんです。こんな仕事があるんだ、やりたい!って、その時点で決めました。募集しているかどうかも分からなかったんですけどね。

――すぐに行動に移されたんですね、すごい! 木戸さんはどうですか?

木戸さん:僕は宝石にまったく興味なくて、学生の頃はずっとサッカーをしていました。大学も受験したんですが、僕だけ落ちちゃったんです。困ってサッカー部の顧問の先生に相談したら「知り合いの宝石屋が若い子を探してるから、行ってみるか?」って聞いてくれて、それが修業先でした。確か、高校3年の2月くらいですね。

――おお、それはギリギリでしたね。

木戸さん:顧問も困ったと思います(笑)。他の進路も考えてはいたんですけど、そっちに興味が向いたのもあって、入社を決めました。

――やってみたら性に合っていたという感じでしょうか?

木戸さん:意外と自分にハマったんだと思います。僕の祖父がノコギリや工具をつくる職人だったので、少なからず憧れがあったんですよね。今はほぼ機械ですが、祖父の仕事も金属を熱して叩く工程があって、そんな姿が記憶の隅に残っていた、というのがあるかも知れないですね。

――へ~。なるべくして貴金属の職人になったのですね。

丸山さん:この人、導かれるように職人になってるんです。私は自分でつかみにいってるのに(笑)

木戸さん:(笑)。でも本当に、導かれてる感じはありますね。

直感を信じて。

――導かれている部分、もう少し知りたいです。他にそんなふうに感じたエピソードはありますか?

丸山さん:お店かな、この場所。

木戸さん:あ、そうそう。お店はここで開業する予定じゃなかったんです。オープンする前の準備期間として道具を置いたりするために借りていただけでした。場所も悪いし、目印がないからお客さんが来にくいだろうなと思ってました。

――一時的な場所だったんですね。

木戸さん:一度は商店街の空き店舗に決めたんです。市からの補助金の審査も通って、契約書も書いて、あとは判子を押すだけだったんですけど、なんか嫌だな、だめだなって思って。

丸山さん:不思議ですよね。野生の勘が働いたみたいな。

――でも、こちらにして正解でしたか?

木戸さん:よかったです。僕たちの仕事は加工なので、多少騒音がするんですよね。ここなら両隣も店じゃないから気楽にやれますし、心配していたよりお客さんは場所をちゃんと調べて来てくださるので。

丸山さん:普通、判子を押すだけの段階で手続きを白紙に戻す決断ってなかなかできないと思うんですよ。だから導かれているのも含めて、決断力がすごいなと思います。

世代を超えて、大切にしたいと思える指輪をつくる。

――これまで、印象的だったお客様や難しかったお仕事など、思い出深いエピソードがあれば聞かせてください。

丸山さん:たくさんあるんですけど、自分の婚約指輪のダイヤをペンダントにして娘さんに送りたいって相談にきてくれた方をよく覚えています。大人になっても離れても、大切な娘であることに変わりないっていうその方の気持ちが伝わってきて、胸が温かくなりました。ジュエリーを通してだれかの想いを伝えられる仕事をしているんだと実感できて、思い出深いですね。

木戸さん:僕ははじめた当初ぐらいに来てくれたお客さんですね。事故でご主人を早くに亡くされたんですが、奥さんがその気持ちを消化できずにいらしたんです。それで、遺骨を常に身につけたいというご相談がありました。指輪に遺骨をいれたかったみたいで、なかなかやってくれるところがなくてうちを見つけてくれました。

――難しい希望も叶えてくれるんですね。

木戸さん: 実はそのお客様の息子さんもうちで指輪をつくりに来てくれたんです。彼は三条の人で、お相手になる方は県外の人なんですけど、おばあちゃんの家が彼の家と隣同士だったんです。だから、小さい頃から夏休みだけ会う幼馴染みたいな関係だったらしくて。

――とても素敵ですね。

木戸さん:下田の八木鼻ってあるじゃないですか。あのあたりらしいんですけど、ふたりのご要望で八木鼻の刻印を指輪に入れたんです。出会った場所だから大事にしたいっておっしゃっていて、縁を大事にする素敵なご家族でした。

――世代を超えて利用してくださっているんですね。

木戸さん:本当にオープンしたばかりの頃からお付き合いのあるお客様なので、感慨深いですしありがたいですね。

丁寧なヒアリングで、長く使えるジュエリーを製作。

――「チェルキオ」でおふたりが大切にしていることを教えてください。

木戸さん:お客さんが主体であるということですね。要望をしっかりヒアリングして一緒に考えてつくるスタイルにしています。その方の雰囲気や普段の暮らしの様子など、身につけるお客さんの顔が見たかったんです。その方の雰囲気、普段どんな生活をしているのかとか。せっかく時間をかけて打合せしてつくるものなので、一方的な提案じゃなくてお客さんと認識を合わせながら一緒につくることを大事にしています。

丸山さん:私は、「つくりたいイメージはあるけど、どう伝えたらいいかわからない」という部分を丁寧に聞くように気をつけています。その上で、お客様のご要望に対して全部受け入れちゃうと野暮ったくなるなとか、つくり的に強度が出せないなとか判断できるところは、しっかりプロの目線でアドバイスして、別の提案をするように心がけていますね。

――では最後に、お互いの尊敬している部分を教えていただけますか?

丸山さん:恥ずかしいですね(笑)。人当たりの柔らかさや、お客様の生活のことまで考えてジュエリーを楽しめる方法を提案する姿です。あとは、いざというときの決断力です。

木戸さん:お客様とのコミュニケーションが丁寧なところですね。言い回しなども学ぶことが多いですし、伝え方が上手だなと思います。リピーターの方も多いんですよ。

――お互いの接客が見える距離だからこそ、刺激し合えているんですね。

丸山さん:ふたりいるからこそ違った見方で提案ができるので、これからもお互いのいいところを吸収し合えたらいいなと思っています。それで、より長く親しんでいただけるようなよい品物をつくって、うちで仕立てたジュエリーが毎日の生活に馴染んでいってくれたら嬉しいですね。

cerchio

三条市西四日町1-17-24

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