「みそ汁VSコーンスープ」で血糖値を検証!「液体なら血糖値は上がりにくい」が本当なのか医師が解説
糖尿病内科医の山村 聡さんは、自身のYouTubeで血糖値に関する情報を発信し、多くの反響を呼んでいます。書籍『糖尿病専門ドクターが検証! 血糖値を下げる食事法について、実際に試してみた』(KADOKAWA)は、YouTubeで特に人気のあったテーマを厳選し、さらに動画では伝えきれなかった情報や、本書だけの新しい内容を盛り込んだ1冊です。「これを食べたら、血糖値はどれくらい上がる?」この切実な問いに答えるため、著者が実際に食べ、血糖値の変化を検証。具体的なデータと、血糖値を上げにくい食品の選び方、食事の工夫をわかりやすく解説しています。今回はこの本の中から、誤解している方が多い「血糖値を上げにくい食べ物」についての比較・検証をご紹介します。
※本記事は山村 聡(著)による書籍『糖尿病専門ドクターが検証! 血糖値を下げる食事法について、実際に試してみた』から一部抜粋・編集しました。
【みそ汁VS.コーンスープ】朝食に食べるなら、どちらがおすすめ?
【初期値】
みそ汁:90mg/dL
コーンスープ:98mg/dL
↓(みそ汁:60分後)
【最大値】
みそ汁:93mg/dLだが、ピークなし、横ばい
コーンスープ:193mg/dL
【上昇幅】
みそ汁:ピークなし、横ばい
コーンスープ:95mg/dL
みそ汁(1食):エネルギー29kcal 炭水化物3.1g
コーンスープ(1食):エネルギー180kcal 炭水化物25.0g
みなさん、朝食は和食、それとも洋食、どちらがお好みですか。
洋食か和食か、好みによって付け合わせのスープ類も当然違ってきます。和食派のかたは、当然、みそ汁になるでしょうし、洋食の人は、パンに合わせて手軽に食べられるコーンスープなどをとる習慣がついているかたも多いでしょう。
では、血糖値という観点から見たとき、すすめられるのはどちらでしょうか。
ここでは、両方ともコンビニで買えるカップスープスタイルのみそ汁とコーンスープとで、血糖値の変動を比較してみました。
みそ汁の初期値は90mg/dL。食後血糖値はほぼ横ばいという結果になっています。
一方、コーンスープは初期値が98mg/dL。食後、血糖値はスルスルと上昇し、60分後に193mg/dLまで上がりました。上昇幅は95mg/dLを記録しています。
みそ汁とコーンスープでは大きな差が出たことになりますが、これは、もちろん、そこに含まれる炭水化物(=糖質)の量を反映しての結果です。みそ汁には砂糖などは使われていません。みそ汁に含まれる炭水化物量が、そもそも少ないのです。ちなみに、今回のみそ汁の具は乾燥のわかめ、麩、ねぎになります。
今回食べたみそ汁に含まれていた炭水化物量は、3・1g。炭水化物量が5gを切るような食品では、血糖値が上がることはほとんど考えられないのです。
これに対して、コーンスープのほうは、25・0gと炭水化物が相当量入っています。それを反映して、血糖値がかなり上がったと考えられます。
コーンはそもそも穀物であり、主食になるものなので、しっかり血糖値を上げてしまう食材です。このことはしっかり把握しておきたいですね。
ただ、今回の検証では、私自身が予想していた以上にコーンスープの血糖値が上昇しました。これはおそらく、加工されたカップスープであるという条件も関係しているでしょう。加工食品の場合、味を調えるための糖質も入っていると考えられます。それらの作用もあり、グッと血糖値を上げてしまっているのです。
中には、「コーンも、液体なら血糖値は上がりにくいのでは?」と考えていらっしゃる人もいるようなのですが、これはまったくの誤解。むしろ、液体のほうが吸収が早くなり、血糖値が上がるリスクは高まるとお考えください。
朝食については、血糖値が気になるかたにとっては、コーンスープよりもみそ汁がおすすめという結論になるでしょう。
みそ汁は、ほかの健康効果を考えても、優秀なレシピの1つです。
みそはご存じのように、発酵食品の代表であり、みそ汁をとることで腸内環境を整えるのに役立ちます。腸内環境が整うと、血糖値の上昇が起きにくくなるともいわれていますから、その点でもみそ汁は優秀です。
午後の間食や夜食など、小腹が空いたときに汁物をとりたいケースでも、迷ったらみそ汁をセレクトしましょう。みそ汁にワカメなどを加えれば、ボリュームを増やすことができますし、ワカメなどの海藻類やキノコ類を具材とすれば、糖質をほとんど含まないため血糖値も上がりません。
結論
・みそ汁とコーンスープでは、コーンスープはかなりの血糖値上昇を引き起こしてしまうおそれあり。血糖値が気になるかたには、みそ汁がおすすめ。ワカメなどの具材もプラスして