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時代を彩る女性画家カルテット ― 山王美術館「女性画家たち展」(読者レポート)

アイエム[インターネットミュージアム]

9月1日~来年2026年1月31日まで、大阪市中央区の山王美術館で、「女性画家たち展ーはなやかに奏でる色彩の四重奏(カルテット)上村松園 マリー・ローランサン 三岸節子 片岡球子ー」が開かれています。

2025年は国連で「国際女性デー」が制定されて50年、日本で男女雇用機会均等法制定から40年を迎える節目の年です。そんな年に、山王美術館が所蔵するコレクションの中から、上村松園、マリー・ローランサン、三岸節子、片岡球子の4人の女性画家の作品が展示されています。

「四重奏」というにふさわしい綺羅星のような彼女らの作品も素晴らしいですが、国際女性デーということで、各画家の絵の展示の前に掲げられている各人のエピソードにも注目してほしいです。100年以上前、今以上に男性社会であった美術界で、女性が画家としてやっていく困難さに思いを馳せながら、素晴らしい画業を見ていただきたいと思います。


はなやかに奏でる色彩の四重奏

それぞれ画家としての背景も、画風も違う、上村松園、マリー・ローランサン、三岸節子、片岡球子という錚々たる女性画家たちの「はなやかな」画業の裏で、彼女たちは、女性ゆえの苦難・困難にぶつかります。

でも、彼女たちはそのような状況下にありながら、しなやかにたくましく生き、絵を描き続けました。

例えば、上村松園の落書き事件に対する毅然とした態度は、本当にかっこいいです。 自分の作品に落書きされ、それを人知れず直せと言われた彼女は「誰がしたのですか?卑怯な行為です。おそらく私に『へんねし』をもっている者がやったのでしょうが、それなら絵を汚さずに私の顔にでも墨をぬって汚してくれたらよい。かまいませんからそのままにしておいてください。こっそり直すなんて、そんな虫のいいことは出来ません。」ときっぱり言い切ります。

※へんねし・・やきもちやき、しっと(京言葉)

引用が長くなりましたが、彼女の決意、その時代を生きた女性画家たち、女たちの思いを知ってから絵を見るのと、知らないまま絵を見るのでは大いに違うと思います。

描き続けた気品ある清澄な女性と上村松園の決意、今を生きる女性たちに勇気や励ましを与えてくれます。


《展示風景》


他の3人の女性たちのエピソードもぜひ、会場で読んでみてください。


5階フロアは、上村松園、マリー・ローランサン、三岸節子の絵が一堂に!

今展覧会は、5階から4階、3階へと降りながら見ていきます。5階には上村松園が8作品、マリー・ローランサンが11作品、三岸節子が5作品、並んでいます。

上村松園は生誕150年になります。先ほどのエピソードでもわかるように、あの時代、男性と肩を並べて画業を続けるのは並大抵のことではなかったと思います。

右から2番目の絵「美人観書」は、今回が初展示です。


《展示風景》


マリー・ローランサンの淡い色調、やわらかなタッチに、日本でもファンが多いですが、パリで1956年に亡くなって、没後70年になります。

激動の時代をパリで生きたマリー・ローランサンは、あの画風からは想像できない、強さを秘めた女性だったに違いありません。


《展示風景》


三岸節子は、今年生誕120年です。片岡球子と同年齢です。大胆な構図、躍動する筆致は、彼女の内なるエネルギーの爆発かもしれません。

あの力強い絵には、人々を鼓舞するパワーがあるように思えます。あの絵の前に立って、パワーを浴びてください。きっと明日への活力をもらえるはずです。

手前の「天草の入り江」を含む5点すべてが初展示です。


《展示風景》


4階フロアは、片岡球子の作品23点に埋め尽くされている!

片岡球子は、三岸節子と同年齢の1905年生まれです。札幌で生まれました。

今展覧会では、歴史上の人物を主題として取り組んだ「面構(つらがまえ)」シリーズより浮世絵師2名が展示されています。

浮世絵のようで浮世絵でない、球子ワールドです。


《展示風景》


大胆な構図や鮮やかな色彩で、富士山をエネルギッシュに描きました。初展示の「花咲く富士」(右端)は、おおらかで、やさしさに満ち溢れています。

「富士山の高さも奥行きも出せず深く悩」んだ球子でしたが、誰にも描けない富士山を見ていると、心の底から笑いだしたいような気持になるから不思議です。


《展示風景》


コレクション展も見どころがいっぱい!

山王美術館では、オープン以来、コレクションの身による展覧会を開催し、他の美術館との作品の貸し借りは行っていないとのことで、まさに「ここでしか会えない」です。

今回の「女性画家たち展」以外に3階では、コレクション展が開かれています。

ムンクといえば、「叫び」があまりに有名ですが、今回、新コレクションに加えられた「岩場の上の水浴者たち」(左から4番目)が初展示されています。「叫び」から想起される孤独などとは対照的に、生き生きとした生命の賛歌が描かれています。


《展示風景》


そのほか、ヴラマンクやユトリロ、藤田嗣治などなじみの画家の作品も初展示されています。

その中に混じって、もう1人の女性画家、タマラ・ド・レンピッカの作品も展示されています。 聞きなれない画家ですが、とても興味深く拝見しました。

これから5カ月にわたって開催されている山王美術館「女性画家たち展」ですが、猛暑・酷暑もそろそろ終わろうとしています。さわやかな秋風吹く芸術の秋にぜひ、どうぞ!

気に入った絵が見つかれば、何度も足を運んでくださいね。

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