Yahoo! JAPAN

【静岡県知事選・立候補表明3氏対談】リニアや新野球場など課題への考えは?最も重視する政策は?静岡新聞社での対談に同席した論説委員長が解説!

アットエス

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「静岡県知事選挙・立候補表明3氏対談」。先生役は静岡新聞の橋本和之論説委員長です。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2024年5月7日放送)
 

(山田)今日(7日)の静岡新聞の一面に静岡県知事選立候補者の記事が出ておりますけども、いよいよ県知事選の告示が迫ったということですね。

(橋本)昨日このスタジオがある建物に、静岡県知事選​に​立候補を表明した人のうち、元副知事の大村慎一さん、前浜松市長の鈴木康友さん、共産党県委員長の森大介さんの3人が来て、約1時間にわたってリニア中央新幹線工事や、浜松市の新野球場整備などの県政課題に対する考えを中心にお話していただきました。私も聞きましたが、雰囲気も伝わって来て大変よかったです。

3人とも、討論会をしたりテレビに出たり大変お忙しいんですが、お願いしたところ快く応じていただきました。既に経験を積んでいる方々なので、とても慣れた感じでスムーズに進行できました。

(山田)バチバチって感じじゃないんですか。

(橋本)心中は分かりませんが、とても和やかな雰囲気でした。大村さんは自民党の推薦、鈴木さんは立憲民主党と国民民主党の推薦、森さんは共産党の公認ということで、政治団体の公認、推薦を受けている方々です。最終的には告示の日に届け出が済まないと確定しませんが、ほかにお一人が出馬表明していますし、きょうこの後にも記者会見を予定している方もいて、さらに増える状況になると思います。

川勝県政への評価は…

(山田)静岡新聞の一面と社会面に掲載されておりますが、実際にこのお三方は静岡新聞社に来てどんな話をされたんですか。

(橋本)いくつかこちらで質問を用意し、最初に今回、突然の辞職が知事選の理由にもなりましたが、川勝平太知事の県政ついての評価を伺いました。当然と言えば当然ですが、3人とも評価する点と足りなかった点を率直にお話していました。

大村さんは、川勝知事の発信力や学者としての知見には優れた点があったとしていましたが、「県民の声がちょっと届きにくい県政だった」という見方をされていました。あと、地域や声の大きさでバランスを欠いたところがあって、さまざまな課題が対立と分断によって前に進まなかったというように総括してましたね。

鈴木さんも、富士山の価値や文化に関する政策では、静岡のブランド力を高めたということで評価していましたが、一方で、「県議会との関係がうまくいかず県政が停滞した」と指摘してました。市長時代に、市議会との関係も苦労しながら市政運営をされていましたから、そういう経験からの発言だと思います。また「国とのパイプが少し細くなったんじゃないか」と心配されてました。

森さんは、リニア中央新幹線や原発再稼働に反対の立場を表明してますので、川勝知事のリニア、原発への対応を評価してました。ただ国の地域医療構想への対応などを巡って、森さんの言い方だと「国の言いなりになって福祉を切り捨てた部分があった」ということで、その点は批判するということでしたね。

(山田)3人の川勝知事への評価って、橋本さんに解説してもらうと、よくわかりますね。

(橋本)そうですね。長くトップを務められた知事は後継指名をしたりして、候補者が「自分は後継だ」と言って出馬したりするので、後継の人はなかなか批判しにくい部分もありますよね。今回後継という方は特にいませんので、3人とも客観的な視点で評価されているなと感じました。

それぞれ異なる最重視政策

(山田)3人に政策も伺ったわけですか。

(橋本)最も重視する政策を聞いたところ、鈴木さんはまず産業政策を挙げてましたね。川勝県政ではそこが少し足りなかったという認識のようで、企業誘致とかスタートアップ企業の支援を市長時代にやっていた実績がありますので、その取り組みを全県に広げていくということです。

ご自身の今までの実績がある分野だけに自信を持っているということだと思います。自分が県西部を地盤にしているので「西部に手厚くするんじゃないか」みたいな見方をされがちですので、地域対立の構図にならないように、中部、東部にも地域特性に応じた産業政策をやると強調したのが印象的でした。

森さんは、リニア推進と原発再稼働に反対する立場を強調してました。また、中小企業支援に力を入れて雇用を増やし、雇用の質も向上させると話していました。特に最低賃金が隣接の神奈川とか愛知と比較しても低いということで、知事としてその引き上げを働きかけ、賃金を向上させるっていうことをやっていきたいということです。

それから大村さんは防災対策を挙げてました。自身も総務省などで経験が豊富なので、「自分はその道のプロだ」というように自負されているようです。単に災害に備えるだけではなく、道路や河川の基盤を整備するということです。

道路を整備すれ​ば​、平時には生活利便性や産業生産性を向上させる効果があり、いざ災害が発生した場合には、その道路を使って人命救助が早くできたり物資を早く運んだりできて役に立つ。平時にそういう備えをしていくことによって、生活にも役立つし、いざというときも役立つので、そういう防災対策をしていきたいと話していました。

(山田)3人とも、なるほどと納得できるような政策ですね。対立しそうな政策もあるんですかね。

(橋本)やっぱり一番はリニアがどうなるかというのが、全国的に注目されてると思います。

基本的には、大村さんと鈴木さんは推進、森さんは事業そのものに反対する立場です。森さんは大井川の水と南アルプスの自然を守るということが問題意識の一番だということで強調していました。
一方、大村さんは水とか環境の問題に妥協せず対応するとした上で、責任を持って手順を踏みながら課題を解決し、「1年以内に結果を出す」と述べました。

そのあと3人で相互に質問をぶつける時間をつくったんですが、そのときに鈴木さんがこの点に突っ込んでいて、「1年以内に工事を許可するという意味か」と質問しました。大村さんは、そうではなく、環境の問題などいろいろな課題を一つずつ確認し、一定の方向性を出す期限が1年以内ということだと説明されていました。

(山田)一定の方向性というと。

(橋本)そこを抽象的と取るか、納得するのか、それは人によってちょっと違うかもしれません。

(橋本)鈴木さんはこれまでの経緯を踏まえ、県と大井川流域の市町、事業主体であるJR東海の意思疎通が取れていなかったと問題視していました。水問題は下流に影響が出た場合に補償を含めた事業主体の責任を明記することで、流域も納得できるのではないかと主張しました。姿勢として、課題があるからやめるのでは物事は前に進まないので、「課題を解決して、その物事を前に進めるという姿勢が大事だ」と強調していました。

(山田)リニア推進の大村さんも鈴木さんも、若干の違いがありますよね。

(橋本)そうですね。ただ、鈴木さんも大村さんも、「推進」としつつも「環境や水の問題をないがしろにすることはありませんよ」という考えでは共通していましたね。

新野球場建設への主張は三者三様

(山田)他にはどうですか?

(橋本)違いが一番明確だったのが浜松市の新野球場の建設ですね。

今、県は三つの案を示していますが、大村さんは建設の必要性を認めた上で、特に3案のうち、建設費が370億円と試算されているドーム型球場については建設や運営のコストを疑問視する考えを持っていまるようです。3案を基本にしながらゼロベースで考えると話しています。

一方で、浜松市長時代にドーム球場の建設を県に要望している鈴木さんは「建設費の数字が独り歩きしているが、その周辺整備を含めて活性化やその活用を考えることが大事だ」と指摘していました。

ただ、市長時代にドーム球場建設を県に求めたので、気持ちとしてはドーム球場を建設したいと考えていると思いますが、知事になると立場が変わり、自分のところがお金を出して作らないといけなくなります。だから、コストもちゃんと見た上で、最終的に決めていくということで、必ずしもドーム球場建設ありきではないという考えも示しました。

森さんは、南海トラフの津波の浸水想定区域にあるので、利用者を危険にさらす可能性もあるということで建設そのものに反対を表明されてます。

(山田)これも、意見が分かれましたね。

(山田)実際に橋本さんは3人の話を聞いて、印象はどうでした?

(橋本)ライバル関係にあり、一つの椅子を奪い合うわけですが、和やかな雰囲気で進めていただきました。また、「1人お答えを3分以内でお願いします」と司会がお願いしたんですが、きっちり守っていただきました。真面目だなと思って聞いていました。

他の立候補者を含めて誰が知事になるのかまだわかりませんが、今までの川勝県政の15年を振り返ると、良くも悪くも知事の強烈な個性が前面に出ていた県政だったと思うんですよね。3人を見ていて、次の知事の下ではそうした知事の個性が強烈に出る県政ではなく、県という機関として物事を進めていくという、通常モードの感じに戻るのかなと思いました。鈴木さんと大村さんは行政の運営経験があり、森さんも政党にいるので、そういう印象を持ちました。

(山田)いやあ、確かにそうですね。今まで「川勝平太」という感じがちょっと強かったですけどね。

(橋本)5月11日付の静岡新聞で3者対談の詳報を出すことになっているので、それもぜひ見ていただき、誰に投票するか決めるときの判断材料にしていただけたらなと思います。

(山田)わかりました。今日の勉強はこれでおしまい!

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. 【函館市・ラーメン】透明なスープに細打ち麺、チャーシュー、メンマ、ネギがのるシンプルな「塩ラーメン」だからこそ、各店のセンスが光る!函館の塩ラーメンの名店10選!

    まっぷるトラベルガイド
  2. 【ゴールデンカムイ舞台探訪】団子をかじって最終決戦! アシㇼパたちの長い長い旅の終着地、函館を訪ねる

    ロケットニュース24
  3. Nothing’s Carved In Stone、5度目の野音ワンマン『Live at 野音 2024』開催が決定

    SPICE
  4. ライズプロダクションから新グループ・雨のち、ハレーション、デビュー!【メンバーコメントあり】

    Pop’n’Roll
  5. 【AliExpressで爆売れ】958円の『電気ダンスロボット』がヤバい / レビューは「私の赤ちゃんはスーパー好きです」「素敵なおもちゃ」など

    ロケットニュース24
  6. SKE48 熊崎晴香、佐藤佳穂、末永桜花、写真集 『ずぶ濡れSKE48 Team E』の魅力をアピール!【コメントあり】

    Pop’n’Roll
  7. JUN SKY WALKER(S)、初の対バンツアー開催が決定 SA、ハルカミライ、ROTTENGRAFFTYら第一弾アーティストを発表

    SPICE
  8. AKB48、19期研究生が劇場公演デビュー! フレッシュな魅力をたっぷりお届け【コメントあり】

    Pop’n’Roll
  9. 【男性編】離婚後のひとり暮らしで実感した“自由と寂しさ”のリアル #4「逃げられないこと」

    ウレぴあ総研
  10. 【和歌山】アドベンチャーワールドで4年ぶりに「ペンギンパレード」再開

    PrettyOnline