「便まみれのズボンが洗濯機に…」義父に紙パンツをはいてもらうまでの長い道のり【体験談】
運動不足解消のため、リハビリ特化のデイサービスに通っている認知症の義父。本人は何もかも自分でできると思っているようで、こちらがお願いしたことに対して聞く耳を持ちません。そんな義父の介護で悩んだこととは……。
デイサービスで指摘されたこと
義父には、トイレも座ってしてほしいとお願いしていますが、いつも立って用を足すので床が毎回汚れてしまいます。
ある日、デイサービスから帰ってきた義父の連絡帳を見ると、「入浴時に、ズボンを脱いだらコロンと便が落ちました。ご本人は気付いていないようです」と書いてありました。便失禁に気付かなくなっているのか、と衝撃を受けましたが、おならをしたときにたまたま出てしまったのだろうと思い、しばらく様子を見ることにしました。
義父が脱衣所でゴソゴソとしていた理由
ある日、私が買い出しに行こうと玄関で靴を履いていると、トイレから出た義父が脱衣所へ向かうところが見えました。義父はもう自宅では入浴しないので、普段脱衣所へ行くことはありません。「お義父さんどうしました?」と私がのぞくと、ズボンと濡れたパンツを洗濯機に入れるところでした。
義父は「いやぁ下痢しちゃって」と言い、なんとパンツはトイレの便器の中で洗い、絞らないまま脱衣所まで持ってきているため、廊下までびしょびしょ……。そして下痢まみれのズボンが洗濯機の中に入っていました。
私は慌ててズボンとパンツをつまみ出し、床を拭きました。ズボンは洗うのを諦めて捨てました。ちょっと便が付いただけなら手袋をしてなんとか洗えますが、全体的に付いてしまったら、「私には洗えない、無理!」と思ったのです。後始末をしているときに改めて、「介護って、きれいごとじゃないんだな」と強く思いました。
紙パンツを促すのはハードルが高い!
以前から義父はトイレを失敗することが多々あり、紙パンツにするタイミングが来たと思って購入しましたが、嫁や息子に促されるのはプライドが許さないかもしれないと躊躇(ちゅうちょ)してしまい、義父には紙パンツのことを言えずにいました。
そんなとき、担当のケアマネジャーさんに相談してみると、「デイサービスでお風呂に入るタイミングで紙パンツにすることを促してもらいましょう」と言われ、着替えの中に紙パンツをしのばせてお願いしたところ、義父はすんなりと紙パンツをはいてくれたとのこと。以降、ずっと紙パンツを常用しています。
義父は、相変わらず言うことを聞かずに立ったまま用を足して床やズボンを濡らすこともありますが、便失禁のズボンの後始末に比べたらはるかに気がラクです。
まとめ
相手の尊厳を傷付けずに、やってほしいことを伝えるのは家族だからこそ難しいと感じた出来事でした。トイレの失敗や、失禁などを家族に指摘されるのは嫌だろうと遠慮してしまうことが多々あり、紙パンツを促すまでに時間がかかってしまいましたが、困ったときはやはりプロに相談したほうがすんなり解決するなと思いました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
文/木村さえ
イラスト/おんたま