【富士山かぐや姫ミュージアムの「愛鷹・箱根西麓の石器とくらし 旧石器文化とその周辺」展】 神津島の黒曜石が伊豆で使われている
富士市、三島市、沼津市の山裾に残る旧石器時代の遺跡と出土品を展示。この地域の遺構については、古墳時代以降について語られる場面が比較的多かったように感じる。約3万8000年前にまでさかのぼる今回展は非常に興味深い。
主要遺跡の分布を見ると、見事に新東名高速道沿線に集中している。大規模工事の「副産物」と言える。実際は愛鷹山麓に偏りなく点在していたようだ。
約3万7000年前の地層から石器が見つかっている井出丸山遺跡(沼津市)、狩猟用の陥(おと)し穴の断面が見つかった初音ケ原遺跡(三島市)、旧石器時代の遺跡としては初めて国指定史跡になった休場遺跡(沼津市)など各地の発掘の経過や出土品を丁寧に説明している。
さまざまな形の石器の原料となった黒曜石の産地の説明に、しれっと「神津島(伊豆諸島)」とあるのに驚愕。3万年以上前に、神津島から伊豆まで、海を越えて黒曜石が運ばれていたとは。次回はこのあたりの事情についての展示を見たい。
(は)
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■富士山かぐや姫ミュージアム
住所:富士市伝法66-2
開館:午前9時~午後5時(月曜休館)
会期:10月20日まで