【9/29(日)開催】第19回くらしき市民茶会 ~ 手ぶらに平服でOK!抹茶の飲み比べと秋らしいオリジナル和菓子を楽しもう
倉敷市は、日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」が認定される元北前船寄港地のある街です。
そのため、港町を中心に商人が集まり、たしなみとしてお茶文化が親しまれてきました。
現在も倉敷市は全国的にも学校茶道が盛んな地域で、中学校や高等学校の部活動で茶道に親しむ人が多い地域だそうです。
「お茶を点(た)てることはできないけれども、本格的な抹茶を飲みたい」と気軽に茶道体験ができる場として、毎年1000人ほどの市民が集うくらしき市民茶会が開かれています。
2024年9月29日(日)に開催予定の第19回くらしき市民茶会の楽しみ方を、実行委員に聞いてきました。
第19回倉敷市民茶会とは
第19回くらしき市民茶会は、2024年9月29日(日)に倉敷芸文館アイシアターおよび倉敷芸文館別館四階和室で開催される、お茶会です。
新型コロナウイルス感染症感染拡大防止の観点で中止した年もありますが、普段からお茶を習っていない市民にもお茶を楽しんでもらいたいという願いのもと、毎年開催されています。
2024年は、表千家流と裏千家琉がそれぞれ一席ずつ担当するので合計二席楽しめます。
表千家流と裏千家流の違い
表千家とは、利休のひ孫・千宗左(せんそうさ)がおこした茶道の流派です。
京都や紀州(現在の和歌山県)で盛んな表千家は抹茶をあまり泡立てず、泡の形が三日月のような形になるのが特徴的です。
一方、裏千家は利休のひ孫・千宗室(せんそうしつ)がおこした茶道の流派です。
日本にいる300万人の茶道人口のうち半分は裏千家といわれるメジャーな流派で、抹茶はふわふわに泡立てます。
当日の服装や持ち物
お茶会というと、着物を着て参加するイメージもあるかもしれませんが、くらしき市民茶会は平服での参加が認められています。
特に9月末はまだまだ暑いですし、着物でも夏物を着るか冬物を着るか迷う時季。そのため、倉敷市民茶会は普段お茶を習っている人でも平服で参加する人もいるそうです。
また、お茶を飲むために必要な懐紙(かいし)や菓子切りなども持参しなくて大丈夫です。気軽に楽しむお茶会なので、お茶席のほうで準備があるとのこと。
そのため、当日は平服でお茶席券を持っていれば気軽に参加できます。
・懐紙:茶席で和菓子を載せる和紙
・菓子切り:お菓子を切るときに使う道具。爪楊枝、姫フォーク、黒文字を使うこともある
担当者インタビュー
「第19回くらしき市民茶会」の楽しみ方について、市民茶会実行委員の大熊一豊(おおぐま かずとよ)さんに話を聞きました。
──「くらしき市民茶会」は今年(2024年)で19回目を迎えるイベントなのですね。
大熊(敬称略)──
くらしき市民茶会は、広く市民にお茶を楽しんでもらいたいと思って始まりました。
新型コロナウイルス感染症拡大防止のために中止した年もありましたが、今年で19回目になります。
お茶を習っているとか習っていないとか関係なく、市民に気軽にお茶を楽しんでもらいたいという目的で開催しているので、お茶券のお値段も1000円とお手軽です。もちろん、平服でいらっしゃって構いません。
──来場者数は、例年何人くらいですか。
大熊──
各流派それぞれにお茶席を設けていて、のべ1000人ほどが来場します。
最近は本格的なお抹茶を飲んでみたいという若い人が増えてきているように思います。そのため、お茶会の来場者も私たちのような高齢者層と若い人の参加が多いです。一方、40~50代くらいの人は少ないですね。
これは、お点前(おてまえ)をする側も同じです。若い人たちはまだまだ稽古の途中なので、お茶席を任せることはあまりありません。そのため、お茶を点てる側が高齢者ばかりになってしまって。せっかく若い人たちが興味を持ってくれているので、くらしき市民茶会を機にさらにお茶人口が増えたらうれしいです。
──今回のくらしき市民茶会で提供されるお茶やお菓子について、教えてください。
大熊──
今回のくらしき市民茶会は、表千家流も裏千家流も薄茶(うすちゃ)のみの提供です。薄茶はカフェなどでも提供されることが多いので、初めてのかたでも抵抗なく飲めるお茶ではないでしょうか。
表千家流と裏千家流では、使っているお茶が違います。点てかたも、表千家流はあまり泡を立てないもの、裏千家流はクリーミーな泡が立つものになるのでそれに合ったお茶を選んでいると思います。お茶券一枚で二席楽しめるので、お茶の飲み比べだと思って楽しんでみてください。
お菓子は、橘香堂さんにお願いしています。どちらのお茶席も、亭主(お茶を点てる人)を務める人がくらしき市民茶会に合うデザインを橘香堂さんと相談しています。当日提供されるお菓子は、くらしき市民茶会でしか食べられないオリジナルのものなので、見た目も味も楽しんでいただきたいです。
──お茶は、味だけでなく目でも楽しめると聞きました。
大熊──
そうですね。
お茶の世界は、季節の先取りをします。9月末は紅葉にはまだ少し早いですが、お着物の柄やお菓子、お花なんかも秋らしいものが見られるはずです。
まだまだ暑い日が続きますが、一足先に秋を楽しんでいってほしいですね。
──初心者でも一人で参加できますか。
大熊──
もちろん大丈夫ですよ。
午前中の一番はじめの時間帯は、毎年くらしき市民茶会に参加するお茶の経験者が多い時間帯なので本格的に感じるかもしれません。特にお茶席に最初に入る三名ほどは、ほかのお客さんが見ている前で亭主やその三名同士のやり取りをするなど、お客さんとしてのお役目が生じます。そのため、真ん中から最後のほうに入室するのがお勧めです。周りの経験者に飲みかたを教えてもらえたり周りのようすを見よう見まねで参加したりできますよ。
もしグループでいらっしゃる際には、同じお茶席に入れるように調整しますのでそちらも気軽におっしゃってください。
──読者へメッセージをお願いします。
大熊──
とにかく気軽に、お茶を飲みながら秋を感じていただきたいです。おいしいお茶飲み、秋らしいお菓子を食べ、和やかなひとときを過ごしましょう。
おわりに
私自身、学校茶道でお茶を始めて現在もお茶を習い続けています。2023年12月に倉敷へ移住してくる前は関東に住んでいたので、お茶会は先生から紹介された人だけが入れる特別な場のようなイメージがありました。
しかし、倉敷に移住してみて初心者でも気軽に、本格的なお茶会を楽しめる場が多い印象があります。
近頃は「抹茶スイーツ」なども人気なので、くらしき市民茶会のような本格的だけれども気軽に参加できるお茶会を通して、お茶人口が増えてほしいのは大熊さんと同じ思いです。
9月29日(日)は、倉敷芸文館でおいしいお茶の飲み比べと秋らしいお菓子を堪能してみませんか。