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清水エスパルスの生え抜きGK梅田透吾が魅せる安定のパフォーマンス!5年ぶりのJ1で攻守にスーパープレー連発

アットエス


【スポーツジャーナリスト・望月文夫】
シーズン終盤に向け、J1清水エスパルスに頼もしい選手が帰ってきた。7月20日ホームの第24節横浜FC戦。アカデミー育ちのプロ7年目GK梅田透吾が2020年11月21日以来約5年ぶりにJ1リーグに出場。すると序盤から好セーブを連発し、無失点で6戦ぶり勝利を呼び込んだ。

続く第25節広島戦、第27節福岡戦でも無失点に抑えると、第28節では首位争いを演じる鹿島をホームに迎え、決定機を何度も作られながらも最少1失点で勝ち点1獲得に貢献。ここまで5試合に連続出場し3試合を無失点で終え、一気に存在感を高めている。

清水の古川昌明GKコーチは、「いつも自然体で落ち着いてやれているし、大舞台にも動じない。自然体でできるので、本来の力をしなやかに出せる」と梅田を高く評価。「(今季序盤から出場している)沖悠哉も含め、GKの力で獲った勝ち点も多い」と、最後方選手の高い貢献度を強調した。

入団会見で抱負を語った梅田=2018年11月


そんな梅田は、アカデミー時代から全国区の選手だった。高校2年時に2種登録(高校生年代のチームに登録しながらトップの試合にも出場可能)され、その年にU-17日本代表にも選出。U-17W杯ではベスト16まで進出した。

高校卒業後はトップチームに昇格。当初は出番がなかったが、練習試合などで得た出場機会で結果を残し、プロ2年目の2020年にはコロナ禍の中で一時定位置を勝ち取った。当時のクラモフスキー監督は「セービング能力が高く、高さにも強い」と評価し、この年のGK陣では最多となる17試合に出場した。

ケガに苦しんだ5年間

ここまで評価が高い梅田だったが、J1出場まで約5年のブランクを要した理由はケガだった。J2岡山に期限付き移籍中だった2022年、その前年から定位置を獲得も序盤の第4節に前十字じん帯断裂で長期離脱。6月には清水に帰って治療に専念したが、守護神だった日本代表GK権田修一らの前で、回復後も出番は巡ってこなかった。

ケガから回復しても出場機会がない。ならば「カテゴリーを下げても出場機会を求めたい」と頭をかすめたが、そう判断しなかったのは「育ったエスパルスへの愛着もあったし、いま在籍しているここで出場機会を勝ち取りたい」という強い思いだった。

そして踏みとどまったもう一つの要因は練習環境だ。「ここにはゴンちゃん(権田)がいて出場は厳しいけど、GKコーチが2人体制になるなど環境は素晴らしい。ここで頑張っていれば、どこかでチャンスがくる。腐らずに練習を続けて、出場のチャンスが来たら、ここでやってきて良かったと思えるはずだから」と。

そして迎えた今季、シーズン序盤のタイトな日程の中で、まず3月と4月のルヴァン杯に2試合出場した。そして約3か月後、チャンスは7月16日湘南との天皇杯3回戦だった。「出たいと思っていた。自信はなかったけど、しっかりと練習しているから大丈夫だろう」

出場が決まったのは試合前日だった。そして試合は、延長まで120分間の激闘となり、打たれたシュートは16本。危ない場面もあったが、すべてを止めた1-0の無失点勝利だった。「ルヴァンではまだ試合をやっている感覚ではなかったけど、湘南戦は急な出番でも結果を出せたことが良かった」

その湘南戦から中3日でのリーグ・横浜FC戦。そこまでリーグ戦の成績があまりよくなかったことや天皇杯無失点勝利への評価などもあり、約5年ぶりでのJ1舞台への出場が決まった。「ここまでの3試合がすべてアウェイだったので、アイスタでできるという高まりがありました」

そして横浜FC戦勝利で流れは大きく変わり、ここから連続出場する。すると、第28節鹿島戦ではさらに驚かせるプレーを連発した。それは、GKから前線へビッグチャンスにつながる正確なチャンスボールの供給だった。

前線に走る乾貴士にキックでつなぐと、その乾がライン際で受けたボールをゴール前のFW高橋利樹へ。頭で合わせた高橋のシュートは惜しくも枠外に逸れた。すると今度は投げて前線の高橋へ。こちらもゴールにはつながらなかったが、2つの素早いカウンター攻撃にスタンドは大きな盛り上がりを見せた。

「両方とも相手が前がかりだったことで、前線にスペースができたことが最大の要因。こちらも常に狙っているけど、受ける側も狙っていれば良い結果にもつながると思う」と、GKからの積極的な攻撃に自信を覗かせた。

そして今季も残り10試合。仮にGK交代があるとすれば、それはチーム状況の暗転を意味する。「最後まで試合に出続けられるように、結果を出してチームを上昇させたい」と梅田。

U-17日本代表で一緒にプレーしたGK谷山晃生(J1町田)、GK鈴木彩艶(パルマ・カルチョ1913)、MF久保建英(レアル・ソシエダ)、中村敬斗(スタッド・ランス)らが、世界を舞台に、そして日本代表で活躍している。「もう忘れられていると思う(笑)。一緒にやった経験もあるので、もちろん刺激にはなるし、そこに近づきたい思いもある」

訪れたチャンスを連続出場へと導いた梅田が、さらなる高みを目指している。
【スポーツライター・望月文夫】
1958年静岡市生まれ。出版社時代に編集記者としてサッカー誌『ストライカー』を創刊。その後フリーとなり、サッカー誌『サッカーグランプリ』、スポーツ誌『ナンバー』、スポーツ新聞などにも長く執筆。テレビ局のスポーツイベント、IT企業のスポーツサイトにも参加し、サッカー、陸上を中心に取材歴は43年目に突入。

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