《福浦産廃》事業者と計画に根強い不信感
福浦の自社採石場跡地で管理型の産業廃棄物最終処分場建設を計画している兵庫奥栄建設(神戸市灘区、米田憲二社長)による事業計画説明会が22日と23日にあり、同社は産廃処分場建設が許可されない限り、採石場跡地の埋め戻しを実行しない意思を示した。事業者や計画に対する不信は根強く、計画への理解が得られたとは言えない状況だ。
採石法では、採石権が消滅したときは、その土地を原状回復するか、または原状回復しないことによって生じる損失を補償して、土地を返還するよう義務付けている。
同社は同採石場での採掘を2010年に終了。その翌年に県へ提出した「緑化計画書」では、採掘で生じた約10・8ヘクタールのくぼ地を5年以内に埋め戻して原状回復を図るとしていたが、実行せずに跡地を産廃処分場へ転用する事業計画を13年までに提出。その後も形式的に採石場としての認可を県から取得しつつ、埋め戻しを引き延ばしている。
採石場としての認可を5年ごとに更新している県は前回認可時の21年8月、「跡地整備を計画的に実施し、早期に緑化を図ること」「関係各所との調整のうえ、埋め戻し計画を実施していくこと」などを条件に付したが、現認可期間の期限まで1年を切った今も埋め戻し作業は着手されず、県の「条件」は事実上形骸化している。
同社の事業計画では、関東や大阪からダイオキシンや重金属を含む燃え殻、ばいじんを海上輸送で受け入れ、くぼ地を埋め立てた後、さらに地表50メートルの高さまで積み上げる。地盤と埋立物の間に遮水シートを敷設し、処分場に降った雨水を水処理設備で処理した上で海に放出する、などとしている。
説明会で同社は、県から認可を受けた計画書で、くぼ地の埋め戻し材料を「建設残土等」と記載していることに触れ、「『等』は逃げ道じゃないか、と言われれば確かにそうだ」と建設残土に限定していない点を強調。くぼ地を含む採石場跡地一帯に産廃最終処分場を建設し、産廃で埋め戻しや造成を行っていく考えを改めて表明した。
質疑応答では、「福島原発の除染土を持ち込むつもりでは」「住民が反対しているのだから事業撤退すべき」など質問や意見があり、同社の役員らが「放射線は測ろうと思っている。8000ベクレル(※編集部註:焼却灰の埋立作業を行う作業員の安全が確保される水準として国が示している放射線の数値)を超えるものは入れない」「弊社も営利企業。みなさんの生活にご迷惑のかからないように努力していく。事業はやっていきたい」などと回答した。
説明会は、事業計画の一部変更に伴い、同社が県条例に基づき開催し、2日間で約45人が来場。会場の赤穂化成ハーモニーホール周辺では、のぼり旗を持った市民約20人が「計画反対」をアピールした。参加した市民の一人は「埋め戻し計画がまったくのでたらめで、市民をだます目くらましのものだとはっきりわかった。そのような業者を信用できるわけがない」と批判。別の参加者は「8000ベクレル未満の汚染土は持ち込むということか」と危惧した。