【2025年最新】児童発達支援・放課後等デイサービスの利用実態は?利用者の声、専門家QAも【発達ナビ大調査】
監修:井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
何か所通ってる?送迎はある?発達特性のある子どもが利用する「児童発達支援」「放課後等デイサービス」について大調査!【児発・放デイ編】
2024年12月20日から2025年2月28日に、LITALICO発達ナビでは「就学・進学アンケート」を行い、発達特性や発達障害のある子どもの保護者283名(未就学児20%、小学生34%、中学生19%、高校生16%、18歳以上11%)の声が寄せられました。アンケートへのたくさんのご回答、ありがとうございました。
児童発達支援(児発)や放課後等デイサービス(放デイ)に通っている方の割合・探し方、何か所通っているか、送迎はあるかなど、集計結果は皆さんの参考にもなるはずです。
児童発達支援、利用してる?お子さんの変化や要望などのコメントも紹介【児発アンケート結果】
児童発達支援を利用している方は53%、利用していない方は47%ということで、約半数ずつという結果になりました。
児童発達支援を利用しているお子さんの年齢で一番多いのが5歳(121名)となりました。その後は6歳(112名)、4歳(105名)、3歳(76名)と続きます。2歳から3歳の伸び率が高く、3歳児健診などがきっかけで児童発達支援に繋がる方も多いのではと思われます。
児童発達支援の探し方で一番多かったのは市区町村の窓口での紹介(79人)でした。その後にインターネットで探した(45人)、相談支援事業所の紹介(30人)、保護者間での口コミ(45人)と続き、発達ナビでの施設情報で探した方も16人いらっしゃいました。
発達ナビ施設情報では全国の児童発達支援、放課後等デイサービスなどが検索できます。
児童発達支援探しでは、特に大変なことはなかったという方が52人と一番多い一方で、希望の日数や曜日の調整(50人)、施設探しや見学(46人)、待機待ち(45人)などで苦労されている方も多くいらっしゃいました。
約48%と半数近くの方が1か所の児童発達支援に通っており、2か所通っている方は約29%、3か所以上通っている方も約23%と多くいらっしゃる結果となりました。
利用している児童発達支援について、送迎はないが47%、送迎があるが43%と送迎のない施設がわずかに多い結果となりました。
約76%と多くの方が児童発達支援に通い始めてお子さんに変化があったと回答しています。
具体的にはどのような変化があったのでしょうか?エピソードが多数寄せられましたので、以下にご紹介します。
・小3/グレーゾーンのお子さん
お友だちと関わることができるようになったり、親もわが子との関わり方を学べました。
・小6/軽度知的障害(軽度知的発達症)のお子さん
3歳半から通所したのですが、1年の間にもだんだん言葉が増え、癇癪が減り、トイレや着替えの身辺自立がとても進みました。また6歳の頃には児発でひらがなも教えてくれ、小学校入学前に自分の名前が書けるようにもなりました。本当に通所して良かったと感じています。
・未就学児/ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)のお子さん
とにかく落ち着いた。年少の頃は切り替えができず教室を飛び出してしまったりしたが、今(年長)ではどこが発達障害なの?と言われるくらい。(個別に見ていくとあれこれあるが)集団に入ると目立たなくなったな、と感じる。
・未就学児/中度知的障害(中度知的発達症)のお子さん
個別から集団にかわり、最初はざわざわした教室になじめず他害や部屋から出ようとするなど問題行動が続いていましたが、徐々になれていったのかお友だちのしていることを真似して楽しんだり、遊びに混ざりたがるようになりました。
・小1/DCD(発達性協調運動症)のお子さん
半期に一度の支援計画作成時の面談はあったが、もっと気軽に日常的に相談できたらよかった。
・小4/ASD(自閉スペクトラム症)のお子さん
言語聴覚士さんや心理士さん作業療法士さんなどに専門的な視点で見てもらいたい。
具体的にどうすれば良いか家族に教えてほしい。
・小6/感覚過敏、ADHDグレーゾーンのお子さん
田舎では児童発達支援自体が少なく、夏をすぎるとどこも満員で空いていなくて、すぐには入れない。支援が必要、早期療育が大切と聞いても、すぐには療育が始められない、待機している時間がもったいなかった。
・未就学児/ASD(自閉スペクトラム症)のお子さん
送迎付きだったのに廃止されてしまった児発があったので、復活してほしい。複数の児発に通うと、計画支援の更新の時期になると、それぞれの事業所から同じことを聞かれるのが親の負担になっている。
・未就学児/ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)のお子さん
サポートする担当の方が変わるだけで受けるサポートの質が違うこと、共有することを意識してほしいな。と感じます。
・高1/ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)のお子さん
望む親子が、誰でも支援を受けられるようになってほしいです。見えない行列です。
わが家が発達支援事業所に入れたのは本当にラッキーでした。途中転居したために、一度途切れてしまいましたが、最初の施設では親にも大きな学びがあったので、自学で支援を学び続け、1年半待って集団療育に入るまで、何とか家庭支援で繋ぎましたが、家庭のみで子どもの成長を支えるのはそれはそれは大変な負担でした。
低学年の利用が多い?送迎施設の割合は?放課後等デイサービスでの子どもの変化なども【放デイアンケート結果】
放課後等デイサービスを利用したことがある方が約52%、利用したことがない方が約48%とほぼ同じ位の割合となりました。
小学校低学年の小3(96人)、小2(94人)、小1(93人)の利用が多く、その後は年齢が上がるにつれて減少傾向となりました。思春期以降は自宅で留守番ができるようになったり、中高生向けの放課後等デイサービスが少ないなども理由として挙げられます。
相談支援事業所の紹介が33人と一番多く、そのあとに市町村の窓口での紹介(27人)、インターネットで探した(26人)、保護者の口コミ(20人)と続きます。発達ナビの施設検索で探した方は10人いらっしゃいました。
発達ナビ施設情報では全国の児童発達支援、放課後等デイサービスなどが検索できます。
放課後等デイサービス探しでは特に大変なことはなかった(50人)を施設探しや見学が大変だった(54人)が上回りました。希望の日数や曜日の調整(44人)、待機待ち(33人)も多く、放課後等デイサービスの施設数なども課題としてありそうです。
49%と半数近くの方が1か所の放課後等デイサービスに通っており、2か所通っている方は約27%、3か所以上通っている方も約25%と多くいらっしゃる結果となりました。
送迎があるが約65%、送迎がないが約25%と、児童発達支援に比べて放課後等デイサービスは送迎ありの施設が多い結果となりました。
約74%と多くの方が放課後等デイサービスに通い始めてお子さんに変化があったと回答しています。
具体的にはどのような変化があったのでしょうか?エピソードが多数寄せられましたので、以下にご紹介します。
・小3/ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)のお子さん
運動支援での活動は本人がやりやすく、楽しみながら運動する中で、SSTや感情コントロールを学ぶことができており、座学での支援より目に見えて効果があった。
・小6/軽度知的障害(軽度知的発達症)のお子さん
小1ではまだまだ感情の起伏が激しく、自己主張も強いので癇癪や他害も多かったのですが、癇癪→クールダウンの流れをずっと続けていたからか、今ではイライラしたら自分からその場から離れてクールダウンし、相手に謝ることができる等、とても落ち着いてきたなぁと感じています。
・小6/感覚過敏、ADHD(注意欠如多動症)グレーゾーンのお子さん
初めてのことが苦手だったが、放デイで少人数で体験したことがある場合は、学校でやる時に「あ、これやったことあるからできる」と取り掛かることができて、ありがたかった。
・小6/ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、SLD(限局性学習症)のお子さん
コロナ禍やトラブルで不登校になりかけた時に、本人にとって家や学校とも違った自分の居場所としての役割があったことで本人も家族もたくさん救われた。
・小6/ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)のお子さん
特性のあるお子さんが集まることで、冷静にものを見ることができるようになったと感じる。トラブルがあっても通級指導教室の先生、放デイの先生、家族など、その時の気持ちで相談相手を変えることができたことや、親と意見が合わなかった時など放デイの先生が親の気持ちをフォローした上で子どもにアドバイスしてくれたりとありがたく思った。
・高3/グレーゾーンのお子さん
高校卒業後のサークルみたいな場があると良いと思う。
・小6/ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)のお子さん
高学年になるにつれて、楽しくないと行き渋りが出てきた。低学年と高学年が同じプログラムは難しいかな?高学年用のデイがあればと思った。
・中学3年生/ASD(自閉スペクトラム症)のお子さん
利用していた放デイは長時間預かってもらえて助かったが、時間が短いところもあるので、親(母)が時短でないと働けないと思う。祖父母が送迎に協力してくれればフルタイムで働けそうだが……。
・小1/ASD(自閉スペクトラム症)、軽度知的障害(軽度知的発達症)のお子さん
4か所通っているので、学校も含めて、情報を共有したい。それぞれの施設の特徴に合わせて、伸びてほしいと思うところがあります。
児童発達支援と関係機関との連携、どうすればいい?不登校でも放課後等デイサービスに通える?専門家が疑問に回答!
Q:児童発達支援と幼稚園、保護者間での情報共有が上手くいっていないように感じます。皆さんそれぞれ忙しいと思うのでなかなかゆっくり話をする時間も取れず……保護者ができる働きかけなどはありますか?
A:国や自治体では、トライアングルプロジェクトといって、福祉事業者と園や学校、そして家庭と密に連携体制がとれる仕組みを推奨しています。保護者ができることとしては、個別の教育支援計画の作成や見直しの機会を利用し、保護者が仲介となって3者で共有することがまず考えられます。日頃からこうしたさりげない方法でゆるやかな連携をつくっておくことで、困った事案が生じたときには互いに顔を合わせた綿密な話し合いができる下地になると思います。(回答:井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授))
Q:ASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けた小3の不登校の子どもがいます。毎日家にいるばかりでは……と思い、学校と家庭以外での繋がりが欲しいのですが、放課後等デイサービスは不登校の子どもでも通って問題ないでしょうか?
A:放課後等デイサービスに通うことができる対象の子どもであれば、不登校の場合も利用できます。これまで明確な方針が示されていなかった不登校の子どもへの支援について、厚生労働省と子ども家庭庁が取りまとめた「令和6年度 障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について」で、不登校のお子さんの福祉事業所利用について初めて具体的に言及されました。さまざまな条件もありますが、最近では放課後等デイサービスに通うことで、学校の出席扱いにすることもできるようになってきました。
福祉行政においても学校に行くことが困難な子どもの学びの場として放課後等デイサービスの利用が推奨されてきています。相談支援専門員の方と話し合う中で、自分の子どもが通いやすい活動内容や環境が提供できる事業所を探したり、見学したりしてみるとよいでしょう。(回答:井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授))
就学・進学についてのアンケート結果や回答者情報も詳しくチェック!
回答者や回答者のお子さんの情報については「未就学・小学校低学年編」で公開中です。就学先の決め手や悩んだこと、どのような就学先を選んだのかなどの結果もぜひ合わせてご覧ください。
思春期での困りやトラブル、悩み、受験や中高の進路先、進路先での合理的配慮などについての結果は「小学校高学年、中高編」で公開中です。こちらもぜひご覧ください。
その他児童発達支援・放課後等デイサービス関連コラム
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。