爽やかな酸味とほんのり甘み「全国初」の挑戦で小さなマチの“エール”に
地元産のビールでマチを元気にしたい!
北海道沼田町で、全国で初めての挑戦が始まりました。
背景にあったのはマチに迫る危機です。
石狩平野に沈む夕日のような黄金色。
これが沼田町で作られた地ビール『ライスエール』です。
口いっぱいに広がるのは爽やかな酸味。
お米の甘みもかすかに感じます。
さすがはコメどころ。
その名の通り材料に、特産の『雪中米』をブレンドしました。
沼田町は2024年11月、駅前にビールの醸造所、『石狩沼田ブルワリー』を建設。
元地域おこし協力隊員が設立した企業「ラストランド合同会社」に、運営を委託しました。
『公設民営』のビール醸造所は全国で初めてです。
「もう泣きそうで、今もウルウルしている。やっとプロジェクトの芽が出た段階。これからどう育つか…」と感無量な様子なのがその元協力隊員。
5年前に東京から移住してきた村上信吾さんです。
留萌線の深川と石狩沼田の間の廃止が2026年4月に迫るなか与えられたミッションが、その廃止後を見据えた駅前のにぎわい作りでした。
「駅は生活の基点になっている場所。マチの中心にあるので、そういう場所でビールを作りたい」
醸造所の近くで飲むのが絶対おいしい
衰退が危ぶまれるマチをどう救えるのか。
地元の高校生や利用者から意見を聞いて、村上さんが思いついたのが、東京で培ったレストラン経営のノウハウを活かせるビールづくりでした。
「環境も空気も食材もいいので、自分たちでお金を稼いで雇用を生んで、人を多く使ってマチが元気になっていく」
町もこのアイディアに賛同し、醸造所を設置。4月に生産をスタートさせました。
6月上旬開かれた町民向けの試飲会。
町立の醸造所でできたビールの味に町の人々が「おいしい」「これで沼田町をもっと知ってもらいたい」とにっこり。
評判は上々で村上さんも手応えを感じています。
「醸造所のそばで飲むのが絶対においしい。廃線まであと1年あるので、JRに乗ってぜひ1回飲みに来てほしい」
飲めばマチへの“エール”になる。
全国初の取り組みでうまれた『ライスエール』が、マチおこしにつながるか注目されます。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年6月13日)の情報に基づきます。