昨年最高出塁率の阪神・大山悠輔 、四球が47個減った今季の不振原因をデータ分析
昨年全試合4番の主砲が…
“アレンパ”はならず惜しくも2位に終わった2024年の阪神タイガース。敗因は様々あるだろうが、そのうちのひとつが大山悠輔の不振だろう。昨季はリーグ最多の99四球を選んで最高出塁率(.403)に輝いた主砲が、今季は52四球にとどまり、打率.259、出塁率.338、14本塁打と成績を下げた。
6月には二軍落ちも経験。2023年は全試合4番を張ったが、今季は5番で起用される試合も少なくなかった。
チーム総得点はリーグ最多だった昨季の555点から、リーグ3位の485点に減少。チーム打率は昨季が.247、今季が.242と大きく下がったわけではないにもかかわらず総得点が減少しているのは、チーム本塁打数が84本から67本に減った影響もあるだろう。
昨年は岡田彰布監督がフロントに掛け合って四球の査定ポイントを上げたため、リーグ最多の494四球を選んだことが話題になった。今季もリーグ最多ではあるものの441四球と53個減っており、47個減った大山のマイナス幅に近い。
もちろん、全てが大山の責任などと言うつもりは毛頭ないが、結果的には主砲の不振が響いたことは確かだ。一体、昨季と何が違ったのか。データから探ってみた。
ボールゾーンのスイング率が4.6ポイント上昇
もしかして、昨季99四球を選んだ大山に対して、今季は他球団の投手がストライクゾーンで勝負するようになったのではないかとも思ったが、調べてみるとそうでもなかった。
シーズンを通して総投球数に占めるストライクゾーンの割合は2023年が46.3%、2024年が46.8%。ボールゾーンの割合は2023年が53.7%、2024年が53.2%とほとんど変わっていない。
ただ、相手投手の攻め方は大きく変わっていないにもかかわらず、大山はボール球に手を出していた。ストライクゾーンのスイング率は昨季が58.9%、今季が59.7%と大きく変わらないが、ボールゾーンのスイング率は21.0%から25.6%と4.6ポイントも増えているのだ。
ファーストストライクの打率が1割以上低下
ボール球に手を出せば、成績が下がるのは自明の理。それにしても、昨季は99四球を選んだ選球眼を持ちながら、なぜ今季はボール球に手を出したのか。その謎を解く鍵になりそうなデータがファーストストライクの打率だ。
昨季はファーストストライク打率.407、5本塁打をマークしたが、今季は打率.261、2本塁打。ファーストストライクのスイング率は昨季が40.5%、今季が38.6%とほとんど変わらないにもかかわらず、打率は大きく下がっている。つまり打ち損じが多かったのだろう。
2ストライクを奪われてからの打率は昨季が.202、今季が.208とほぼ同じレベルの低さ。昨季は追い込まれる前に好打していたが、今季はファーストストライクを捉えきれず、結果的に追い込まれてボール球に手を出すパターンが増えたと推測できる。
粘れないから1打席あたりの投球数も昨季の4.07球から3.92球に減っているのだ。
昨季打ち込んだ菅野智之、小笠原慎之介らに抑え込まれる
投手別に見ると、巨人・菅野智之は昨季の打率.500(6打数3安打2本塁打4打点)から.267(15打数4安打1打点)、中日・小笠原慎之介は打率.545(11打数6安打1打点)から.250(12打数3安打2打点)、ヤクルト高橋奎二は打率.500(12打数6安打2本塁打5打点)から.333(3打数1安打1打点)、DeNA森原康平は打率.500(6打数3安打1本塁打4打点)から.200(5打数1安打)と昨季打ち込んだ投手との対戦成績が落ちている。
前年打たれた打者に対して投手が対策を講じるのは当然とはいえ、結果的に大山はそれを上回る対応をできなかった。追い込まれるからボールに手を出し、ボールに手を出すから四球が増えず…の悪循環。2020年から3年連続20発をマークし、昨季も19本塁打を放ったが、今季の14本塁打は2019年以来の少なさだ。
とはいえ、まだクライマックスシリーズが残っている。2年連続日本一へ大山の爆発は不可欠。ファーストストライクをきっちり捉え、ボール球を見極めることができれば、チームにも明るい光が差し込むに違いない。
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記事:SPAIA編集部