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ドラマから生まれたドラマ…北海道の牧場で競走馬の余生に4時間で1500万円の支援が

Sitakke

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TBS系列で放送中の日曜劇場ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』。
競馬の世界を舞台に、夢を追い続けた熱き大人たちの壮絶な物語です。

ドラマの舞台となっている北海道内の馬産地では、もうひとつの物語が動き出していました。引退した競走馬を守るためのプロジェクトです。

ボロボロの厩舎

数々の名馬を生み出してきた日高地方の新冠町。
競走馬の生産が盛んな一方で、引退した競走馬もこの地で余生を送っています。
しかし…

築40年の厩舎には、屋根がありません。老朽化で、今にも崩れ落ちそうなボロボロの厩舎。
新しい厩舎を建てようにも、1頭の餌代だけで月に5万円ほどかかるため、費用を捻出するのは厳しい状況です。

広がる支援の輪

READYFORホームページ

そこでインターネットを通じて資金を募ったところ、ドラマ効果も手伝ってか、窮地の牧場に全国から続々と救いの手が!

「微力ながら支援させていただきます」
「現在放送中のドラマを観て、馬に興味を持ちました」
「引退競走馬たちの未来に幸あれ!」

ノーザンレイクの佐々木祥恵さんは「うれしい悲鳴。厩舎を建てるのが目標だった」とうれしそう。

引退馬に幸せな余生を!
新厩舎建設プロジェクトを追いました。

馬房の7割以上が使えない状態

元競走馬 ネコパンチ(♂19歳)

北海道日高地方の新冠町にある養老牧場「ノーザンレイク」です。
競馬ファンにはお馴染みの元競走馬「ネコパンチ」など、現在は引退した競走馬6頭が暮らしています。

牧場でサラブレット以上に存在感を見せているのが、看板猫の「メト」です。
馬と猫の仲睦まじい姿がSNSで話題となり、写真集やグッズまで販売される人気ぶりです。

看板猫「メト」(撮影 2024年12月)

ノーザンレイクの佐々木祥恵さんによると「突然現れて、それからずっと牧場にいる」とのこと。

開業したのは5年前。
JRAの厩務員だった川越さんと、競馬ライターとして活躍する佐々木さんが引退馬の余生を少しでも幸せにしたいと、築40年以上の厩舎を修復しながら運営してきました。

競馬ライター 佐々木祥恵さん JRA元きゅう務員 川越 靖幸さん

しかし、老朽化がさらに進み、馬が生活する部屋=馬房の7割以上が雨漏りや天井や壁の崩落などによって使えない状態になっています。

佐々木祥恵さんが「『ネコパンチ』の馬房、今ちょっと雨漏りしてる。かわいそうに端によけている」と教えてくれました。

引退馬を世話する養老牧場の主な収入源は、馬主(うまぬし)からの預託料です。
馬の飼育や施設の維持には膨大な費用がかかり、新厩舎の建設となると、さらに多額の費用が必要になります。


驚きの支援額

そこでグッズ販売などをサポートしていた商工会の職員で、観光協会の仕事も兼務する阪井 美衣奈さんがクラウドファンディングを提案しました。

「衝撃的ではありました。『助けないと』となってしまうぐらいの荒れようですよね」

チラシやSNSでの呼びかけもあり、開始わずか4時間で、最初の目標金額の1500万円に到達。11月10日の時点で、支援金は6800万円を超えました。

ノーザンレイクの川越靖幸さんは「驚きましたね。驚きです。短時間でわっと。こんなに応援されているかと思うと恐縮しちゃう」と驚きを隠せません。

新しい厩舎は、夏場でも馬が快適に過ごせるよう、天井を高くして熱がこもらないようにするなど馬の体調管理を第一に考えた施設を計画しています。

佐々木さんは「これから私たちも年をとっていく一方なので、これから新しい人がこういう牧場やりたいっていう人にいろんな選択肢があってもいいと思う。そのなかの成功事例の一つにでもなればいい」と話します。

馬の一生を考えたサポート

この新厩舎は、仮にクラウドファンディングで資金が集まらなかったとしても、建てなければいけない状況だったため、すでに工事が始まっていて、2026年の春頃に完成する予定だということです。

HBCテレビ「今日ドキッ」のスタジオでは、ゲストコメンテーターの鈴井貴之さんが「多くの方たちの善意によって、こういう形で新しい厩舎ができるのはよかった」と話す一方でこう指摘しました。

「馬の一生は30年以上あるわけですから、馬主さんが競走馬の時代だけでなく、それを終えた後も含めてしっかりと考えて、本来はサポートしてもらいたいですね」

「こういうクラウドファンディングで、助けられるのは結果的にはいいことだが、それ以前の問題を明確にしてほしいと思います」


引退した競走馬のその後

日本では毎年約7000頭が競走馬として生産されていて、2024年は7000頭弱が引退しています。

引退した競走馬がその後どうなるのかというと、セカンドキャリアとして繁殖馬になったり、乗馬クラブに引き取られたりするケースがあります。
また養老牧場などで余生を過ごす馬もいます。

その一方で肥育・殺処分される馬も少なくありません。

これをどれだけ少なくできるかが大事になってきます。
引退馬の受け入れ先は不足していて、すべての馬が生涯を全うできるわけではありません。

コメンテーターの鶴岡慎也さんは「殺処分になる馬が1頭でも少なくなる環境を作っていってほしい」と話します。

「野球選手やOBで馬主になっている人もたくさんいるが、競走馬はすごく活躍して日の目を見る馬もいれば、勝てずにそのまま引退していく馬もいて、でも、どの馬も幸せな余生を過ごしてほしいなと思います」

スタジオでも様々なディスカッションが行われました。
一部の牧場だけでなく、数千頭いる馬たちみんなに幸せな余生が送れる環境が広がってくれればいいと切に思います。

今回、ドラマのロケ地となったことで、いま北海道内の馬産地が注目されていますが、新冠町では今後の観光や移住促進に期待しています。

「ロケツーリズム」成功の秘訣

人を呼び込むために重要なことは何か。

北海道大学 観光学高等研究センターの小泉大輔准教授によりますと、作品のロケ地を観光資源として活用する「ロケツーリズム」を成功させるための条件は以下の2つ。

・観光客が追体験できる情報や、受け入れ体制を地域側が主体的に整備することが重要
・その際は、新冠町だけではなく、広域での連携が必要

ドラマを通じて、今後も馬産地の魅力が広がってほしいと思います。

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年11月10日)の情報に基づきます。

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