【川崎市麻生区】虹ヶ丘小学校 児童参画の寺子屋開講へ 川崎市内初 企画、運営も担当
子どもの学習支援や体験活動を地域と連携して行おうと川崎市教育委員会が進める「地域の寺子屋事業」。麻生区の虹ヶ丘小学校(井上恵子校長)では市内で初めて児童が立ち上げから携わり、企画、運営に参画する「寺子屋にじがおか」の開講準備が進んでいる。
「何かを立ち上げる機会はなかなかない。子どもたちも携わらせてあげたい」と井上校長が児童の参画を提案し、実現したという。寺子屋にじがおか運営委員会では6月、児童に習い事やこども文化センターの利用頻度、放課後に「あったらいいな」と思うものなどについてアンケートを実施。この結果をふまえ、7月に開かれた座談会では前PTCA会長で運営委員会の委員長を務める前村嘉昭さんが同校を訪れ、児童らと放課後の過ごし方についてアイデアを出し合った。
話し合い深め
9月8日に行われたワークショップには、4年生から6年生の児童60人ほどが参加。実際に寺子屋で行う体験学習として、前村さんが座談会で出たアイデアからテーマを3つに絞って提示。どの案がよいか、6年生をまとめ役としてグループごとに話し合った。
テーマは商品企画やお金を稼ぐ体験として「にじっこ社長」、年齢や体格に関わらず楽しめるオリジナルスポーツを考える「新しいスポーツ開発」、描いた絵が動き出すデジタル体験「リトルプラネット」の3案。児童は活発に意見を出し、話し合いを進めた。「すぐに実現できそうだから新しいスポーツ開発がいい」「決まり切らなかったけど、いろんな理由が聞けてよかった」と感想を語っていた。
6年生の茂木柾希さんは「前は司会も書記も自分でやっていたけど、今回は5年生が協力してくれて助かった」、一ノ瀬凌さんは「4年生も手伝ってくれて、スムーズに進められた」と話し合いを振り返る。坂下こと美さんは「たくさんの人に参加してほしい。他の学年の話したことのない子とも仲良くなれるかもしれない」と寺子屋への期待を寄せた。
「活躍できる場を」
虹ヶ丘小学校は児童数127人、全学年1クラスずつと市内で最も人数が少ない小規模校。少人数ならではの縦割り活動などを充実させており、「子どもたちの世界を広げてあげたい」と井上校長は話す。昨年度卒業した6年生は「放課後に校庭を使いたい」と要望し、委員会を立ち上げて利用のルールなどを決め、校庭開放を実現した。「今の6年生はその姿を見ているので、自分たちも何かやりたいという気持ちが強い。子どもたちが関わって学校のルールや仕組みを考えていく体験をさせてあげられたら」と思いを話す。前村さんは「児童の意見を参考にして大人が考えていくが、形にするところは一緒にやっていく。学校運営協議会を中心に、地域教育会議などとも連携を取り、この地区の特性を生かした活動や子どもが活躍できる場になれば」と話している。
今後は、活動の企画や運営に取り組む「こども運営委員」を児童から募り、9月24日(水)に児童も交えた打ち合わせを実施。週1回、放課後の学習支援と月1回程度の体験活動の開催を見据え、10月下旬頃をめどに開講する予定だ。