女子プロ新団体マリーゴールドが両国国技館でビッグマッチ開催!ジュリアとSareee待望の一騎打ち!WWEからイヨ・スカイが飛来し林下詩美と初対戦!
女子プロレスの新団体マリーゴールドが7月13日(土)、東京・両国国技館にて『MARIGOLD SUMMER DESTINY 2024』を開催する。今年5月20日、後楽園ホールに超満員の観衆を動員し華々しいスタートを切り、その大会で今回のビッグマッチを発表した。旗揚げから8週間弱での両国到達は快挙そのもの。今年における女子プロレス界最大のビッグマッチとも言えるこの大会では、第0試合を含む全9試合がおこなわれる。それぞれの見どころを探ってみよう。(文・新井宏)
『MARIGOLD SUMMER DESTINY 2024』
■第8試合 The DESTINY30分1本勝負
ジュリア vs Sareee(フリー)
■第7試合 Queen of Queens~誰を信じるかは自分で決めろ!~30分1本勝負
林下詩美 vs イヨ・スカイ(WWE)
■第6試合 初代ユナイテッド・ナショナル王座決定トーナメント決勝戦30分1本勝負
ボジラ vs MIRAIと青野未来の勝者
※勝者が初代ユナイテッド・ナショナル王者となる
■第5試合 初代ユナイテッド・ナショナル王座決定トーナメント1回戦30分1本勝負
MIRAI vs 青野未来
※勝者が決勝戦でボジラと対戦
■第4試合 マリーゴールド vs LLPW-X 6人タッグマッチ20分1本勝負
高橋奈七永&桜井麻衣&石川奈青 vs 神取忍&井上貴子&NØRI
■第3試合 初代スーパーフライ級王座決定トーナメント決勝戦30分1本勝負
翔月なつみ vs 松井珠紗
※勝者が初代スーパーフライ級王者となる
■第2試合 タッグマッチ15分1本勝負
CHIAKI&野崎渚 vs マイラ・グレース&ゼイダ・スティール
■第1試合 タッグマッチ10分1本勝負
天麗皇希&後藤智香 vs ビクトリア弓月&X
■第0試合10分1本勝負(14:10開始)
南小桃 vs 瀬戸レア
【第0試合10分1本勝負】(14:10開始)
本戦開始前の14:10にスタートする第0試合は、南小桃と瀬戸レアによるシングルマッチだ。南はスターダムでのデビューが決定していたが、負傷により延期。一時はプロレスから離れてしまったのだが、マリーゴールドに入団し6.11後楽園ホール大会で正式にデビューを飾った。団体生え抜き第1号ともなる南の相手は、元センダイガールズプロレスリングを退団し、新団体に新天地を求めた丸森レアあらため瀬戸レアだ。瀬戸は南がデビューした6.11後楽園に来場、マリーゴールド所属となることが発表された。瀬戸は昨年の仙女8.9でデビューし、いきなりシングル初勝利を挙げた期待の星。瀬戸には半年のブランクを経てのリングとなるが、南、瀬戸ともにケガを乗り越えてデビューにこぎ着けており、両者のプロレスに対する思いがぶつかり合うシングルマッチになりそうだ。
【第1試合 タッグマッチ10分1本勝負】
本戦のオープニングを飾るのは、「天麗皇希&後藤智香 vs ビクトリア弓月&X」のタッグマッチだ。マリーゴールドを大きく分ければ、スターダム退団組とアクトレスガールズ退団組によって構成されている。旗揚げ会見でスターダム退団組が意気込みを述べたあと、突如現れたのが元アクトレスガールズの6選手だった。なかでも天麗と後藤は、醸し出される雰囲気やポテンシャルからプロレスラーとしての期待値が高く、将来を嘱望される存在だ。元アクトレスガールズ同士の闘いとなった旗揚げ戦では、天麗&後藤組が勝利し、“プロレスデビュー戦”で初勝利、スター性の高さをいきなり実証してみせた。長身を武器とするツインタワータッグで、遅かれ早かれ新設されるであろうタッグ王座に今から照準を絞っており、初のビッグマッチとなるこの試合で大きなインパクトを残したいところだ。
対するビクトリア弓月は、スターダムからの移籍。昨年11月にデビューした19歳ながら、早くからその才能を開花させ、下馬評を覆して23年度のスターダム新人王を獲得した。空中戦を得意とすると同時に、新人王決定戦のフィニッシュからもわかるように、大きな相手も丸め込むローリングアローが最大の武器だ。さらなる活躍が期待される中で、彼女はあえて新団体での闘いを選択。リングネームを弓月からビクトリア弓月に切り替えた。しかも旗揚げ戦の相手に大ベテランの高橋奈七永を指名し大事なオープニングマッチを志願、大会を勢いづけたと言っていい。それだけに、元アクトレスガールズ勢には負けていないとの自負がある。パートナーのXが誰になるかで試合の方向性が変わってくる可能性もあるが、大筋は別の道からマリーゴールドで交わった選手たちの意地のぶつかり合いとなるだろう。新団体の未来を予感させるこの試合で、主役の座をつかむのはいったい誰だ!?
【第2試合 タッグマッチ15分1本勝負】
第2試合は「CHIAKI&野崎渚 vs マイラ・グレース&ゼイダ・スティール」のタッグマッチ、日本人vs外国人という図式となる。アクトレスガールズからマリーゴールドに新天地を求めたCHIAKIは、過去に2試合をこなしていたが、アクトレスガールズがプロレス団体から撤退したため、リングでの活動はあってもプロレスから離れてしまった。が、マリーゴールド旗揚げ戦でMIRAIを相手にプロレス復帰、実績あるMIRAIと力のぶつかり合いを展開し、パワーファイターとしての期待がかかる。
そんなCHIAKIはフリー参戦中の野崎渚との共闘を選択。6.29仙台で合体をアピールすると、翌日の宮古では野崎の試合に加担、元アクトレスガールズの天麗皇希と後藤智香にセコンドからちょっかいを出していた。野崎は、2006年11月にNEOでデビューし、何度も負傷による長期欠場を強いられながらもwaveでエースに君臨、昨年10月の退団後はNOAHに主戦場を求めた。旗揚げ前のマリーゴールド勢がNOAHに乗り込んだことから、野崎は新団体もターゲットに定めたのだろう。CHIAKIとのタッグ結成で、これまでの経験を新パートナーに叩き込んでいくことが期待される。
相手は、外国人コンビのマイラ&ゼイダ。マイラは北アイルランド、ゼイダはアメリカ・バージニア州からの初来日だ。マリーゴールドのリングが初対面ながら、同じタイプのレスラーとあって意気投合。2人で経験を積み、日本の女子プロレスを吸収中だ。
【第3試合 初代スーパーフライ級王座決定トーナメント決勝戦30分1本勝負】
第3試合は新設された初代スーパーフライ級王座決定トーナメント決勝戦。Ⅰ回戦でゼイダ・スティールを破った翔月、マイラ・グレースを退けた松井が初代王座の座をかけて激突する。翔月、松井ともアクトレスガールズからの移籍組ながら、両者の境遇は対照的だ。翔月は宝城カイリ(カイリ・セイン)らと同期のスターダム3期生としてデビューも、13年7月、負傷をきっかけに退団。21年11月にアクトレスガールズで復帰したのだがプロレス団体の活動が終了し、マリーゴールド入団で改めてプロレス界に戻ってきた。両国は宝城とのタッグでゴッデス・オブ・スターダム王座を初戴冠した思い出の場所だけに、この試合にかける思いは並々ならぬものがあるはずだ。
対する松井は、舞台俳優からアクトレスガールズに入団しプロレスデビュー、プロレスの魅力に目覚めた。二刀流をこなしながらも次第にプロレスに集中したいとの思いが募り、風香に相談したところ新団体への乗り込みに合流。トーナメントを目前にした6.11後楽園ではタッグマッチながら松井が翔月からフォール勝ち、6月いっぱいで舞台活動に区切りをつけ今回のタイトル戦に臨むことになる。旗揚げ戦では天麗皇希&後藤智香組に花を持たせてしまった2人だけに、どちらも負けられないとの思いが強い。どちらが勝ってもプロレスでのシングル初戴冠。正式復帰後初の称号を奪取するのは、翔月か、それとも松井か?
【第4試合 マリーゴールド vs LLPW-X 6人タッグマッチ20分1本勝負】
第4試合は今大会唯一の団体対抗戦。マリーゴールドの高橋奈七永&桜井麻衣&石川奈青組と、LLPW-Xの神取忍&井上貴子&NØRI組による6人タッグマッチだ。元スターダム勢が出席した旗揚げ会見で、唯一の“非”元スターダムが元アイスリボンでフリーとして活動していた石川だった。奈七永もスターダムにフリー参戦していただけに、よけいに石川が浮くように見えたのだ。案の定、旗揚げ戦のポスターにおいても石川は元アクトレスガールズ勢より小さな扱い。試合でも結果が出せない石川に対し、6.23新木場で奈七永がパッション注入マッチで対戦。試合は当然のごとく石川の完敗だったが、奈七永は奮起を促すためにあえて石川とのタッグを呼びかけ、しかも両国での相手に神取&貴子組をアナウンスしたのである。
後日“シン・超貴婦人”桜井麻衣が奈七永&石川組とのトリオ結成をアピールし、6人タッグに変更。LL軍には元総合格闘家で昨年11月の『井上貴子デビュー35周年記念大会』でプロレス復帰したNØRIが出陣することとなった。女子プロ界の重鎮、格闘技ベースの選手との対戦とあって、石川には試練すぎるカード。ここをどう乗り切れるか? 今後の石川を占う試合になりそうだ。また、貴子との元全女対決に加え、奈七永と神取の意外な初遭遇も大きな見どころだ。両国大会翌日がデビュー28周年となる奈七永だが、まだまだやるべきことがあるということか。そして、貴婦人・桜井は神取、貴子を相手に貴婦人を貫けるのか。こちらも見逃せない。
【第5試合 初代ユナイテッド・ナショナル王座決定トーナメント1回戦30分1本勝負】
元スターダムのロッシー小川が設立した新団体マリーゴールドで、2つのフラッグシップタイトルが新設される。1つがマリーゴールド・ワールド王座で、もう1がユナイテッド・ナショナル王座。前者はジュリアとSareeeで争われ、後者は4人参加のトーナメントで決することになったのだが、そのトーナメントⅠ回戦が予想外の波乱となった。MIRAIと青野未来で決着がついていないのだ。まずは6.16名古屋で引き分け。両者失格……とはならずに、6.23新木場の再戦、6.29仙台での再々戦もドローに終わった。すべて既定の15分に加え、5分間の延長戦をもってしても決まらなかったのである。合計60分闘っても白黒つかない。アイアンマッチの様相を呈したMIRAIと青野の一戦は、7.13両国まで持ち越される異例の事態となった。両国で4度目の1回戦を行い、勝った方が決勝戦でボジラとベルトを懸けて闘うことになるのである。すなわち、勝った方が1日2試合。しかも“大怪獣”ボジラとの決戦となるだけに、厳しい闘いとなることは必至だ。
MIRAIと青野はマリーゴールドで初遭遇。MIRAIが元スターダムで、青野は元アクトレスガールズという対照的なポジションにある。MIRAIは東京女子プロレスでデビューし、スターダムに移籍。そして今回、スターダムを離脱し新団体に参加した。キャリアこそ5年だが、これまでにワンダー・オブ・スターダム王座奪取やシンデレラ・トーナメント連覇など実績は豊富。近い将来におけるマリーゴールドのエース候補と言っていいだろう。
一方の青野はアクトレスガールズでデビューし、リング使用のスポーツエンターテインメントに残留。新生アクトレスガールズのエースに君臨してきた。かねてより彼女のポテンシャルは注目されており、待望のプロレス復帰と言っていいだろう。旗揚げ戦から始まったプロレスへの帰還では、ブランクどころか進化を見せており、アクトレスガールズで積み上げてきた成果を見せつけている。そんな2人の闘いは回を重ねるごとに激しさを増し、ベルトへの思いをさらに募らせている。ここまで来たらどちらも引き下がれない。はたして、両国ではどんな決着がつくのか。もちろんその先には、ボジラが控えているのだが……。
【第6試合初代ユナイテッド・ナショナル王座決定トーナメント決勝戦30分1本勝負】
「MIRAI vs 青野未来」の勝者を待つのが、ドイツからやってきた“大怪獣”ボジラである。まだ20歳のボジラは、マリーゴールド旗揚げ戦で初来日。いきなりメインに抜てきされ、ジュリアとSareeeの対決に注目が集まる中、ド派手なファイトで会場の空気をかっさらっていったのである。
日本が誇る怪獣ゴジラをリングネームのモチーフにしたこのモンスターは、ハノーバー・トーナメントで知られるハノーバー出身。2022年3月に父ウルフ・ヘアマンとのタッグでデビューした。身長2メートル級の大型レスラーでもある父は未来日ながらドイツ語圏で活躍した名レスラーで、アメリカECWでも闘った経験を持つ。
娘ボジラはその遺伝子をそのまま引き継いだか、体重100kg超の男子選手と当たり前のように闘ってきた。むしろ女子レスラーとの対戦は少なく、マリーゴールドが初めての女子プロレス団体参戦なのである。そんなボジラは来日初戦でビッグインパクトを残し、トーナメントでは野崎渚を破り決勝に進出。MIRAIと青野のどちらが上がってきてもボジラ優位は否めないだろう。両国の大会場でもボジラパワーが大爆発し、日本人選手を圧倒する姿が目に浮かびそうだ。初代UN王者の最短距離にいることは間違いない。経験値のみが、唯一の不安材料か。
【第7試合 Queen of Queens~誰を信じるかは自分で決めろ!~30分1本勝負】
マリーゴールド初のビッグマッチにWWEからイヨ・スカイがやってくる。イヨとは、言わずと知れた紫雷イオのこと。初期のスターダムを支えてきたイオだが、2018年6.7後楽園を最後にスターダムを離れ、同年8月の『メイ・ヤング・クラシック』でWWEデビュー、いきなり決勝戦までコマを進めた。同月末よりNXTで闘い、20年6月にNXT女子王座を獲得しWWE初戴冠。22年8月にロウに昇格し、ベイリー、ダコタ・カイ、さらに日本人スーパースターのASUKA、カイリ・セインとダメージCTRLを結成した。WWE女子部門に一大ムーブメントを巻き起こすとともに、WWE女子タッグ王座、WWE女子王座を獲得。そして今年4月の『レッスルマニア』に女子王者として登場、ベイリーにベルトを奪われるも、シングル王者としての祭典登場はとんでもない快挙である。そのイヨが6年ぶりに日本へ帰還し、詩美と対戦する。
“ビッグダディ三女”として知られる詩美は、紫雷イオに憧れ自らの意志でスターダムに履歴書を送りプロレスラーになった。が、リングでの接点はなく、イオと入れ違いになるように18年8月にデビューすると、イオがつくったクイーンズクエストの一員となり、離脱までリーダーとして活躍してきた。それだけに、イオに対する思いは大きい。と同時に、イヨとの試合でマリーゴールドのエースを見せつける必要もあるだろう。5年ぶりとなるWWE日本公演での凱旋を前に、詩美と闘うために一足早くマリーゴールドのリングにやってくるイヨ・スカイ。元ワールド・オブ・スターダム王者対決ともなる詩美とのシングルは、いったいどんな闘いになるのだろうか? そして、この試合から生まれるものとは?
【第8試合 The DESTINY30分1本勝負】
ジュリアとSareeeのシングルマッチは、運命の一戦である。両者の出会いは2019年6月の『田中稔デビュー25周年記念大会』だった。田中の妻で元レスラーの府川唯未がSareeeの相手として選んだのがアイスリボン所属のジュリアだったのだ。このときは、ジュリアがまだSareeeに胸を借りる形。試合はSareeeが勝利しながらも、ジュリアに対しては好印象を抱いていたという。その後は再び接点がない状態だったものの、SareeeがWWE参戦で渡米中にジュリアの活躍を知るようになり、興味が沸いた。アイスリボンからスターダムに移籍し話題となったジュリアの行動力に、良くも悪くも惹かれたのだという。
その後、お互いに名前を出すようになり、Sareeeが拠点を日本に戻してから対戦の機運が高まっていく。そして決まったのが、なんと新団体のリング。その前にSareeeはスターダムで岩谷麻優のIWGP女子王座に挑戦。この2団体を股にかけて闘えるのはSareeeのみと言っていい。当のSareeeは「私は闘いたい相手がいるリングにいくだけ」と意に介す様子はない。いずれにしても、WWE入りが噂されるジュリアと元WWE・Sareeeの再会はマリーゴールド旗揚げの中心トピックスとなり、5・20後楽園でのタッグマッチは近年まれに見るほどの大興奮に包まれた。が、その代償はあまりにも大きく、ジュリアが右腕を負傷、以後の大会は欠場となり、両国でのSareee戦が危ぶまれてしまったのである。
その後、Sareeeはマリーゴールドにレギュラー参戦、新団体の中心人物として君臨し、ことあるごとにジュリアを挑発してきた。ジュリアも各会場に足を運んでおり、気持ちは来るべきSareee戦に向いている。が、試合出場の可否は最終的なメディカルチェックで判断されるとのこと。予定通り試合が行われれば、ジュリアとSareeeの一騎打ちはマリーゴールド・ワールド王座決定戦となることをロッシー小川代表は明言しているが……。
どちらにしても、両国に足を運べば歴史の目撃者になれるだろう。7.13両国のメイン、ジュリアとSareeeの運命は!?
(記事提供:MARIGOLD)