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堂本光一「どの公演も全力で」 多くの歴史を作ってきた『Endless SHOCK』ファイナル公演が堂々開幕

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『Endless SHOCK』

2000年11月に初演となる『MILLENNIUM SHOCK』を上演して以来、堂本光一が国内ミュージカル単独主演記録を更新し続けている『SHOCK』。2024年は4月・5月に帝国劇場で開幕し、7月・8月に大阪、9月に福岡で公演を行ってきた。5月9日の公演では単独主演記録2018回を達成し、単独1位を記録。博多座での公演で2100回を達成するなど、偉大な記録を残している本作のラスト公演がついに帝国劇場で開幕した。

(左から)上田竜也、堂本光一

カーテンコール内で行われた会見において、堂本光一は「4月・5月に帝国劇場で始まり、地方を経て帝劇に戻ってきました。帝劇の稽古場や場当たりを通して、最後だということをひしひしと感じています」と語る。「でも、ステージに立つときは初日や千秋楽を意識しません。今回も一つひとつの公演にかけていこうと思います。いつも通りです!」と意気込んだ。

ライバル役を演じる上田竜也は「この1ヶ月間、全力で光一くんのサポートをさせていただきたいと思っています」と挨拶。オリジナリティのあるライバルに仕上がったのでは、という質問に上田本人は「どうなんでしょうか」と首をひねるが、堂本が「この風貌ですから(笑)」と答える。

また、ふぉ〜ゆ〜が揃って出演するのは10年ぶりだという。辰巳雄大が「『SHOCK』が4人で出た初めての舞台でした。そこで全員下の名前が「ゆう」で始まると気づいたので、生みの親のようなステージです。光一くんが稽古場で写真を撮っているのを見て終わるんだなと思いました」と感慨深げに語る。

稽古場の雰囲気を聞かれた堂本は「ふぉ〜ゆ〜2人でもうるさいのに、4人になったらどうなることかと思いました。動物園でいうなら鳥コーナー」といじりつつ、「役柄チェンジなどもあって変更が多かったんですが、(ふぉ~ゆ~は)4人で話し合って動けるので頼もしかったですね」と振り返った。さらに、キャスト変更により出演が決まった松浦銀志に「17歳。若い! ご両親はいくつ?」と訊ねた堂本。自分より年下らしいと知って「息子じゃねえか!」と倒れ込むと、すかさずふぉ〜ゆ〜が駆け寄って励ますなど、息のあったやり取りを見せる。

松浦は「去年見に行ったとき、同期の阿達慶が出ていました。すごいなあと思いながら見ていたステージに自分が出られるとは」と話す。松尾龍は「屋上のシーンも見せ場を増やしていただいてありがたいです」と笑顔を見せ、堂本は「龍が銀志の面倒をずっと見てくれていました。人に教えることは自分の成長にもつながるので、いい経験になったと思う」と優しい表情で語った。

松浦の両親の年齢を聞いて倒れ込む堂本と介抱するふぉ~ゆ~

前田美波里

長年にわたって本作を見守ってきた前田美波里は「(ラストが)きてしまったと切ない気持ちになります。1番の思い出は(堂本と)一緒に踊れること。こんな素敵な王子様と毎日踊れるから若くいられる」とユーモアを交えて語る。

リカ役の綺咲愛里は「みなさまがおっしゃる通り、最後が来てしまったという思いです。この1ヶ月いろいろな最後と向き合いながら公演を務めていくんだと、改めて身の引き締まる思いです」と話し、同じくリカ役の中村麗乃は「昨日のゲネプロを客席で見て、最後だと実感しました。プレッシャーもありますが、最後のステージをいい時間にできるよう精一杯頑張りたいと思っています」と意気込む。

最後に堂本は「僕にとってはどの公演も同じで、その時にしか見られない方のために全力を尽くしていきます。本来、舞台は生で見てもらうのが醍醐味ですが、今回はライブビューイングもあります。25年間たくさんの方に見ていただいた『SHOCK』が改めて多くの方に届き、「最後に見てみようかな」という初めての方にも楽しんでいただけるように。ライブビューイングが、『SHOCK』が多くの方の心に残るきっかけになったらいいなと思っています」と、ファンに向けてメッセージを送った。

綺咲愛里

中村麗乃


ゲネプロレポート

会見において「どの公演も同じく全力で届ける」と話していた通り、堂本はいい意味で気負わずに芝居とパフォーマンスを繰り広げた。『SHOCK』の目玉の一つと言えるフライングはもちろん、力強さとしなやかさを併せ持つ歌唱やダンスでも見るものを惹きつける。カンパニーの面々に憧れられ、ブロードウェイでも注目を集める才能に満ちた青年・コウイチを確かな説得力で演じた。ステージ上では完璧に見えるコウイチだが、仲間たちと話しているときはリラックスした笑顔を見せたり、タツヤをからかう時に悪ガキのような表情を見せたり、ギャップもチャーミング。カリスマ性だけではなく愛嬌と人間味のある青年を描き出している。

上田が演じるタツヤは、勝気で野心に満ちているが、カンパニーのメンバーからいじられるお茶目さやとぼけた一面もあるのが可愛らしい。コウイチに真っ向からぶつかる姿、ギラギラしたパフォーマンスから伝わる自信とプライド、焦燥感のバランスも絶妙だ。1幕ではコウイチへの対抗心と憤りが膨らんでいく様子を丁寧に見せ、2幕では後悔に苛まれながらもステージに立ち続ける思いを歌唱や芝居でしっかり表現する。

ショーに対してストイックに取り組み、全力で走り続けるコウイチと、コウイチに負けたくないという思いで必死にもがくタツヤ。互いに我が強く似たもの同士にも見える2人が、すれ違いと衝突を経てラストで見せる熱量たっぷりのパフォーマンスが胸に響く。

中村は可憐なだけでなく芯の強さを感じさせるリカを好演。役に対する解釈をさらに深め、奥行きの増したキャラクターを作り上げている印象を受けた。ショーステージでハッとするほどの愛らしさ、凜とした美しさを見せたかと思うと、日常のシーンでは少女らしい繊細で柔らかい心を覗かせる。病院から戻ってきたコウイチを迎えたリカの動揺、悲しみ、覚悟といった心境の変化と成長も見事に演じきり、魅力あふれるヒロインを描き出した。

オーナー役の前田は、親のような温かさでコウイチたちを見守る。才能ある若者たちを応援する劇場の支配人、ショービジネスの先輩、リカの母親……と、様々な立場があるからこその複雑な胸中を深みのある演技で表している。

コウイチとタツヤを中心とする物語をさすがの安定感とチームワークで支えるのがふぉ〜ゆ〜の面々。キレのいいパフォーマンスで各楽曲の魅力を存分に表現しつつ、芝居の場面ではアドリブも挟んでちょうどいいゆるさを出していた。コウイチの右腕的存在としてカンパニー全体のバランスをとるフクダ、誰に対しても明るく気さくに接するコシオカ、ムードメーカーとして随所で笑いを生み出しつつ面倒見の良さも見せるマツザキ、若手ポジションにいるタツルやギンジを常に気にかけるタツミ……と、それぞれがカンパニーの潤滑油となっていることをセリフ以外の部分でも伝える。

同じく安定感のあるパフォーマンスをイキイキと見せる松尾、初々しさもありつつ堂々とした佇まいの松浦も、パワフルにカンパニーを盛り上げる。さらに、オーケストラによる生演奏、ドラムや和太鼓の演奏、アクロバットなどがショーに華を添え、ファイナルにふさわしいきらびやかでエネルギーに満ちた公演を見せてくれた。

ここからさらにブラッシュアップを重ねた公演が、千秋楽までにどう進化するのか。堂本率いるカンパニーのさらなる飛躍に期待したい。本作は2024年11月8日(金)より11月29日(金)まで帝国劇場で上演。11月29日の大千穐楽公演は全国の映画館でライブビューイングも行われる。

取材・文・撮影=吉田沙奈

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