整体だけでは不十分?腰痛の症状が改善しない時の注意点、整体やマッサージの上手な活用方法とは?【専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話】
症状が改善しないなら整形外科へ
私は元々、「医師でなければ腰痛は治せない」とは考えていません。人によっては整形外科で治らず、整体やマッサージでよくなる例もあります。科学的なエビデンスはとれませんが、整体などの効果がないとはいい切れないと思います。
実態として、腰痛で整体やマッサージへ行く人は多く、日本整形外科学会が行った調査では、整体や整骨、接骨院の利用者数が整形外科医院の来院者を上まわっています。その背景には、医療機関よりも気軽に利用できる親近感をはじめ、遅い時間まで営業している利便性があるのかもしれません。確かに若い世代の場合、仕事の関係でなかなか休めなかったり、家事や子どもの世話などで、平日の昼間に病院へ行く時間を確保するのが難しいとは思います。
もちろん、整形外科にも検査設備の充実、専門医の診察などメリットはあるのですから、双方を上手に使い分けるのも1つの手です。整体やマッサージへ通って治ればよし。なかなか症状が改善しない、もしくは悪化した場合は、医療機関へ行ってしっかりと検査し、診察を受ければよいでしょう。
ただし、極端な痛み、発熱や足のしびれといった腰以外の症状を伴うケースは、腰椎椎体骨折(圧迫骨折)や腰椎椎間板ヘルニアなどの疾患が疑われます。原因を探るためにレントゲンやMRIでの検査が必要になるので、最初から医療機関を受診するようにしてください。
整体やマッサージの上手な活用方法
整体やマッサージ、整骨・接骨院など、それぞれの特徴を生かした施術を理解し、医療機関も含めて上手に選び分けながら治療しましょう。
整体とマッサージのメリット
整体により筋肉の緊張状態が改善されると、姿勢の矯正効果や筋肉の柔軟性が生まれ、 腰痛の症状緩和が期待できます。
マッサージは、もみほぐしによって筋肉を柔軟にし、血行も促進することで腰痛の症状緩和に繋がる可能性があります。
対症療法は整体やマッサージ原因から対処するなら専門医
症状が治まればよいという対症療法であれば、整体やマッサージへ。腰痛の原因を探して対処するなら、脊椎専門医のいる整形外科医院などを受診してください。腰以外の症状を伴う場合や、整体やマッサージで病態が悪化、改善されない場合も同様です。
出典:『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』著/吉原潔