日本初のフルフラット型シート搭載高速夜行バス「ソメイユプロフォン」乗車記! 寝心地は? 設備・アメニティ・休憩情報も紹介
日本初となるフルフラット型シート搭載の高速夜行バス「スマイルライナー(ソメイユプロフォン)」の車内設備を、乗車レポート付きでご紹介! 実際の設備やベッドの寝心地、トイレ・Wi-Fi・アメニティの情報や使い方、実際の走行時の休憩予定まで、体験した感想も交えてしっかりお伝えします。
【画像】車内内観。ベッドがどーんと連なっており、迫力!(25枚)
高速夜行バス「ソメイユプロフォン」は高知~東京を運行中
今回のご紹介は、高知駅前観光が運行する日本初のフルフラット型シート搭載の夜行バス「ソメイユプロフォン」! 2025年1月末に車両発表されたばかりの、新型のバス車両です。
3月から秋頃まではモニター運行期間で、高知~東京を週に1往復ずつ運行しています。
モニター運行中の乗車価格は、7,300円! 高知~東京間を破格の安さで移動できるのも、夜行バスの大きな魅力です。(※高知~東京を走る3列独立シート夜行バスの相場は、10,000円前後)
ちなみに厳密には、「ソメイユプロフォン」は座席シートの名称。椅子型からベッド型へ変形可能なシートで、運行時はずっとベッド型のままで走行します。
バス便名は、「スマイルライナー(ソメイユプロフォン)」。「スマイルライナー」は、高知駅前観光が運行する、高知~東京を結ぶ高速バス路線の名称です。
スマイルライナーにはソメイユプロフォン以外に、4列シート車両によるバス便もあるため、予約時はご注意くださいね。
ではまずは、気になる車両内部の設備からご紹介します!
フルフラット座席バス「ソメイユプロフォン」の車内はどうなってる?
フルフラット座席バス「ソメイユプロフォン」のシートは、前述の通り走行中はすべてベッド型。車内のシートは横3列×奥行4列×上下2段で並んでおり、全部で24席です。(ちなみに形はベッドですが、あくまで座席の扱いのため、1席2席と数えます。)
座席番号は、列を示すA~Cと、数字の組み合わせ。数字は前席から順に、上段ベッドが奇数、下段ベッドが偶数の形で割り振られています。例えば座席が「A-1」と伝えられたら、A列(バス前方から見て右側)の最前席の上段ベッドということ。詳しくは座席図を御覧くださいね。
なお2025年秋までのモニター運行期間中は、乗客による座席位置の指定はできません。
現在はモニター運行のため、バス車内の使い勝手やアイテムは、少しずつ進化中です。
特にバスとりっぷで以前ご紹介した記事(車両発表時)から大きく変わったのは、「寝具の設置」「カーテンの追加」! 寝心地や快適性が大きく改善されているのです。
今後も改良されていくことが予想されますが、今回は4月時点の車内設備の詳細をご紹介しますね。
ベッド内の機能1:寝具について
ベッドのサイズは、横幅が約48cm、縦が約180cm(内径177.5cm)。ただしこれはシートそのものの寸法で、この内側に寝具が加わります。
ベッド上の空間の高さは51~73cm。ベッドの上に座って身を起こせるほどの高さはないため、出入りの際には身を屈める必要があります。
ベッド内には寝具アイテムが準備されています! 寝具は、車両発表時にはほぼ未実装(小さな枕とひざ掛けサイズの毛布のみ)だったため、以前と比べるとかなり快適性がアップしているのです。
取材の時点では、シートの上に厚さ約5cmの低反発マットが敷かれ、枕はフカフカ大判、枕カバーもかかっています。毛布は100×150cmサイズ。
寝具のグレードアップについてスタッフさんにお話を伺ったところ、枕は人によって好みが違うため、特に悩んだポイントとのことでした。「まだ試行錯誤中ではありますが、枕の高さで寝違えたりする心配が少ないように、まずはフカフカ枕で」との経緯で変更になったそうですよ。
枕カバーは、シーツのように上にかけて使う形。使い捨てなので、衛生面も安心です。
ベッド内の機能2:空間周り(カーテン、荷物置き、Wi-Fi)について
ベッドの周囲は、出入りのための足元部分以外は、固定されたカーテンで覆われています。カーテン側面上部は網状になっていて、光や空調を通す形。まるでカプセルホテルのようなプライベート感があります。中から周囲に光はほぼ漏れないので消灯後に気兼ねなくスマホも使えるのも便利です。
このカーテンも、車両発表時から追加となった大きなポイント。
寝る方向は、進行方向に向かって前方が足側・後方が頭側。シート中央あたりには、2点式(=ウエスト部分のみを締めるタイプ)のシートベルトがあります。
ベッド内には小さなフックが取り付けられており、荷物掛けに便利。一部の席ではまだフックの設置が間に合っていないそうですが、乗務員さんに声をかければ、S字フックを借りられます。
また、窓側の上段ベッドの場合はベッドの上(天井に近い部分)に、小物を置けるミニスぺースもあります。
車内ではフリーWi-Fiが利用可能。ベッド内には案内が貼られており、寝そべったままパスワードなどを確認できます。
なお、ベッド内に電源設備はありません。
スタッフさんに伺ったところ、「電源の要望はとても多いので、将来的には実装したいと考えています。ただ電気関係は簡単には実装できないため、モニター期間中に実現できるかわからず。前向きに検討中、努力中、という感じです」とのこと。ぜひ実現してほしいですね!
トイレ:「走行中利用可能」
車両の後方にはトイレ設備あり。車内トイレは、2025年3月のモニター運行開始時には「走行中の利用は緊急時のみ」だったのですが、4月以降は「走行中は充分お気をつけてご使用下さい」となりました。
担当スタッフさんによると、「バス走行中の車内移動は危険なため利用を限定していましたが、限定するとかえってトイレに行きたくなるとの意見もあり、変更しました」とのこと。車内トイレが利用OKだと、安心感がありますね!
なお、トイレ外の給湯器は使用不可です。
靴置き場:ベッド下の靴用スペースを確認
車内は、入口で靴を脱いで上がる形。入口で靴を入れるためのビニール袋を受け取り、車内の靴置き場に置くか、自分のベッドスペースの中で管理します。
靴置き場の位置は、上段ベッドの場合は乗降ハシゴの下、下段ベッドの場合は枕位置の下。それぞれ「靴置き場」の表示がありますよ。
アメニティ:無料アメニティは入口に。受け取りはセルフサービスで
車内のアメニティは、あらかじめベッドに設置されている寝具のほかに、全部で5種類。貸し出しアイテムと使い捨てアイテムがあり、乗車時にセルフサービスで受け取れます。
貸し出しアメニティは、「アイマスク」。
使い捨てアメニティは、「耳せん」「お手拭き」「スリッパ」「歯ブラシ」。なお、歯ブラシは休憩中のSAなどでの利用を想定しているそうです。
19:15、高知から高速夜行バスへ乗車!
今回の乗車は、始発バス停である「桟橋(高知駅前観光本社前)」から。取材日は4月1日、始発からの乗車は私だけでした。
走行スケジュールは、下記の通り。今回の乗車予定は始発バス停~バスターミナル東京八重洲まで、約12時間のバス旅です。
<走行スケジュール>
19:15桟橋(高知駅前観光本社前)→19:40はりまや橋 観光バスターミナル→20:00高知駅バスターミナル→22:15徳島駅前⇒6:40バスタ新宿3F高速バスおりば→7:10バスターミナル東京八重洲→7:40TDLバスターミナルウエスト
実は私は3月のモニター運行初日にも乗車予定だったのですが、当日の運行はなんと大雪のため中止に。この日はリベンジ乗車の期待もあって、ワクワクしながら伺いました。
まずは荷物をトランクに預け、引換証を受け取ります。ちなみに私の場合はカメラも車内に持ち込みましたが、車内持ち込み手荷物は、極限まで少なくするのがおすすめです。
乗車時には、入口近くに「可燃ゴミ」「缶・ペットボトル」の2種類のゴミ袋が設置されていました。ありがたい!
さらにバス停乗降時は、入口と車内の土足禁止エリアとの間にタオルが置かれます。これもわかりやすくて嬉しいサービス。
座席番号は乗車時に伝えられます。この日の私の座席はA-1でした。
ちなみにベッドの上下段での寝心地の違いはあまりなく、強いて言うなら「上段は走行中の揺れが若干大きいかも?」くらいだそう。とは言え私は揺れがあまり気にならないタチで、2段ベッドなら上段が好き派(単純な好み)なので、ラッキーでした!
自分の座席であるベッドに入ったら、バスは発車。まずは同じく高知県内の「はりまや橋」「高知駅」へと進んでいきます。
フラットシートを利用した感想 女性目線ではどう?
ここで、実際にベッドに横になった時の感想をお伝えします!
・ベッドの寝心地
広さ面は、快適に寝転がれました!(私は身長152cmなので有利というのもありますが)シートベルトはキツくなく、寝返りも打てます。なおベッド内の作業(携帯を見るなど)はすべて寝そべって行うことになります。
快適度は、低反発シートとフカフカ枕がかなりいい仕事してくれる感じ。体がリラックスモードに入りやすいです!
・走行中の揺れ
一般道では「ちょっと揺れが気になるかな?」と感じました。ただし高速道路に入った後は、それほど気にならない程度に。
個人的な感想としては、むしろ揺れる車内で横になって寝るという非日常感が面白いし、ほど良い揺れがある分リラックスしやすい感じがしました!
・女性利用者としての感想
個室のような完全プライベート空間ではないのでその点で不安はないか? と聞かれたのですが、カーテンは大体、太ももくらいまでは隠れる感じで(身長にもよりますが)毛布をかけますし、消灯したらほぼ真暗な状態で私は気になりませんでした。
そもそも横になるのを見越して、レギンスを履いていったので気にならなかったのもありますが…。
また、身動きをとりづらいとはいえ、固定されてるのはウエスト部分だけですし通路を誰か通ればカーテンの網目部分からなんとなく見えたり覗いたりもできるので、不安な感じはほぼなかったです。
むしろ外の様子がちょっと覗けるのが、秘密基地みたいで面白い感じがしました。
ただ、何かあった時にガバっと起き上がれないのは、男女関係なく不安に感じる人がいるかもなとは思いました。
ちなみに、私が乗車した便では話し声などの雰囲気で女性の利用者も少なくとも数人はいらっしゃったと思います。
途中休憩は2回!
20:00に高知駅を出発した後、車内案内のアナウンスが流れました。それによると、この後のバスは「徳島駅前」バス停と2回の休憩を挟み、東京へと到着する予定とのことです。
走行中の詳しい休憩予定は下記の通り。理由としては、2025年4月運行分より大幅な遅延が起こらないよう降車人数が少ない深夜帯の休憩を減らしたそうです。(※ただし乗務員の2時間おきの交代による停車は行っています)
また休憩については「道路交通状態などの都合により、予告なく変更となることがあります」とのことでした。
<休憩スケジュール>
★20:00高知駅→休憩:上板SA(徳島)/21:00目安→★22:15徳島駅→休憩:淡路島南PA(兵庫)/23:00目安→(消灯)→3:00目安→休憩:海老名SA(神奈川)/5:00目安→★6:40バスタ新宿
この日は最初の「上板SA」で休憩はなく、バスはそのまま徳島駅へ。「道路が混雑していたため、到着時刻優先で、休憩を省略しました」とのこと。
そのため、最初の休憩は淡路島南PA。休憩時刻は22:45~23:00でした。時刻についてはアナウンスで伝えられるほか、バス前方にボードで表示されましたよ。
バスを出る際には、バスの案内カードを受け取ります。
淡路島南PAでの休憩の後、バスは全体消灯。あわせて車内前方のカーテンも閉じられました。とは言え完全に真っ暗ではなく、足元のダウンライトだけがついている形。
これ以降~海老名の休憩までは、車内点灯やアナウンスはなく、車内前方のカーテンが開くのが休憩の合図となります。
ちなみに、ここまでの消灯前の走行中にも、私は既にウトウトしていたのですが……。消灯後はもう、そのまま健やかに寝入ってしまいました。ベッドの威力すごい!
走行中車内の静かでリズミカルな揺れも、眠りに引き込む効果が高い気がします。これはとても寝れる!
消灯の後も、バスは順調に走行。その後の休憩は、降りる人もまばらでした。
そして、すっかり安心して寝入っては、バスが停車する気配(休憩)で起きるというサイクルを繰り返していたところ……、この後、まさかの展開が!
7:10に東京駅で下車するはずが……!?
本来の予定では、次の休憩は5:00頃、海老名SAのはず。ですが取材日のバスは停車せず……。「なんだか寝すぎてない?」との違和感で目を覚まし、時計を確かめたところ、なんと時刻は7:45!!
「5:00には休憩があったはず! もし道路事情で休憩がなくなったとしても、6:40には新宿に到着してるはず! そんで到着時には車内点灯してアナウンスも入るはずなのに、どうして7:45にまだバスが消灯中・走行中なの?!!!」
慌てて携帯で地図を確認すると、バスはまだ世田谷区あたりを走行中。とにかく急いでその日の訪問先に遅刻の連絡をしているうちに、8:00過ぎになって車内にアナウンスが入りました。どうやら事故渋滞で、大幅な遅延が発生しているとのこと。
「お急ぎのところたいへん申し訳ありません。この後の新宿到着は9:00頃、東京到着は10:00頃となる見込みですが、確実な目処が立ちませんため、わかり次第またお伝えします」とのアナウンスに、乗務員さんも事故渋滞の遅延対応たいへんですよね……! と心の中でエールを送りました。
結局、バスタ新宿への到着は8:50頃。本来の予定より2時間ちょっと遅れての到着です。なお私は東京駅で下車予定でしたが、急遽バスタ新宿下車に変更してもらいました。
乗務員さん、ありがとうございました!!
最後の急展開のため、下車時にはすっかり心臓がバクバクに。
しかし、これだけは断言できます。「遅延の分も含めて13時間以上バスに乗ってたはずなのに、体、めっちゃラク!!!」
高速夜行バス「ソメイユプロフォン」のおすすめポイントや乗客の評価は……
高速夜行バス「ソメイユプロフォン」は、車内で横になってしっかり眠れるバス。
一般的な夜行バス乗車は座席で眠る形になるため、どうしても腰が痛くなったり背中が疲れたりする場合が多いですが、ベッド型なら体の負担は大きく軽減されます。バス下車後にすぐにバリバリ動きたい時には嬉しいポイントです!
さらに個人的には、低血圧の人にもおすすめしたい! 私はまさに低血圧なので、夜行バスで眠る時は足を持ち上げる工夫をして血圧が下がりすぎないようにするのですが、ベッド型ならその手間はまったく必要ないですからね。
なお他の方の意見はどんなふうか伺ったところ、現在のアンケート集計では高評価が7~8割とのこと。ただし、中には苦手と感じる人もいるそうで、好みがはっきりと分かれがちだそうです。
「高評価の人たちの評価ポイントは、快適さ・眠りやすさが大きいですね。とても体がラクだったと。低評価の多くは狭さがダメということなので、狭い場所が苦手な人にはおすすめしません」とのことでした。
総合的に見ると、ソメイユプロフォンの人気は高めと言えそう。「現在は週1のみの運行ですが、実は様子見を兼ねて、わざと人気の少ない曜日に設定しているんです。それでも現在のところ、座席はほぼ満席続き。リピートしたいとの声もたくさんいただいています」とのことでしたよ。
高速夜行バス「ソメイユプロフォン」は、これからますます人気が高まりそうな気配。気になる方は、どうぞ日本初のフルフラット型シート搭載の高速夜行バスを体験してみてくださいね。