雲の「色」を決めるもの。空を見上げるのが楽しくなる科学を解説!
私たちにとって身近な空や雲、天気ですが、実は分からないこともたくさんありますよね。そんな空や天気の素朴な疑問に、雲研究者の荒木健太郎さんが優しく答えてくれているのが、書籍『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑 』(KADOKAWA)です。荒木さんは、話題の映画やドラマで気象監修を務めた、まさに空のスペシャリスト。雲はもちろん、雨、雪、虹、そして時には驚異となる台風や竜巻まで、空にまつわる面白くて、知っておくと役に立つお話を、わかりやすく解説してくれます。読み進めるうちに、何気なく見上げていた空が、ぐっと身近に感じられるようになるでしょう。
※本記事は荒木健太郎著の書籍『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』から一部抜粋・編集しました。
雲の色を決めるのは、ずばり「光」
「雲は真っ白」というイメージがありますが、暗い灰色や、真っ赤に焼けた色、虹色の雲に出会えることもあります。表情豊かな雲たちの色を決めているのは、光なのです。
私たちの目で見える光を可視光といいます。可視光は波ひとつぶんの長さ(波長)によって赤から紫まで色が違い、太陽の光はすべての色が混ざっているため白く見えます。可視光は光の波長より大きなつぶでできている雲にあたると、色の種類(波長)に関係なくあちこちに散らばる性質があります(ミー散乱)。このため、雲からの光はさまざまな色が混ざっていて、雲は白く見えるのです。
雨雲などの背の高い雲の底は、光が雲のなかで散りすぎて弱まるので、暗くなって灰色に見えます。朝や夕方には太陽からの光が雲をへて、私たちの目に届くまでに赤に近い色だけが残るので、雲も焼けて見えるのです。
雲は、空の状況や時間帯によってその表情を大きく変えるので、雲の"顔色"の変化にも注目です。
積雲の底あたりは、暗くなって灰色に見える。
まるで顔を赤らめているような、焼けた雲たち。
雲がこんな黄金色になることも!とってもきれい。
豆知識
見える光と見えない光は、まとめて「電磁波」と呼ばれます。太陽から届く電磁波には、可視光以外に日焼けの原因になる紫外線や、温かいものにふれていなくても熱を感じる赤外線も含まれています。