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渡邊圭祐×今井隆文、“もの静かなイケメン”をぶち壊すコメディ朗読劇『たもつん』に興奮「僕らのチームにしかない面白さを」

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渡邊圭祐、今井隆文

朗読劇『たもつん』が、5月14日(水)~18日(日)にIMM THEATERにて上演を迎える。本作は、NHK連続テレビ小説『虎に翼』などで知られる脚本家の吉田恵里香が、2015年に連続ラジオドラマとして書き下ろした1作。その後オンラインで配信され、このたび一部リライトしたものが朗読劇としてお披露目されるのだ。物語の中心に立つのは、営業職をしているユーキチ&空気が読めないお坊ちゃん・しゅうまい&野球部時代のウザいヤベ先輩という3人の“ちょいダメ男”。彼らによる、くすっと笑えて、くすっと泣ける友情コメディとなっている。キャストは俳優たちが3名ずつ入れ替わりで出演する。今回、ユーキチ役の渡邊圭祐、ダーヤマ先輩役と演出を手掛ける今井隆文の対談を実施。同じ事務所の先輩・後輩同士で共演経験もある二人。そんな彼らだからこその、気の置けないトークをお届けしたい。(平埜成生×松岡広大の対談はこちら)

――渡邊さんは今日が初のお稽古になります。朗読劇『たもつん』の台本を読んで、どのような印象でしたか?

渡邊:すごく面白いので、ずっとニヤニヤして読んでしまいました。俳優としては「どうやればいいんだろう!?」という思いが、読めば読むほどあふれてきてしまって。お客さんにどう届けたらいいんだろうということに関しては、これから今井さんの演出にどっぷりつかろうかなと思っています。

――今井さんは初めての朗読劇の演出となりますが、オファーを受けてどのようなお気持ちでしたか?

今井:最初は「なんで僕なんだろう?」と思いました。プロデューサーから、すごい熱量で「男子のわちゃわちゃ劇なんです! 今井さんの劇団自体が、そういったことをずっとやってきたのでぴったりだと思います!!」と言われて。確かにと思い「やらせてください」とお受けしました。

――全部で3組のキャストによる公演になります。今日までお稽古を重ね、演出をされてすでに手応えを感じていますか?

今井:実は稽古が始まる前、別のキャストで5日間くらい稽古していたんです。プランはある程度固めていました。ただ、そのプランはあくまでもガイドなので、そこから別に逸脱しちゃう俳優がいてもいいという空間を作っています。プランに沿いながらも合わせてアドリブで作っていく感じが、すごい楽しいです。でも……四六時中ずっと『たもつん』のことを考えているので、脳汁出てます(笑)。

――3組とも全然違う仕上がりになりそうですよね。

今井:そうなんです。吉田さんによるキャラクターの描き分けがすごくお上手で、面白くて、キャラクター自体がすでに魅力的なんです。そのキャラクターで、この役者さんが読むと「こういう理解で入るんだ!」という面白さがありますね。自分が読んだときのイメージと、チームごとのカラーが全然違うというか。チームごとに違うので、尺まで変わってきています(笑)。オフィシャルでは全尺80分とアナウンスが出ていますけど、1チーム目は大体それくらい、でも2チーム目はちょっと短くなっていて。「チームによって上演時間が多少異なります」と書いておいてください(笑)。

――承知しました! ところで、渡邊さんは朗読劇自体に触れたことはありましたか?

渡邊:それが、やったこともなければ観たこともないんです。本当に未知の世界なんですよ。台本を読んでいても「どこまで覚えよう?」という感じです。覚えたほうが面白いのかなと感じながらも、逆に朗読劇ならではの面白さみたいなものは(覚えないところに)絶対あるんだろうなと。

今井:そうね、すごくある。

渡邊:台本があるからこそのやり方、届け方、ボケ方みたいなところになってくるのかなと思っています。ジャンルとしては朗読劇という新しいものへの挑戦にはなるので、ドキドキします。お客さんがどう聴いてくれるんだろうと、居方的なところも気になっています。あと、読んでいて思ったんですけど、何で台本を閉ざすしぐさがあるんですか(笑)?

今井:僕が足した、発明だし演出だよ(笑)。別のキャストで稽古したときに、その役がシカトする態度を取るとき、試しに「1回台本閉じてみて」と演出したら、めっちゃ面白くて。朗読劇を放棄してるという。それに対するツッコミがあると、ちょっとメタ的になるし、コメディだからこそ成立するなと思って採用しました。

渡邊:なるほど。ちゃんとみんなバチッと閉じているんですか? 指を挟んじゃダメ?

今井:指は挟んでいいよ! 閉じた後、開いたときにどこにあったか、みんなわからなくなるし。

渡邊:よかった~!

――コメディというジャンルについては、渡邊さん的にはどうなんですか?

渡邊:個人的にすごく好きなジャンルなんです。ようやくできるというか。しかも、僕は男が少人数でわちゃわちゃする系がすごく好きなんです。作品で言うと、『THE3名様』(2023年)、『木更津キャッツアイ』(2002年)みたいなのが、すごく好きです。ファミレスでぐちゃぐちゃしゃべってる、みたいな雰囲気が今回に通じると思うのですごい楽しみです。でもいざやるとなると、不安も大きいなとも思いました。

――現段階で、演技プランであったり、どんなふうにやりたいなどは考えているんですか?

渡邊:正直、あまり考えないようにはしてきています。

今井:正解だと思う。

渡邊:このホン(台本)は、コメディじゃないですか。芸人さんは毎日同じ漫才やコントをやるわけで、すごいことをやってるんだなと改めて気づかされました。ここが笑かしどころだなとかを考えながらやって、それがいい感じの塩梅の表現になって、僕らは笑わせてもらっている。本当にすごい状態ですよね。だからこそ、狙いすぎたらいけないなと思ったので、何も考えないようにして今日来ました。僕が3チーム目ですけど、1、2チームは昨日までで稽古が終わっているんですよね?

今井:そうそう。

――1、2チーム目のお稽古はどんな感じだったのでしょうか? お話できる範囲で教えてください。

今井:1チーム目の千葉(雄大)さんたちは、個性が尖りすぎていて、とにかくずっと笑ってました(笑)。(平埜)生成と松岡広大と土佐(和成)チームは、笑いながらもストーリーががっつり入ってくる感じでしたね。最終的に辿り着く場所は一緒なんだけど、どのチームも違う温度感のストーリー展開になっていて、俳優ってスゲーなーと稽古を通して改めて思い知らされてる状況です。

渡邊:素晴らしい!

今井:同じ脚本でも、俳優が変われば伝わり方が変わってくるんだなあと思って。渡邊チームはどんな感じに仕上がるのか、すごく楽しみです。

――渡邊さんは落合モトキさん、八村倫太郎さんとチームを組みますが、お二人と共演経験はありますか?

渡邊:お二人とも「はじめまして」なんです。

今井:じゃあ、今日は全員「はじめまして」状態だね。僕も八村さんは「はじめまして」だから、今すっごい(所属グループ)WATWINGのYouTubeを観てる。八村さんは作詞作曲もしていて、「I don't care」がめっちゃいい曲だよ!

渡邊:情報ありがとうございます! 最近出演作の関係で、綱啓永くんや宮世(琉弥)くんなど八村さん世代の方々と交流する機会がすごく多くて。だから、馴染めるんじゃないかなって勝手に思っています。今井さんがお話されたように、それぞれのチームの個性や面白さがあると思うので、僕らのチームにしかない面白さとストーリーの進め方みたいなものを、今日の稽古で見つけていけたらいいな。楽しみです。

――吉田さんのコメディの脚本、今井さんの演出となると、いわゆる座って読む朗読劇では収まらなさそうという予想があちこちで立っています。現段階のプランでは、いかがですか?

今井:座って読む朗読劇にするかどうかは、かなり悩みました。ストイックに座って読む方法もあったんですけど、別のキャストで読んだときに「これは座って読むもんじゃねえな」となって。動かしたら「動いたほうがやりやすい」とキャストサイドも言っていたんです。一番の理由は、渡邊圭祐のマネージャーさんから「圭祐が動きたいと言っているみたいで」という情報を仕入れたからなんですよ(笑)。

――なんと、渡邊さん発案なんですか?

今井:そう、渡邊発信。

渡邊:ちょっと待って! それ、歪んで届いています(笑)。

今井:そうなの!?

渡邊:僕は「動きたい」じゃなくて、「今井さんだったら動かしてきそうですよね、朗読劇とは言いながら」みたいなことを言ったんです(笑)。でも「動いたほうがやりやすいかもしれないですね」とは言ったかもしれないな。

今井:わかるよ。みんなで1回ちゃんとホン読みして「こうしましょう」という台詞の細かい詰めはするけど、立ってからは「立ったほうがやりやすい」とみんな言うからね。

渡邊:あの熱量の突っ込みは、座ったままだとやりづらいですよね。

今井:そうそう。絶対立ちたくなっちゃうから。

――ところで、渡邊さんと今井さんは事務所も同じですよね。交流はいつからですか?

今井:『チェイサーゲーム』(2022年)というドラマで共演して、あれからだよね?

渡邊:そうですね!

――今回渡邊さんをキャスティングされたのは、今井さんのご提案だったのですか?

今井:はい。もともと圭祐のことを演出してみたいなと思っていたんです。この人は主役肌なのと、本当に普通のお兄ちゃんなんですよ。僕はもはや芸能人じゃないと思っていて、しゃべりやすいし、一緒にいて楽なのもあって。あまり頑張りすぎないところも、すごくいいんですよ。

渡邊:脱力系俳優ですね!

――頑張っているけど、それを全面に出していないというニュアンスでしょうか?

今井:そうです。頑張っているんですけど、そういうのがあまり見えてこないからいいんですよね。ぶん回す感じじゃないんです。一歩引いて俯瞰で見ていくので、全体のバランスをすごく気にする人という印象があって。主役は自分の役にバーッと入っていっちゃうタイプが多くて、俯瞰で見られる人はあまりいないんです。圭祐のことは周りを活かしつつ主役でいるタイプだと思っています。

――渡邊さんは、そのあたりを意識してやられているんですか?

渡邊:いえ、まったくです。性格だと思います。今井さんが「普通のお兄ちゃん」と言ってくれましたけど、『仮面ライダージオウ』(2018年)に受かった理由も「近所のお兄ちゃんぽかったから」なんですよ。

今井:そうなんだ!

渡邊:はい、そうなんです。『仮面ライダージオウ』が初めてのこの業界のお仕事でした。『仮面ライダー』のオーディションでは、みんなが今までの経歴をしゃべっていたりする中、僕だけオーディションに向かっている途中に、総武線の中でお酒をかけられた話をしたんです(笑)。後々、プロデューサーの方に「近所のお兄ちゃんみたいだから、採用しちゃった」というようなことを言われたので、「確かにな」と思いました。僕は25歳まで普通に働いていましたし、それが染み付きすぎているだけだと思います。もっとね、かっこよく芸能人っぽくいたいんですけど。

今井:思ってもねえこと言うな(笑)。

渡邊:ははは!

――たくさんのお話、ありがとうございました。最後に、これから公演を楽しみにしている読者に向けて一言メッセージをお願いします。

今井:まだ話せていないこと、あるかな……(考)。そうだ! 渡邉美穂さんはずっと出ています。舞台上に、ずっといます。

渡邊:え、そうなんですか!?

今井:渡邉さん、神様みたいな存在としています。

渡邊:それも楽しみですね。

今井:ちょっと特殊なセットにしていて、最終的にそれが利いてくる演出になっているんです。めちゃくちゃいいですよ。ちなみに、みんながどこを読んでいるかわかんなくなったら、渡邉さんが「今何ページのどこどこです」と言ってくれるから。

渡邊:ええっ、やってくれるんですか!?

今井:本当にみんなが見失っていたら、渡邉さんが言ってくれるから安心して。

渡邊:そうなんだ~。僕から言えるそのほかの売り文句としては、「歌が聴けます」ということです!

今井:とある歌の歌唱シーンがあるんですが、「えっ!? これ歌えるの? 舞台上で!?」とみんなが喜んでる。

――その歌は、踊りつきですか?

今井:そこは決めていません。カッチリしすぎないほうが良くて、本人の曲に対するテンション感で決めています。振りを入れて覚えている人も、そうでない人もいます。舞台がカラオケ喫茶なので、カラオケのシーンは必要だなと。ちなみに、「ハマケンさんのこの歌、聴けるんだ!」みたいな感じが、稽古中にすでにあったよ(笑)。

渡邊:確かに、そうですよね!

今井:「うわ、歌手だ!」って感動した。これだけで元が取れるくらいです。八村くんも今日これからだけど、歌っている人ですからね! 楽しみにしていてください。

取材・文=赤山恭子

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