なんという優しさ…! 代々木公園『スパイスポスト』のポークビンダルーは聖母のよう / 第5回:ポークビンダルー修行
みなさんは「ポークビンダルー」をご存じだろうか? ポークビンダルーとはインドのゴア地方発祥のカレーのことで、その特徴は「酸っぱ辛いカレー」であることだ。
現在、ポークビンダルーにドハマり中の私(サンジュン)は、美味しいと評判のポークビンダルーを食べ歩いているのだが、今回訪れた店では“ポークビンダルー迷子”になりかけてしまったのである。
・ポークビンダルーって?
まずはざっくりと「ポークビンダルー」について説明しておこう。先述の通りポークビンダルーはインドのゴア地方発祥のカレーである。旧宗主国であるポルトガルの影響を受けているためか、どちらかというと欧風カレーに近い。
ポークビンダルー最大の特徴である「酸っぱさ」は酢(ワインビネガー)から来ており、これがめちゃめちゃウマい! 逆説的に言うと「酸味すら受け入れてしまうカレー」とは、なんと奥深い料理なのだろうか?
日本におけるポークビンダルーはまだまだ「一般的に知られているカレー」とは言い難く、提供している店も決して多くは無い。だがポークビンダルーの美味しさを多くの人に知って欲しい! というわけで、現在私はポークビンダルー修行の真っ最中なのである。
・5食目
さて、ここでこれまで修行したポークビンダルーを振り返っておこう。
東京駅「エリックサウス」
ガツンとインパクト系。ポークビンダルーにハマるきっかけとなったお店。ただしポークビンダルーは限定カレー。
渋谷「ポークビンダルー食べる副大統領」
強めの酸味。ビネガーキレキレ系のポークビンダルー。
高円寺「くじら」
突き抜ける酸味と辛さ。高円寺らしさ全開の尖ったポークビンダルー。
中野「レインボウスパイス」
まろやかな酸味と強い旨味。誰が食べても絶対に美味しいビギナー向きのポークビンダルー。
同じポークビンダルーでありながら、お店によってその味わいはかなり違った。私自身まだまだ修行の身であるが「ポークビンダルーはかなり奥が深いカレー」だとは薄々気付いてきたところだ。
・スパイスポスト
で、今回伺ったのは複数の読者の方から寄せられた代々木公園駅近くの『スパイスポスト』というお店。調査によるとここ2年連続で食べログ100名店に選出されている、人気のスパイスカレー屋さんらしい。
また平日は朝10時半から、土日祝日は朝9時からオープンしているそうで、いずれも売り切れ必至なんだとか。実際、平日のオープンに合わせて伺ったところすでに行列ができており、私は2回転目の入店であった。
ポークビンダルーは3種類あるうちのレギュラーメニューの1つで、他のカレーとの合い盛りも可能。単品価格は1400円で、ライスも400グラムまでは無料で追加可能だ(お会計は先払い & 現金のみ)。
・迷子
注文からほどなくして現れたポークビンダルーは、オレンジ色の優しいヴィジュアル。さっそく食べてみると……むむ? え、待って。今まで食べたポークビンダルーと全然違う……!
ポークビンダルーの特徴である酸味は弱めかつ非常にやわらか。言葉にするなら「弱々酸性」くらいの酸味で、ポークビンダルーだと知らなければ酸味に気付かない人さえいるかもしれない。
また複雑なスパイスも決してトゲトゲしくなく「丁寧に丁寧に作られた、丸みのあるポークビンダルー」といった感じだろうか? 特に卵黄を崩すとそれは顕著で、やや戸惑いつつも気付けばペロリと完食していた。
どちらかと言えばポークビンダルーはパンチが強いカレーだと思っていたが、スパイスポストのそれは聖母のように優しい味わい。ポークビンダルーの奥深さを再確認すると共に、ポークビンダルー迷子になりそうな優しく美味しいカレーであった。
・今回訪問した店舗の情報
店名 スパイスポスト
住所 東京都渋谷区富ヶ谷1-52-2
時間 平日10:30~完売まで 土日祝9:00~完売まで
定休日 不定休(公式インスタグラムを参照)
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.