直木賞受賞は牛のピアスとTシャツで…クマと戦う猟師描いた「羊飼い」女性 広大な北海道で「本に没頭」した少女時代
北海道の羊飼いだった女性が直木賞作家になりました。
第170回直木賞に選ばれたのは、別海町出身で十勝在住の、河﨑秋子さん(44)の「ともぐい」。
小説「ともぐい」は、明治時代の北海道を舞台に、クマとの戦いに挑む猟師の姿を描きました。
1979年、別海町の酪農家に生まれた河﨑さん。
実家で羊飼いの仕事をしながら作家デビューした異色の経歴の持ち主です。
そんな河﨑さんが1月23日、HBCテレビ『今日ドキッ!』に生出演をし、受賞後の記者会見の裏話や別海町で過ごした少女時代についてたっぷり教えてくれました!
直木賞の受賞を受けて、ふるさとの別海町は盛り上がっています。
町役場の電光掲示板には、河﨑さんの受賞を祝うメッセージが流れています。
実家の酪農業を継ぐ、兄の淳さんは「びっくりしたのと誇らしかったのと…本当におめでとう、お疲れ様と、それだけです」と話します。
受賞後に兄の淳さんとは電話で話したという河﨑さん。
電話口の兄は「案外、淡泊だった」と明かします。
クマとの対決シーンが描かれる『ともぐい』。
まるで読者をその現場に引き込むような描写について、本人は「私はクマと戦ったことはありません」と笑います。
「なるべくクマと戦っている状態を読者に体験してもらえるように書きました」と軽やかに明かしてくれましたよ。
そしてHBCのスタジオでは、授賞式で着ていた“牛柄のTシャツ”が話題に。
これについて河﨑さんは「Tシャツは作家の先輩の桜木紫乃さんが受賞された時に特徴的なTシャツを着ていたので、それにあやかって着ました」とのこと!
実は、アクセサリーのピアスも牛の耳標をモチーフにしていたんです。
ちなみにこのピアスは十勝の道の駅で、Tシャツはネット通販で購入したといいます。
「場を和ませるつもりで着たので、誰か突っ込んでくれないかなと思いながら、まじめに記者会見で受け答えしていました。割と誰も最後まで突っ込んでくれなくて…」
そんな河﨑さんの幼少期はどんな子だったのか、幼なじみに話を聞いてみました。
小学校の同級生・伊沢春奈さんは
「勉強ができて小説をよく読んでいる子だったように思います。(河﨑さんが)そのとき流行った女の子向けの小説を読んでいて、私も何回か借りて読ませていただいてました」
河﨑さんは、「文学作品を真面目に読むタイプではなく、氷室冴子さんとか、宗田理さんとかの本をよく読んでいました。本を読んでいる間の、物語の世界に没頭している時間が好きでした」と振り返っていました。
人口よりも牛が多い町として知られている別海町の環境が、河﨑さんと本との接点を太くしたようです。
「別海町は広々していて過ごしやすいところですが、その向こう側に行くのが子どもとしては大変。そういう意味では本の世界に没頭できるのは楽しかったです」
現在は、十勝地方で暮らしている河﨑さん。
おすすめのお店は十勝の“ソウルフード”『インデアンカレー』なんだとか。
鍋を持っていくとカレーのルーだけを買うこともできるお店ですが…
「鍋を洗うのが面倒くさいのでのお店で食べる」派なんだそうです。
そして、今後の作品については。
「北海道はこれからも描き続けると思いますし、北海道以外も並行して書き続けると思います。読者の方に何か具体的なものをお伝えしたいというよりは、読んでくださった方に物語の世界の中に入り込んでいただければと思うので、それができたならうれしいです」
さわやかな笑顔で、読者へのメッセージを語ってくれました。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年1月23日)の情報に基づきます。