『前屈』で背中をチェックできる!体が柔らか過ぎても腰痛になる理由とは?【専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話】
腰や背中が柔らか過ぎてもNG
「体がかたいと腰痛になりやすい」と考えている人は多いと思います。確かに筋肉や関節の柔軟性が低下していると腰痛になりやすいのは事実ですが、反対に体が柔らかければ腰痛になりにくいのでしょうか。実際には、ヨガの先生や新体操の選手といった人並みはずれた体のしなやかさを持つ人であっても腰痛持ちは少なくありません。私の患者さんでいえば、ヨガの生徒さんより先生のほうが腰痛で外来を受診することが多いのです。
では、どうしてこんなことが起きるのか。その答えは体の使い方にあります。前屈の姿勢を例に挙げると、腰や背中を曲げて上体を倒しているか、股関節を支点にして骨盤から倒しているかで、腰にかかる負荷に大きな差が生まれます。
腰や背骨を曲げた前屈(体の柔らかさ)は、一時的に腰椎と腰椎の間が緩んで不安定な状態をつくり、腰にダメージを与えているのです。短期で症状が出るわけではありませんが、長年にわたってこの動きが繰り返されれば、次第に椎間板の劣化で腰椎椎間板ヘルニアになりやすくなったり、黄色靭帯がこすれて腰部脊柱管狭窄症のリスクを高めたりします。
みなさんも前屈をしたとき、背中や腰が曲がっていないかチェックしてください。背中を過度に丸めないで、股関節から前屈できていることが重要です。たとえ、つま先に手がつかなくても結構。適度な柔らかさがあれば健康的と考えましょう。
体が柔らか過ぎると腰にダメージが蓄積される!?
腰や背中を大きく曲げる体の柔らかさは、腰椎同士の緩みを生じさせ、腰に負担をかけることに。それが度重なることで腰痛のリスクが高まります。
【X】腰や背中を過度に曲げると腰椎が緩む
腰を丸めたり、猫背で大きく体を曲げる姿勢をとると、腰椎同士が緩んでしまいます。
【○】まっすぐ保ち股関節から体を倒す
股関節を支点にして、背中を曲げずに前屈できれば、腰椎に余計な負荷がかかりません。
背中が丸まり過ぎると骨と骨の間が緩くなって腰に大きな負担がかかる!
出典:『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』著/吉原潔