知られざる一面に触れる「昭和100年記念 夢二の昭和―大正ロマンから昭和モダンへ―」が12月21日まで、根津『竹久夢二美術館』で開催中
「昭和100年」を迎えた2025年、大正末から昭和初期の作品をはじめとした夢二の知られざる活動を紹介する「昭和100年記念 夢二の昭和―大正ロマンから昭和モダンへ―」が2025年12月21日(日)まで、東京都文京区の『竹久夢二美術館』で開催されている。TOP画像=竹久夢二 「緑玉の指輪」1926年。
昭和初期に花開いたモダン文化での多彩な作品が一堂に
大正ロマンを象徴する存在として広く知られる詩人画家・竹久夢二(1884-1934)。
大正時代に活躍したイメージが強い夢二だが、昭和初期にも数多くの作品を残し、49歳で昭和9年(1934)に生涯を終えるまで、独自の芸術を表現し続けた。
本展では昭和100年にあたる2025年、「夢二の昭和」をテーマに、昭和初期の夢二の知られざる一面を作品とともに紹介するもの。
展覧会担当の徳重さんは「夢二が晩年に経験した欧米への外遊の成果や、モダン文化が隆盛した昭和初期の表現を展示紹介し、大正ロマンだけでない夢二の魅力を約200点の作品と資料でご覧いただきます」と見どころを語る。
昭和初期の肉筆作品から晩年作までを紹介
文化の変遷期である大正末から昭和にかけて制作された夢二の作品を、時代背景を交え解説する本展。当時傾倒していたという中国の文人画や南画の影響が見られる大正後期から昭和初期にかけての肉筆画、美と暮らしの融合を目指して手工芸品を改良・普及しようとした試みがうかがえる作品。さらに、昭和初期の少女雑誌に掲載し人気を博した詩とイラスト(抒情詩、抒情画)など、幅広い作品が展示される。
中でも注目なのが、アメリカ・ヨーロッパへの2年4カ月に及ぶ外遊を実現させた昭和6~8年(1931~33)当時の作品だ。アメリカでは不況や体調不良に悩まされながらも、在米日本人や移民に助けられながら活動し、ヨーロッパでは現地の文化に触れ、精力的に作品制作を行ったという夢二。外遊経験を経て円熟した作品を間近で見ることができる。
夢二の歩みとともに紹介される幅広い作品から新たな魅力が発見できそうだ。
担当学芸員によるギャラリートークや限定メニューも
10月11日(土)、11月16日(日)、12月13日(土)の各14時~、担当学芸員によるギャラリートークが開催される。
また併設の「夢二カフェ 港や」では、展覧会限定メニューも提供。大正末にデパートの食堂メニューとして登場し、昭和初期に広まったハットケーキ(ホットケーキ)をアレンジした「夢見る乙女のハットケーキ」(650円)は、ベリーの自家製ジャムをサンドしたケーキに夢二の花のカットを添えたもの。
味わえば、より夢二ワールドに浸れそうだ。
開催概要
「昭和100年記念 夢二の昭和―大正ロマンから昭和モダンへ―」
開催期間:2025年9月20日(土)~12月21日(日)
開催時間:10:00~17:00(入館は~16:30)
休館日:月(ただし10月13日・11月3・24日は開館)・10月14日(火)・11月4日(火)・25日(火)
会場:竹久夢二美術館(東京都文京区弥生2-4-3)
アクセス:地下鉄千代田線根津駅・地下鉄南北線東大前駅から徒歩7分
入場料:一般1200円、高校・大学生1000円、小・中学生500円
※弥生美術館と合わせて観覧可
※障がい者手帳を持参で本人のみ700円。
【問い合わせ先】
竹久夢二美術館☏03-5689-0462
公式HP https://www.yayoi-yumeji-museum.jp
取材・文=前田真紀 画像提供=竹久夢二美術館
前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。