【普光寺・普光寺磨崖仏】日本最大級の磨崖仏がある豊後大野市の紫陽花寺
大分県が「磨崖仏の宝庫」と呼ばれているって、ご存知でしたか?
石仏といえば「臼杵石仏」しか浮かばない…という方も多いかもしれません。
ですが、実は県内にある磨崖仏の数は、場所で括っても70ヶ所以上もあるのです。
ということで今回は、「紫陽花寺」とも呼ばれている豊後大野市朝地町の『普光寺(ふこうじ)』と『普光寺磨崖仏』をご紹介します。
アクセス
『普光寺(ふこうじ)』は、大分駅から車でおよそ1時間。朝地駅からは車で15分ほどです。
東九州道大分米良ICから国道10号と国道57号を経由し、「普光寺磨崖仏」と「用作公園」と示された標識を左折します。
標識手前には普光寺にあるあじさいの開花状況が書かれています。
私が訪れた2024年6月11日には「五分咲き」となっていました。
ここから標識に従って車で5分ほど進むと普光寺の駐車場に到着します。
普光寺に到着するまでの道中も、地元・朝地まちづくり協議会の方々が整備した「あじさいロード」が続いています。
普光寺の駐車場には、第一駐車場と第二駐車場があります。
第二駐車場の方が入り口に近いので、第二駐車場に停めたい方は第一駐車場を通り越してください。
車を停めて坂を下ると、普光寺に入る看板が見えます。
右に歩道、左に階段のある参道がありますので足の状態や体調に合わせて歩きやすい方から普光寺を目指してください。
参道は標識に従い民家の脇を通って進みます。
階段は落ち葉で覆われていますので、足元の悪い日は特にお気をつけください。
両側に紫陽花の咲く道を進めば「普光寺」に到着です。
普光寺について
鎌倉時代に創建された普光寺は高野山真言宗の寺院で、仏教の寺院の名称の前に冠する山号を筑紫山と言います。
御本尊は、「宇宙そのもの」を表し、あらゆる仏の頂点に立つ大日如来です。
境内左には「磨崖仏」の文字が。この標識に従って坂を下ると『普光寺摩崖仏』を見ることができます。
またこちらの『普光寺』、毎年6月中旬には境内を2000株のあじさい"が彩ることでも有名で、紫陽花寺とも呼ばれています。
この日も県内外から磨崖仏と紫陽花を見に多くの方が訪れていました。
紫陽花の咲く小径を通って『普光寺磨崖仏』のすぐ側まで行くことができます。
『普光寺』が紫陽花寺と呼ばれるようになったきっかけは、40年以上前に耕作放棄地となった敷地内の畑へあじさいを植えはじめた一人の檀家さんによるものなのだとか。
その後も、あじさいを植え手入れを重ねた普光寺は紫陽花寺として有名になり、今でも朝地町の地域団体が中心となり「あじさい祭り」を開催するなど訪れた人たちを楽しませてくれています。
紫陽花の開花状況は豊後大野市役所朝地支所HPでも確認できます。
また普光寺は入場無料ですが、境内入り口に紫陽花の管理などのための募金箱がありますのでご協力をお願いします。
普光寺磨崖仏
およそ800年前に造られた『普光寺磨崖仏』は、全国でも最大級の高さ11.3mの不動明王(ふどうみょうおう)と、その両脇に二童子の磨崖仏が岩壁に彫られています。
豊後大野市にある多くの磨崖仏は約9万年前の阿蘇火山4回目の火砕流に彫られていると言われていますが、『普光寺磨崖仏』は約12万年前の阿蘇火山3回目の噴火による火砕流により造られた岩壁に彫られています。
普光寺の溶結凝灰岩には固まり方が弱く脆い性質があるといい、"煩悩を抱えた人たちを力ずくで救済するため"に怒りの表情を浮かべた不動明王の顔が優しく感じるのはその溶結凝灰岩に影響されているのではないかと言われています。
また、向かって『普光寺磨崖仏』右側には岩壁が掘りくぼめられ、仏像が納められている龕(がん)と護摩をたき修法を行うための仏堂・護摩堂(ごまどう)が見えます。
龕に入ると、大日如来を祀った祠があります。
ここでも磨崖仏が掘られている箇所を目視することができます。
急峻な崖や山の斜面にへばりつくように建てられたかけ作り舞台からは普光寺と紫陽花を見渡すことができます。
奥には江戸時代になって造られたという護摩堂があります。
『普光寺』は、山へ籠もって厳しい修行を行うことで悟りを得ることを目的とする修験の地としても人気があったようです。
みなさんも、紫陽花が美しいこの時期に是非歴史ある『普光寺』と『普光寺磨崖仏』へ足を運んでみてはいかがでしょうか。