小型犬がかかりやすい病気3つ その理由と病院へ行くべき初期症状や対処法などを解説
小型犬がかかりやすい病気
小型犬の飼い主なら絶対に知っておきたい、気をつけるべき、小型犬がかかりやすい病気があります。
ほんの少し知識があるだけで、万が一のとき、焦ることなく冷静に正しい判断と対処をすることができます。
何となくでも構いませんので、いざというときに(そういえば、こんな病気があったな…)と思い出せるように、頭の中に入れておきましょう。
1.膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
小型犬がかかりやすい病気のひとつに、「膝蓋骨脱臼」があります。「パテラ」という呼び名でもよく知られている病気です。
膝蓋骨とは、膝のお皿のことを言います。正常な状態では、大腿骨にある溝の中にしっかりとおさまっていますが、なんらかの原因によってこの膝のお皿が内側や外側に外れてしまうのが、「膝蓋骨脱臼」です。
小型犬の大腿骨にある溝は、中型犬や大型犬と比べて浅いため、もともと外れやすい状態であると言えます。
床で滑ったとき、転倒したとき、ジャンプしたときなど、膝のお皿が外れた痛みで、犬が「キャンッ!」と甲高い鳴き声を上げることがありますが、膝が外れてしまう状態を繰り返すと状態が悪化してしまいます。
軽度であると、膝を伸ばしたときに元に戻るため、すぐに元気な様子を見せますが、膝蓋骨脱臼が繰り返し起こる可能性があるため、念のために診察を受けておいてもよいと思います。
2.気管虚脱(きかんきょだつ)
もうひとつの小型犬がかかりやすい病気として、「気管虚脱」があります。
正常な気管は筒状になっていますが、何等かの原因によって、変形したり潰れたりした状態を「気管虚脱」と言います。
気管は、呼吸をするときの空気の通り道です。変形したり潰れたりすると、「ゼェーゼェー」や「ガァーガァー」など、苦しそうな呼吸をするようになります。初期症状では、乾いた咳が出るようになるという特徴もあります。
気管虚脱は、大型犬に少なく、小型犬に多いことから、遺伝的な様子が関係しているのではないかと考えられています。
他には、お散歩中の引っ張り癖、飼い主がリードを強く引いたことが原因となり、気管が潰れてしまうこともあります。
(最近よく咳をしているかも…)と感じられるとき、呼吸をするときに「ゼェーゼェー」や「ガァーガァー」と音がするときは、なるべく早く動物病院で診てもらいましょう。
3.僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)
さらに小型犬がかかりやすい病気として、「僧帽弁閉鎖不全症」があります。
僧帽弁とは、心臓の左心房と左心室の間にあり、血液の逆流を防ぐ役割があります。この僧帽弁が変性を起こし、閉まりが悪くなると、血液の逆流が起こります。逆流した血液は、肺に負担をかけるため、犬に咳や息切れの症状が見られるようになります。
症状が進行すると、肺に水がたまる「肺水腫」を引き起こすことがあります。こうなると呼吸困難に陥り、死に至ることもあります。
小型犬の場合、加齢によって僧帽弁が正常に機能できなくなる、ということが要因であるとされています。大型犬の場合では、心臓の異常によって二次的に発生することがある、と考えられています。
咳が出る、息切れしやすい、お散歩を嫌がるなどの初期症状が見られるときは、なるべく早く動物病院で診てもらいましょう。
まとめ
小型犬がかかりやすい病気を3つ解説しました。
✔膝蓋骨脱臼
✔気管虚脱
✔僧帽弁閉鎖不全症
我が家のポメラニアン(13歳)は心不全であると診断されてお薬を飲んでいますが、咳や息切れなどの症状は一切ありません。普段の健康診断でも心臓の状態以外の健康上の異常や問題は今のところありません。
しかし、シニアだから…と、何となくお願いしたレントゲン検査をきっかけとして、心不全であることが分かったのです。心臓病は気づきにくいです。かなり進行した状態で発見されることがよくあります。
小型犬の健康診断には、血液検査だけではなく、レントゲン検査やエコー検査なども行い、病気になっていないかどうかの検査も含めて受けることを強くおすすめしたいです。
また、日頃から愛犬の健康チェックをこまめに行いましょう。ちょっとした変化も見逃さないよう、観察しましょう。
小型犬の肥満は、様々な病気の引き金になる可能性があります。体重の変化や普段の食欲などだけでも記録しておくとよいと思います。
(獣医師監修:平松育子)