晩秋エギング!場所によってはまだハイシーズン??冷え込みが始まる季節は「水温」次第!
エギングでは、晩秋は「やや深場の水深(シャロー隣接)」と「潮通し」がキモとはいいますが…
晩秋のエギングといえば、気温の低下とともに「やや深場の水深(シャロー隣接)」と「潮通し」がキモというのが定説です。警戒心の強い良型のイカは、無闇に動き回らず、エサを捕食しやすいタイミング(潮の動き)に効率よくエサを求めると思われるからです。しかし実際のトコロは……?
今回は、そんな晩秋のエギングの実のところを探るべく、水深のある堤防先端と浅い堤防根元やシャローに分かれて実釣検証してみるという企画。果たして、定説通りの結果となったのでしょうか???
1.11月、訪れたのは南国愛媛県
11月、検証のために訪れたのは、北は瀬戸内海、南は太平洋、そして西側には豊後水道といったあらゆる海域に面した、四国の南西部に位置する愛媛県。季節によってあらゆるターゲットがねらえる場所とあって人気のエリアです。
(1)晩秋になぜ愛媛県?
高水温を好むイカ(アオリイカ)にとって、水温低下は自身の生命に関わる問題。秋の水温低下とともに、外気温の影響を受けやすい浅場(シャロー)や湾奥から、水温の安定している深場や外洋側へと移動を始めます。この水温も関係していますが、イカが捕食するベイトも移動するため、それについて行くようなイメージです。
季節の移ろいとともに徐々に水温が低下していく晩秋から冬
冬の訪れとともに北西風が強くなる時期ですが、愛媛県は地図でも確認できるように、四国地方のなかでも南西向きに位置しており、また、リアス式の地形を活かして、風を避けた釣り場選択がしやすい場所です。しかも、太平洋からの温かい潮が入り込みやすいため、1年を通じて水温が高く、真冬でもイカが生き延びることのできる水温環境。そんな理由から、今回愛媛県を選択しました。
(2)ウネリと風を避けて場所をチョイス
当日は、徐々に冬の訪れを感じさせる突風が吹くといった具合。海辺では立てないほどの強い北風が吹き付け、風裏となる南向きのポイントを選択しました。
とはいえ、南向きのポイントは太平洋側に面しているためウネリの影響を受けてしまい、外洋では釣りをしづらい状況でした。
ときおり風が強くなり、沖では白波が立つことも
北向きは北風が強過ぎる…、南向き(外洋)はウネリの影響で釣りがしづらい…。このようななか結局、南向きの外洋を避けた場所で釣りをすることにしました。
2.二手に分かれて実釣スタート
今回は検証のために、堤防などの1ポイントで釣りをする際、「水温が安定しているであろう堤防の先端(深場や沖側)」と「堤防根元のシャローや湾奥」といった二手に分かれて実釣。その実際のトコロを探ってみました。
(1)まだまだ海の中が温かい愛媛の海
時折り突風が吹くほどの強い風が吹いていたとはいえ、愛媛県はかなり暖かく、日差しが差せばやや汗ばむほどの日中。晩秋をイメージして訪れたのですが、何だか秋口のような印象に困惑…。
事前情報では、ポロポロではあるものの良型が上がっていたのですが、海の中はまだまだ夏から秋といったところ。深場や外洋側も水温が高く、イカよりも青物などのフィッシュイーターの姿を多く確認し、正直、良型イカの可能性を感じにくいといった状況でした。
また、ポロポロと見つけた見えイカは小振りで、シャロー側で見かけるといった具合。スミ跡から、堤防先端で目立った釣果がないようにも感じられました。
(2)各ポイントの釣況
そのようななか、実釣して分かった各ポイントの状況は次の通りです。
【堤防の先端】
外洋向きの先端は水深がかなり深く、場所によっては水深20m以上あることも。エギではやや底取りしづらく、少々手返しが悪いといった感じです。それでも潮は多少動いており期待しましたが、残念ながらイカが追ってくるようなことはなく、釣果を得ることはできませんでした。
青物がいたことも影響していたかと思います。
【堤防の中間部】
堤防の中間付近(深場とシャローの境)では、足下に小振りではあるもののイカの姿を10数杯確認することができました。エギをイカのそばにキャストするとすぐに反応して、2~3杯釣り上げることができるといった具合でした。
【堤防の根元】
外洋面や潮通しのよいポイントだけでなく、堤防根元のシャローにまで青物の姿が頻繁にみられました。お陰で、キャストしたエギをダートさせるとすぐに青物が反応するといった具合…。このような状況では、青物のエサになりやすいイカはさすがに反応してくれないと思われました。
しかし、夕方などのマズメ時には、シャローにエサを求めて回遊してくるイカの姿を数杯確認することができ、実際に良型を釣り上げることもできました。
(3)意外!?晩秋のはずの海の中
さまざまなことを考慮して、今回この愛媛エリアを選択しましたが、結果的にまだまだ水温が高く(恐らく22℃~23℃ほどあったかと思います)、イカよりも魚の方が活性が高いといった状況でした。しかも当日は、潮周り(潮汐)の影響からか堤防の先端(外洋面や沖側)でも潮の動きがほぼなく、イカの活性のスイッチが切り替わるタイミングをつかみづらいといった具合…。
結局、当初の目論見とは異なり「深場で良型が釣れる」といったこともなく、ただただ時間が過ぎていったのでした。
陸上では気温低下とともに季節の移り変わりを感じますが、海中では陸上と比べ季節の進行が遅く、場所にもよるとは思いますが、1~2ヵ月遅れで秋から冬へと移っていくのだと実感させられました。
陸上に比べ、まだまだ暖かい海の中
3.釣れたのは結局…
(1)小イカが多く見えた港内やシャロー
外洋に面した潮通しのよいエリアには、回遊魚(青物など)の姿が多く確認でき、イカの反応はイマイチ…。その反面、堤防際や港内にある船の牽引ロープの周りには、たくさんのイカが見えていました。
そんな見えているイカの活性はひじょうに高く、エギを群れの付近にキャストすると即座に反応する個体が多かったといった状況。憶測にはなりますが、回遊魚が多く、目につくオープンエリアや外洋面での捕食ができない分、エギを見つけるとすぐに抱き付いてきたのではないかと思われます。結果的に、サイトフィッシングでの釣果が多かったですね。
日中の港内やシャローには小イカの群れが。そして、エギをキャストすると即座に反応してくれた(2)良型は時合をねらうか、じっくり探るか…どっち?
とはいえ時合ともなると、釣り人の気分的には回遊が多くありそうな外洋面での釣りをしたいもの。そのため、港の入り口付近のカケアガリ(ブレイク)のあるポイントに立ち位置を構え、回遊を待つことに…。日中に足下で見えていた個体は夕暮れを迎えるにつれて姿を消し、ブラインドでの釣りに挑みました。
すると、周辺が暗くなってきたころに、シャローエリアを中心に探っていた清水さんに待望のヒット! この時期にしてはよいサイズでした。話を聞くと、湾奥のドシャローでのヒットだったとのことで、まさにエサを捕食しに来た回遊の個体であると思われました。
夕マズメとともにシャローに入ってきた、回遊の良型アオリイカ
一方、港の入り口付近、外洋に面したブレイクラインではアタリがほぼなく、残念ながら釣果に巡り合うことはできませんでした…。結局、深い場所を丁寧に時間をかけて探るより、シャローエリアをランガンするスタイルでねらう方が効率がよいという結果となりました。
4.晩秋とはいえ、水温による
今回の実釣、検証結果を経て分かったことは、(陸上の)季節は晩秋といえど、海中はまだまだ水温が高く初秋に近い状況であったということ。
潮が動かなかったことも影響していると思われますがイカはそれぞれ散っており、当初の予想に反してシャローで多く釣果が上がりました。「晩秋だから深場を…」ということではなく、あくまでポイントの判断は水温。ということは逆に、これから年末にかけてますます寒さが厳しくなるものの、場所と水温次第ではまだまだ釣れる。そんな風にも考えることができますね。
5.違和感なく抱かせるなら…
ところで、今回のような良型イカの活性が低い場面で、「スクイッドジャンキー ハグハグ」が予想以上に活躍してくれました。実際、小イカは別として、数少ない良型が釣れてくれたのはハグハグ。青物も多く潮も動かないといった渋い状況で、恐らくイカも警戒していたハズですが、そのボディ全体のシルエットやナチュラルさ、“触り心地“が功を奏したように思われます。
ハグハグに採用された、きめ細かく触り心地のよい「ハグクロス」
活性の低い状況下では、イカの本アタリを逃さないだけでなく、触腕で触れた前アタリも逃さないことが釣果に結び付きます。ハグハグに採用された「ハグクロス」という特殊な布は、従来の布よりも布表面がきめ細かく、ひじょうに触り心地のよい布です。
その触り心地の秘密は「細かな縫い目の重なり」。目が細かいことにより、イカの触腕や吸盤内にある小さな“棘(トゲ)”が引っ掛かりやすいといった特長があります。そのため、たとえイカの活性が低くとも、触れるだけで離しにくい、すなわち「触れたイカを逃さない=アタリが出やすい」といったメリットとなるのです。
クリアボディと部分ホロが、ナチュラルさと視認性を両立
また、クリアボディを多くラインナップすることにより、よりナチュラルなアピールを演出することができます。クリアボディの中にはこれまでのような全面ホロではない「部分ホロ」を採用し、クリアボディのナチュラルさを活かしつつ、部分ホロでシルエットをハッキリさせるといった工夫が施されています。そんな細かなこだわりのお陰で、今回のような渋い状況でも良型の釣果を手にできたと考えています。
今回の重要ワンポイント
●陸上の季節と海中(の水温)はズレている!水温に合わせてねらいどころを絞る
●潮の動きだけではなく、ディープエリア、シャローエリアもしっかりと探る
●マズメ時などは、回遊してくる良型をシャローでねらうチャンス
●シビアなイカには違和感なく抱かせることのできる、ハグクロス搭載の「ハグハグ」がおススメ
ヒトが感じる晩秋(=寒いから、暦の上ではそろそろ釣りシーズンも終盤)と海の中の季節感はズレていると痛感させられた今回。これから年末、年明けの真冬に向けて、まだまだアオリイカをねらえる場所はあるハズ! 身近な普釣り場でも、時間やタイミングが合えば、思わぬ釣果に出会えるかもしれません。
それでも釣れなくなってしまった場合は、普段行かない場所へ気分転換も兼ねて、遠征するのもありかもしれませんよ。
気にすべきは「水温」で、実際に水温が下がってくれば、水深や地形を気にする必要はありますが、ハイシーズンまだまだ終わりません。良型をねらいに、積極的に出掛けてみては?
レポーター
プロフィール:小南 勇気
3歳のころから父親に海釣りに連れていかれ、気が付けば釣りに夢中に。中学生になると、自らの足で近所の野池や海に行くようになった。好きな釣りはショアのソルトルアー(とくにエギングとライトゲーム)。また、釣り以外にもアウトドア好きで、冬はスノーボード、夏はキャンプと根っからのソトアソビスト。行動力とフットワークの軽さは社内一のはず?(笑)
現在は釣具メーカー・ハヤブサにて開発課メンバーとして勤務し、日夜商品開発に奮闘中。