「同じ劇団出身」息ぴったりのイ・ソンミン&イ・ヒジュンが爆笑ホラコメ『ハンサム・ガイズ』を“超マジメ”に語る!
あの爆笑ホラコメがまさかの韓国リメイク!
ちょっとグロくて最高に笑える、世界中でスマッシュヒットを記録した”あのホラーコメディ”が韓国リメイク版、その名も『ハンサム・ガイズ』としてスクリーンに帰ってきた。しかもイ・ソンミンとイ・ヒジュンのW主演という、韓国映画/ドラマ好きは絶対にスルーできなくなるツボを突いた好キャスティングだ。
自称“タフガイ”のジェピル(イ・ソンミン)と“セクシーガイ”のサング(イ・ヒジュン)は、森の奥深くにある新居に引っ越してきた。二人はよく自分たちの”ハンサムさ”について褒め合っているが、実際のところ、その強面ぶりから彼らを見た人々は、不審な人物だと疑ってしまう。そんなこと知るよしもない二人は、やっと手に入れた夢のマイホームで新たな暮らしを始められることに、ただただ幸せを感じていた。
ところがその幸せも束の間、近くの湖で溺れかけた大学生のミナ(コン・スンヨン)を助けようとしたところ、殺人鬼に間違えられてしまう?! 殺人鬼だと勘違いしているミナの友人たちが次々と襲いかかってくる中、地下室に封じられていた古代の悪霊が目を覚まし……家は次第に不気味なエネルギーに包まれていく。
――「なんでうちに来て、みんな死ぬんだよ!」
最初から最後まで不穏さと可笑しみが漂いつつ、先入観による偏見や無責任な攻撃性などがピタゴラスイッチ的に起動し、次から次へと死人が出まくる本作。オリジナルは、2010年公開の『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』(カナダ・アメリカ合作/日本公開は2012年)で、忠実に踏襲した部分と韓国ならではのオリジナル要素が楽しめる仕上がりだ。
韓国ならではの要素をプラスしてドタバタ度UP!
『タッカーとデイル~』はアイデア一発で駆け抜けるだけでなく、“スプラッタあるある”をネタにしまくった愛ある笑いも大きなウリだった。ホラー映画ファンでなくとも楽しめるドリフ的なドタバタ展開と、笑いを損なわない塩梅にショッキングな死亡シーンが幅広く受け入れられたこともヒットの要員だろう。
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かたや『ハンサム・ガイズ』はドタバタ展開を強調しつつも、万国共通である“陰と陽”的な人間心理を巧みに盛り込み、そこに韓国ならではのオカルト描写をプラスすることで、2020年代のアジア産ホラーコメディとして生まれ変わらせた。もちろんキャスト陣の振り切った演技も素晴らしく、大げさでなく10分に一度は爆笑(もしくは苦笑)を誘う快作に仕上がっている。
そんな本作の公開に先立ち、主演のイ・ソンミンとイ・ヒジュン、そしてナム・ドンヒョプ監督にメールインタビューを実施。まずはソンミンとヒジュンの2人が、忙しい撮影の合間を縫って本作の撮影エピソードやお互いの関係性などについて答えてくれた。
「イノシシ狩りをする方々からインスピレーションを受けた」
――イ・ソンミンさんは日本でも「信頼できる俳優」としてお馴染みで、コメディでもシリアスなドラマでも常に観客に強烈な印象を残します。本作への出演を決めたポイントを教えて下さい。
ソンミン:今作のシナリオを本当に楽しく読ませてもらいました。最近のトレンドに合わせてさまざまなジャンルが混ざっている部分が新鮮でした。これまでいろいろなキャラクターを演じてきましたが、ジェピルというキャラクターは特にこれまでにない挑戦になりそうだと思い、出演を決めました。
――ソンミンさんが演じるジェピルのように、「本当はお人好しなのに誤解されてしまう、ワイルドぶっている男性」を演じるうえで、とくに意識したポイントは?
ソンミン:ジェピルは正義感が強く礼儀正しい一方で、親切で思いやりのある行動には不器用、という魅力を持っています。険しい顔つきや威圧感を表現することが、自分にとっての挑戦でした。
あるドキュメンタリーの、イノシシ狩りをする方々からインスピレーションを受けたのですが、衣装チームも似たようなスタイリングを用意してくれたので、キャラクター像に自信を持つことができました。セリフよりも、舌を出したり唾を垂らしたりといった動作でアドリブを多く入れ、蜂に刺されるシーンでも、監督の意図よりも少し過剰にメイクを施しました。
――イ・ヒジュンさんは『KCIA 南山の部長たち』(2020年)での見事な変身ぶりが有名なので、本作を観ても同一人物だと気づかない観客もいるかもしれません。本作ではヒジュンさんの新たな一面を見ることができますが、出演を決めたポイントを教えて下さい。
ヒジュン:独特な題材で、従来の韓国映画のパターンとも違っていて興味深かったため出演を決めました。
――ポリティカル・サスペンスなどのシリアスな作品と、恐ろしいホラーや笑えるコメディ映画では、俳優としての心構えはどう変わりますか? 役作りにも違いがあるのでしょうか。
ヒジュン:じつは、特に違いはありません。(どのジャンルであっても)同じように役柄や内容について真剣に考えます。
「監督を説得して“そのシーン”を実現させました」
――普段、コメディ映画やホラー映画は好んで鑑賞されますか? 異なるジャンルをミックスするうえで、俳優としてもっとも重要だと思うポイントは?
ソンミン:普段コメディ映画はよく観ますが、ホラー映画はあまり観ません。両ジャンルに共通するのは、映画が観客の具体的な反応(笑いや悲鳴など)を引き出さなければならないという点だと思います。『ハンサム・ガイズ』は、その両方のカタルシスを観客から引き出さなければなりませんでした。
客席から笑いを引き出すのは本当に難しいです。いつ、どこで笑うか分からないため、そのポイントを見つけるために監督や俳優たちは多くの努力を重ねます。また悲鳴を引き出す場合も、同じような努力が必要でした。
――本作でジェピルは蜂に刺されたり足を貫かれたりと、痛々しい目に遭います。特殊メイクなども施されたかと思いますが、撮影中の印象的なエピソードを教えて下さい。
ソンミン:蜂に刺された顔のシーンは、撮影準備の段階では予定になかったのですが、シナリオを読み進めるうちに、それくらいの顔でなければならないと思うようになり、監督を説得してそのシーンを実現させました。
――サングの、まるで子どものように屈託のない笑顔や、ミナを助けてからの食事~ダンスシーンなどは、彼の人間性をよく表しています。無垢で心優しいが自分に自信のないサングを演じるうえで、特に意識したポイントは?
ヒジュン: キャラクターを作るときは観察を重視する方なので、サングのような実在の人物について研究しました。
「イ・ヒジュンとは同じ劇団にいたので息を合わせて仕事をすることに慣れていました」
――お二人は最近でも『ナインパズル』(2025年/ディズニープラスで独占配信中)で、同じような関係性の役で共演されていましたね。とても相性が良いと感じましたが、ヒジュンさんの印象を教えて下さい。
ソンミン:イ・ヒジュンは、とても真面目で誠実な俳優です。私たちは同じ劇団にいたので、お互いのことをよく理解し、息を合わせて仕事をすることに慣れていました。そのため、まるでサッカーの試合のように、一方が攻めならもう一方が守る、といったバランスで、すべてがスムーズに進みました。
――実際に俳優としての“兄貴”でもある、ソンミンさんの印象を教えて下さい。
ヒジュン:イ・ソンミンさんは、映画以前の演劇時代から10年以上一緒に演技をしてきた先輩で、いつも共に仕事をする中で学ばせてもらっています。今回の映画でも、キャラクターに本能的にアプローチする姿勢や現場での態度など、多くのことを学ばせてもらいました。
――本作には幅広い世代の俳優が出演しています。パク・ジファンさんやコン・スンヨンさんなどと撮影された中で、印象的なエピソードがあれば教えて下さい。
ヒジュン:パク・ジファンさんは、台本には特に詳しく書かれていないにも関わらず、“変身”した後のキャラクターの動きを研究して臨んでおり、撮影中にとても驚かされました。
『ハンサム・ガイズ』は10月3日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開