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「何度もチャンスはやってこない」キャリアに悩むあなたに届ける役所流アドバイス

求人ボックスジャーナル

「何度もチャンスはやってこない」キャリアに悩むあなたに届ける役所流アドバイス【求人ボックスジャーナル】はたらき方やキャリアを考える機会を創出するメディア

これまで数多くの映画やドラマに出演し、名実ともに日本を代表する俳優の一人である役所広司さん。2025年1月からは求人ボックスのCMにも出演していただいています。CMでは「ミスター・ボックス」に扮した役所さんが、“明るい未来”や“豊富な仕事”が詰まっていそうな大きな箱を、仕事探しに迷っている人たちに届けていきます。今回は役所さんにこれまでの自身のキャリアの悩み、働くうえで大切にしていること、決断するときの軸などをお伺いしました。キャリア迷子のビジネスパーソンに向けて、役所さん流のアドバイスを届けます。

俳優の道に進むと決断したのは「こんなに一生懸命なものに出会えていいな」という羨ましさ

――俳優の道に進もうと思ったきっかけを教えてください

僕は俳優になる前は公務員だったんですが、ずっと公務員を続けるというより、いずれは故郷の長崎に帰ろうと思っていました。長崎に帰ってからは親戚のおじさんの会社で仕事をしようと思っていたんです。
ただ、俳優という仕事に魅力を感じていたので、長崎に帰る前にちょっと運試しにと思って試験を受けてみたんですよ。そして、俳優養成所の「無名塾」に入れてもらいました。
いままでの人生のなかでこれだけ興味を持った職業はなかったので、諦めて故郷に帰るより少しだけでもいいから経験したいと思って、俳優の道に進むことを決めました。

――葛藤もあったなか俳優の道に進むと決めたとき、どんな思いで決断されましたか

楽しみながら情熱を注げる仕事 ってなんだろうなと思ったんです。
俳優になる前は舞台公演を見に行って、なかには半分プロ半分アマチュアみたいな人たちの演劇も見ました。そこではプロとかアマチュアとか関係なくみんなすごく一生懸命で、 当時の僕からすると非常にキラキラして見えたんですよ 。 それと同時に羨ましいとも思いました 。こんなに一生懸命なものに出会えていいなって。
だから、そんな世界に自分も仲間入りしたいなと思ったんです。

――役所さんがこの先も俳優で生きていくと決めたきっかけはありますか

僕の俳優人生のスタートは舞台公演でした。舞台公演自体の出来はいいのか悪いのか分からなかったですが、終わったあとカーテンコールでお客さんが拍手してくれて、「 一生懸命やればこんなにも拍手してもらえるんだな 」と思ったのがきっかけの一つかもしれません。

あとは、自分が出演していない作品を見たときに「この人たちと同じ職業なんだな」「お客さんはこんな気持ちになるのか」と思ったときに、その端くれでも同じ俳優である以上もっと頑張ろう、もっと頑張らないと、と思ったことですね。

仕事を“楽しめる”ようになるまでは苦しい時期もあった

――俳優として「挨拶」「遅刻をしない」「人間関係」を非常に大切にしていると拝見しました。良好な人間関係を築くうえで大切にしていることはなんですか

僕が無名塾に入ったとき、仲代達矢さんから耳にタコができるくらい「挨拶をしなさい」といわれました。

作品は一人で作るものではなく、キャスト・スタッフなどものすごく多くの人たちが関わっています。みんなが気持ちよく楽しく仕事をするため、作品によっていい意見を言い合える環境を作るために、人間関係はすごく大切にしていますね。

俳優という仕事は普通の会社のような同じチーム、同じメンバーでやっている仕事ではないので、毎回メンバーが変わるんです。そういう仕事はより挨拶が大切だと感じます。期間は決まっているとはいえ、これから一緒に仕事をする仲間ですから。挨拶できないまま撮影が始まると「あの人と挨拶してないけど……。俺のこと嫌いなのかな」とか、他の役者さんたちに余計なことを考えさせたくないですし。

――働くうえで大切にされていることはなんでしょうか

“楽しむこと”を大切にしています。
ただ、 仕事を楽しむってことにたどり着くまではなかなか難しかったです 。好きなんだけど楽しむまではなかなかいかなくて、苦しかった時期もありました。

でも、 せっかく仕事をしているんだから「楽しむためにはどうしたらいいか」を考えるようになったんです 。自分なりに行き着いた答えは、自分が仕事で自由な表現、楽しいと思える表現ができるまでには、やっぱり準備が大事なんだということ。準備が足りない仕事のときは、なんていうのかな、思いっきり飛べない、みたいな感覚になるんですよ

僕のような俳優の仕事は特に、楽しんで苦しんで他の人物を演じている姿のほうが、僕自身も楽しいしきっとお客さんにも楽しんでもらえるんだと思います。
僕が観客としていろんな映画とか舞台とか見に行っても、生き生きとのびのびと楽しんでいるお芝居は、観客としてもすんなりと楽しめるんですよね。

――好きだけど楽しむまではいかない期間もあったということですが、いつから仕事を楽しめるようになりましたか

30歳を過ぎてからですね。
たくさんの俳優仲間や監督との出会いで仕事との接し方や向き合い方が変わってきました。自分のいい部分を拾い上げてくれるような、信頼できる監督とも出会って、自分の挑戦したいことに思いっきり飛び込めるようになりましたね。

もちろん毎回成功するわけじゃないんです。でも、失敗してもまた次のチャンスを与えてくれる。そういう監督との出会いで、監督(作り手)は役者の楽しんでのびのび演じている姿が好きなんだな、求めているんだなと思いました。だから、 より一層仕事を楽しみたい、遠慮なく楽しんでやるぞと思いましたね 。

――監督との出会いは転機でもありましたか

そうですね、もちろん監督との出会いは転機でしたね。

日本映画が低迷している時期に、今村昌平さんが監督を務めた「うなぎ」に出演しました。この作品はカンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞して、僕は初めて映画祭に行ったんです。そこには日本映画のファンがいっぱいいるんですよ。インタビューしてくれるんですけど、僕よりはるかに日本映画に詳しい記者たちがいて、日本映画を楽しみにしてくれている人が世界中にはこんなにもいるのかと思いました。

それは現地に行ってみないと分からなかったし、監督と出会わなければ気づけなかったことです。日本映画を待っているファンのために頑張りたいと思いましたし、日本映画界のためになにか役に立つことをしたいと思いました。

何度もチャンスはやってきてくれない。挑戦したいと思ったらできるだけ早く

――役所さんが20代・30代のときはどんなことに悩んでいましたか

20代は本当にいい加減でしたね。そういう意味では楽しんでいたのかもしれませんが、仕事を甘くみていた部分はありました。

僕は苦労してそうな顔してますけど(笑)、俳優としては、有難いことに恵まれていたので。
いま思うと20代のころは俳優という仕事を真剣に考えていなかったと感じます。
「こんなことをやっていれば生活していけんのかな」「仕事がくるようになるのかな」そんなことを考えていた様に思います。

30代くらいになると、娯楽作品だけでなく少し作家性のあるドラマや映画に出会えたんで、そこで自分はどういう仕事をすればいいのかということをいろいろ考えるようになりました。脚本の読み方にしろ、演じる世界の資料にしろ、自分なりに調べて役を構築させなければいけないんだと思うようになりましたね。

――いまの環境を変えたい、挑戦したいけれど失敗が怖くて一歩が踏み出せないと、キャリアに悩んでいるビジネスパーソンにアドバイスをお願いします

自分が本当に挑戦したいと思うことは、 怖くてもできるだけ早く挑戦したほうがいいと思います 。若いころのほうがいい。ある程度キャリアや歳を重ねると、自分のやっている仕事に責任が出てきたり、自分のポジションによっては悩んでしまったりするから、 できるだけ早く若いころにね 。
何度もチャンスはやってきてくれない から、目標のための準備を着実にすることも大事だと思います。1回目のチャンスで大成功とまではいかなくても、それなりに可能性を感じられる(感じてもらえる)くらいの準備は必要なんじゃないかなと思いますね。

「役所広司さん出演中の最新CMギャラリー 」

プロフィール

役所 広司(やくしょ こうじ)

1956年1月1日生まれ。長崎県諫早市出身。
83年、NHK大河ドラマ「徳川家康」で織田信長役を好演し、脚光を浴びる。
85年、故・伊丹十三監督の「タンポポ」に出演。その後もテレビドラマ、映画などに数多く出演する。
95年に主演した「KAMIKAZE TAXI」では、毎日映画コンクール 男優主演賞を受賞。
96年には「Shall we ダンス?」「眠る男」「シャブ極道」で国内の映画賞で主演男優賞を独占。
その後も多岐に渡る出演作品に出演し、数多くの賞を受賞。
近年では、映画「すばらしき世界」(21)、「銀河鉄道の父」(23)、ドラマ「THE DAYS」(Netflix)、日曜劇場「VIVANT(ヴィヴァン)」(TBS)などの話題作に出演。
23年に公開された「PERFECT DAYS」では第76回カンヌ国際映画祭 エキュメニカル審査員賞のほか、コンペディション部門において最優秀男優賞を受賞。また、第47回日本アカデミー賞 最優秀主演男優賞、第97回キネマ旬報ベスト・テン 主演男優賞(共に4度目の受賞)など、国内外の数々の映画賞を受賞し、名実ともに日本を代表する俳優の一人として活躍している。

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