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わが子だけ違う!1歳半健診で発語なし、落ち着きのない息子と周りの子との違いに愕然

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わが子だけ違う!1歳半健診で発語なし、落ち着きのない息子と周りの子との違いに愕然

監修:室伏佑香

東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科/名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程

1歳半で言葉が出ていなかった

わが家の長男けんとは3歳の時に自閉スペクトラム症と診断を受けました。けんとが周りの子たちに比べて発達がのんびりだと、私がハッキリ気が付いたのは1歳半健診の日でした。

けんとが初めての子どもだった私はどれくらいの月齢の子が、どういう行動をするのか……という知識がありませんでした。母子手帳などに書いてある「生後〇ヶ月で〇〇をする」というのは「あくまで平均的な目安で、人それぞれ発達のスピードは違うだろうから、気にしなくてもいいのかな」と、のんびり考えていたのです。けんとは1歳半で言葉が全く出ていませんでしたが、私はそれほど気にしていませんでした。

1歳半健診の通知が届き、指定された日程に保健センターへ。会場には、けんとと同じ1歳半とは思えないような子どもたちで溢れていました。

けんとは言葉が全く出ていなかったことに加え、歩き方も、ほかの子に比べると不安定でヨチヨチ。落ち着きがなく、常に興味のあるものを見つけては歩きまわっていました。
ほかの子が保護者とやりとりをしながら、椅子に座って順番を待っている姿に私は愕然。順番を待っている間だけで、けんとは「何かがみんなと違う」と私は感じました。

そして、名前が呼ばれ、いざ1歳半健診がスタート……とはならなかったのです。

やりとりが上手な周りの子たちに驚愕

案内された大きな部屋では、数組の親子が椅子に座っていました。
けんとは、自分の席につくまでの間に気になるものを発見したのか、そこへ行きたくて全然座ろうとしません。そして大声で泣き出してしまいました。落ち着かせている間、私はほかの子の様子をチラチラと見てみました。

周り子が保護者と一緒に、大人しく椅子に座っているだけで「すごい!」と驚きました。さらに、保護者とコミュニケーションを取りながら、保健師さんとも指さしや言葉をつかったやりとりが上手にできている姿を見てさらに驚愕。

当時のけんとは言葉も出ていないうえに、指差しも全くしていませんでした。大号泣するけんとをあやしながら見渡した、周りの子の1歳半健診の模様は、とにかく衝撃的で驚きの連続でした。

ほぼ何もしないまま1歳半健診が終了

けんとの様子が少し落ち着いたので1歳半健診がスタートしました。保健師さんがけんとに挨拶をしたり、話しかけたりしても反応は薄く、保健師さんの顔を見ることもしませんでした。

保健師さんからの問いかけに、ほぼ何もしないまま1歳半健診が終了。周りの子たちとの違いに不安になりすぎて、私は放心してしまいました。

その様子を見たからなのか、保健師さんが「希望者は臨床心理士さんによる発達相談が受けられますが、どうなさいますか?」と声をかけてくださいました。待ち時間はかなりあるようでしたが、発達相談を受けて帰ることに。

発達相談から繋がっていった支援

別室で臨床心理士さんによる発達相談を受けました。
私と臨床心理士さんが、けんとが産まれてから今までの発達について話をしている間も、けんとは落ち着きがない様子。けんとは落ち着きがない様子。臨床心理士さんは、けんとの行動を観察したあと、けんとに話しかけ、いくつか質問を出しました。しかし、けんとは心理士さんの話を聞こうともしませんでした。

当時、私は次男を妊娠中。あと数ヶ月で里帰り出産を予定していたので、次男の出産を終えたあと、またけんとの様子をみていただくということでその日は終わりました。

次男を出産し1ヶ月月が過ぎた頃、けんとは2歳になりました。しかし、相変わらず言葉は出ておらず、指差しもしません。改めて発達相談をして、けんとの様子を見てもらいました。

その発達相談にて、市で行っている親子教室を紹介してもらいました。
そして年少の歳から、地域の幼稚園に通うのではなく、少人数で手厚く療育を受けられる市立の発達支援施設に通うことを親子教室の先生、臨床心理士さんなどに薦められ、通うことを決断。
親子教室や発達支援施設では発達に関する勉強会があったので参加し、けんとの特性について理解を少しずつ深めていくことができました。

今、思い返してみても、周りの子たちとの違いに驚愕しすぎた1歳半健診。あの日、発達に関する悩みがスタートした、私にとっては思い出深い1日となりました。

執筆/ゆきみ

(監修:室伏先生より)
1歳半健診でのけんとくんのご様子、ゆきみさんのお気持ちを具体的に共有していただき、ありがとうございました。
想定外の状況に、ゆきみさんのご不安や戸惑いもとても大きかったのではないかと思います。自閉スペクトラム症のお子さんの中には、普段と違う状況が苦手で、目新しいものに注意を惹かれやすかったり、不安感からそわそわしたりパニックになってしまうという子も多いものです。健診などの普段と違う環境では、なおのこと力を発揮するのが難しいかもしれません。
早い段階で療育に繋がることができたこと、勉強会への参加などを通して家族の方がご理解を深めることができたこと、本当によかったですね。またけんとくんに関する記事を楽しみにしております。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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