農地と農家をマッチング 横須賀市・JA・農業委が連携
耕作の継続が難しい農地と、農地を必要とする農家を結び付ける取り組みが横須賀市内で動き出している。市・JAよこすか葉山・農業委員会の3者に寄せられる農地の貸し借り、売買に関する相談やニーズを共有することで、マッチングをスムーズに行うもの。市ホームページに利活用可能な農地の情報を一覧化し、有効活用を図る。
今回の取り組みは、3者が今年3月に交わした連携協定に基づくもの。「耕作面積を拡大したい」「農地管理が負担」といった双方の農家の声に対応する。5月22日現在、4件のマッチングが成立。従業員の増加などを受けて農地の規模拡大を検討していた井上徹也さん(29)は、市に相談を持ち掛けたところ、1カ月ほどでマッチングが成立し、スムーズに耕作を開始できたという。
市HPで空き農地一覧
市が提供するサイト「よこすかわが街ガイド」には、市内で活用可能な農地情報をまとめたマップを新設した。地番や、田や畑などの登記上の地目、耕作状況、売却や貸付といった所有者の利用意向などを一元化することで、取得希望者は求める条件に近い農地を取捨選択できるようになっている。
「耕作放棄地」増加
全国的な課題として挙げられる耕作面積や生産量の減少。横須賀市も例外ではない。農林水産省が取りまとめた「2020年農林業センサス」によると、実際に使用されている農地面積を指す「経営耕地」は市内で約430ha(10年時点)あったが、20年には約380haに減じた。市が独自に調査した耕作放棄地の面積は、反対に増加の一途をたどる。農業者の高齢化や後継者、担い手不足といった課題もあり、3者間で認識を共有。対策案として今回のマッチングシステムを打ち出した。
市農水産業振興課は、従来より農地情報がオープンになったことに触れ「新規就農者の拡大にも有益なものになるのでは」と期待を寄せている。