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上野万太郎の「この人がいるからここに行く」 実家の“おじい”と自宅の愛猫の写真で人気になったフォトグラファー、サクねねさん

muto

Instagramで愛猫を撮り続けるフォトグラファー

今回は、愛猫2匹と暮らしながら写真をアップし続けるフォトグラファー、サクねねさんこと吉野菜百里(よしのさゆり)さんのお話。
サクねねさんは、Instagramのフォロワーは2万4千人(2024.6.25現在)で、人気の写真には数万いいね!が付くという猫好きな人たちを中心に圧倒的な支持を得ている女性フォトグラファーです。

「会社員をしながら趣味で始めた写真。そしてうちで飼っている猫を撮ってるだけなので、なんでこうなったのか私にも分かりません(笑)。どうして他人の家の猫の写真をそんなに喜んで見てもらえるのか本当に不思議です(笑)」と本人は至って冷静そのもの。

「本業は会社員なので、写真は趣味でやっています。以前、富士フイルムのサイトでXシリーズのユーザーとして取材された時も、“写真家”と肩書を付けられていたので、『それは勘弁してください。せめて、“フォトグラファー”でお願いします』ってことで、それ以来いろんな方に紹介してもらう時は “フォトグラファー”と呼んでもらっています」とのこと。確かに、写真家というとちょっと重みが違うのでプレッシャーになる気も分かりますね。
僕も過去に「UMAGA」や「muto」での取材で写真提供をお願いしたことがあるフォトグラファー、サクねねさん。今回はそんなサクねねさんの生い立ちと、作品の数々を紹介させてもらうことにしました。

18歳までは長崎県対馬市で育ったサクねねさん

サクねねさんは1978年、長崎県対馬市生まれ。高校卒業後は、とにかく「島」を出て一人で生活してみたいとの気持ちから、宮崎県の公立大学へ進学した。在学中から携帯電話販売店でアルバイトをしていたそうだが、そのまま卒業後もその会社に就職。最初の勤務地は福岡市だった。その後転勤で東京勤務になり4年間東京での生活を送ることになる。
「東京にいた頃は週末を利用して東南アジア方面へ一人旅を楽しむというのが趣味でしたね」とのこと。

しかし東京での生活はサクねねさんにはちょっと都会過ぎたようで、4年間の東京生活の後、退職して福岡で仕事を探すことにした。
転職の期間を利用して今度はちょっと長めに海外へ行ってみたいという気持ちで、「地球の歩き方」を片手に2ヵ月間バックパッカーとして東南アジアへの旅をした。今のサクねねさんのふわっとして優しく大人しい雰囲気からは、海外の一人旅など想像もつかないのでびっくりだ。

福岡で再就職した会社はまたまた携帯電話販売会社だったそうだ。「大学生の頃からずっと携帯電話の仕事に携わっているのは特に理由もなく、慣れている仕事が良いかな、と軽い気持ちで探していたら、たまたまそんな感じで、今でも携帯電話の会社で働いています」という。

カメラにハマったきっかけは30才で出会った愛猫サクちゃん

そんなサクねねさんがどうしてカメラにハマることになったのか、それは1匹の猫を飼ったことに始まる。その猫の名前は“サク”ちゃんだ。対馬の実家には子供の頃から猫がいたので、一人暮らしで猫を飼うのは必然だったそうだ。それをきっかけに、一緒に生活している“サク”を携帯電話のカメラで撮るようになったのである。

しかしである、サクが動き回るので撮れない!!じっとしていてくれないという理由だけでなく、当時の携帯電話機のカメラ機能では動き回るモノを撮るのは確かに至難の業だったろう。

「どうしたら撮れるんだろうと考えて、とりあえずデジタルカメラだと撮れるのではないかと単純に思って買うことにしました。最初に買ったのはオリンパスの一眼レフカメラでした。10万円くらいだったと思いますが、結構思い切って購入したんです」

しかしである、「カメラは買ってみたが、それでもちゃんと撮れないのですよ。もちろん、絞りやシャッタースピードなどまったく分からない頃、せいぜいピントを合わせるのが精一杯でした。これは勉強しないと無理だわと思ったんです。そこで福岡市主催の写真教室が開催されるのを知ったので、思い切って申し込みました。そのうち、そこそこにサクの写真が撮れるようになったんです。まだその頃は、こんなに写真にのめり込むとは思っていませんでしたけどね」

カメラがつないでくれた“おじい”との関係

「その後、もっと写真が上手になりたいと思って、オリンパス関係の写真教室に参加したんです。そこで実家の対馬で私が撮った撮った祖父の写真をとても評価してもらったんです。自分にとっては、なんてことないいつもの“おじい”の写真なので、どうして?と思ったのですが、それがとても嬉しくて、それ以来、年に2回くらい対馬に帰省するたびに“おじい”を撮影するようになりました」

「実家にいた猫とのふれあい風景やおじいの何気ない食事中の姿を撮影していると、そのうちおじいも撮られるのが楽しくなったみたいで、ポーズや衣装まで気を使うようになったんです。
おじいと私との企画写真みたいで楽しかったですね。人を撮るのは苦手だったのでその頃の人物写真はおじいのものだけです」

「出来の良い写真は後日プリントして対馬に送っています。孫に激アマなおじいなのですが、そんなにしゃべることもなかったんです。でもカメラや写真を通じてたくさん話したり一緒に畑に行ったりするようになりました。今ではおじいの部屋には私が撮ったおじいの写真がたくさん飾ってあります」

「高齢のために最近は昔みたいに自由に出歩けないおじいですが、帰省するたびに写真は撮っています。以前、『megane coffee & spirits』の菅原さんとイベントさせてもらった時に、おじいの写真集を作りました。おじいもとっても喜んでくれました」

Instagramで人気フォトグラファーに

自宅では最初の愛猫“サク”に加えて、その後“ねね”とも共同生活を始め、毎日撮り続ける写真は、Instagramにアップするようになったサクねねさん。もちろん、“サク”と“ねね”の写真だ。もうお分かりだろう、Instagramのアカウント名「sakunene」の意味はそういうことなのだ。
「現在は、サクとハルと暮らしています。ねねは天国にお出かけ中です」とのこと。

彼女がアップする写真はとても色合いが美しい。それがまた華美ではなく柔らかく優しくちょっとレトロっぽい色調。また垂直と水平がしっかりと出ていて構図がすっきりしているので好きなのだ。
それでは、ここからはサクねねさんの愛猫の写真を、僕とサクねねさんの会話形式で紹介していこう。

ースタジオかと思うほどのシンプルな撮影セットですよね?

「部屋のどこで猫たちがシャッターチャンスを演じてくれるか分からないので、極力部屋の中にはモノを置かないようにしているんです」

「猫と魚」モデル:ねね

ーかぶり物をしている写真が多いのは何か狙いがあるんですか?

「いや特に意味はないのですが、去年末にたまたまやってみたらみなさんの反応が良かったのでやっています(笑)」

「ほっかむり」モデル:サク

ー猫ちゃんたちがお菓子やコーヒーと一緒に撮影に協力してくれている風の写真がひんぱんにアップされていますが、猫ちゃんは大人しくしているのですか?

「最近では、ちゃんと撮られているっていうのが分かるみたいで、撮影が終わるまでじっと待っていてくれるようになりましたね。いつもって訳ではないですけどね。たまにペロっとやられてしまいます(笑)」

「茶色たち」 モデル:ハル

ーいつも思うのですが、光が良いですよね。自然光がとても柔らかくで気持ち良いです。そして猫の目が宝石みたいに綺麗に見えますよね。

「仕事が遅番の時とかに午前中に撮る時はこんな感じになりますね。窓は東向きです」

「巻き巻き」 モデル:サク

最後に

決まり文句だが、最後に「今後の夢はありますか?」と聞いてみました。

「写真やカメラに関しては、夢とか希望とか大きなものはないんですよね~。とにかくおじいとか猫とか身内の人、それから好きなカフェの店員さんや友達など、そんな人たちを自分用に記録に残しておこうと思ってやっていることなので、これからもそんな感じでやっていければいいかなぁ、と思うくらいですね」とサクねねさん。

まさに、その肩に力が入ってないフォトグラファーのオーラが、おじいにも愛猫にも伝わるんだろうなぁ。だからこそ、あんな表情をしてくれるのだろう。カメラと出会ってなければこの関係性は創りえなかったものかもしれませんね。
ということで、今回の記事はすべてサクねねさん自身のお気に入り写真のみで構成させてもらいました。しつこいようですが、僕はサクねねさんの写真が大好きなんですよね。こんな写真が撮れるのなら、ということで昔のカメラを売却してサクねねさんと同じメーカーのカメラやレンズをいくつか買ったくらいです。結論的には同じ道具を使っても同じ写真は撮れませんでしたけど(笑)

さて、サクねねさんは、今後も福岡市内を中心に時々写真展も開催されると思います。プリントした写真はこれがまた良い色合いを出しているんですよ。パソコンやスマホの画面で見るのとはまた全然違う質感なのです。その機会があれば是非、観に行ってみてください。

吉野 菜百里(よしの さゆり)
使用カメラ:FUJIFILM社製 X-Pro3、X-T4

[実績]
2020年1月 「COFFEE COUNTY STOCK」 にて写真展
2020年2月 「NIYOL COFFEE」 にて写真展
2020年6月 「stereo coffee」でのイベントに写真展示
2021年8月 「世界文化ビルFANTASIA」にて写真展
2024年2月 「Mark is 福岡ももち」主催のクリエイターズ展に参加
2024年6月 「NIYOL COFFEE」 にて写真展

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