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これがトイレ!? 東京「公共トイレを巡るツアー」が斬新すぎた【体験レポ】

ウレぴあ総研

参加の記念品

2023年12月に公開され、日本アカデミー賞でも多くの賞を受賞した映画『PERFECT DAYS』。同作品を機に誕生した、一風変わったツアーが話題を呼んでいます。

【写真20枚】これが便所!? 洗練された「公共トイレ」デザイン

それはなんと...トイレツアー!

役所広司さん演じる主人公の平山が、清掃員として掃除していたユニークなトイレの数々を実際に巡るというもの。

映画を鑑賞していない人でも楽しめるということなので、気になって「THE TOKYO TOILET SHUTTLE TOUR」に参加してみました!

「ほ、本当に楽しいのだろうか...トイレツアー...」という疑念を抱きつつ...笑。

前代未聞!? トイレを巡るツアー

「見たことがないような公共トイレが渋谷区に」をテーマとしたプロジェクトにより、16名の著名なデザイナーがデザインした公共トイレを巡る同ツアー。デザイン性や機能性など、トイレごとに特徴があります。

同プロジェクトでは「どんなにデザイン性に溢れたトイレでも汚ければ足を運ばなくなる」という点から、清掃回数を通常の3倍の1日3回にしているそう。

誰かが綺麗にしてくれているということに気づいてもらいたいという思いから、映画『PERFECT DAYS』も生まれたそうです。

そして、そんな『PERFECT DAYS』をきっかけに生まれたのが、今回のトイレツアーなのです。

ボランティアのツアーガイドと共に、西と東に分けられた8〜9箇所のトイレを巡ります。

映画を観て興味を持ち、イタリアからわざわざ参加した人もいるんだとか!

渋谷の公共トイレ巡りに行ってみた!

「THE TOKYO TOILET SHUTTLE TOUR」に実際に参加して、写真と共にそれぞれのトイレの特徴をいくつかご紹介します。

今回は、西回りコースを選択してみました。素敵な高齢のご夫婦とタクシーに乗り合いツアースタート!

これが公共トイレ!鍋島松濤公園トイレ

初っ端から衝撃を受けたのが鍋島松濤公園トイレ。なんと新国立競技場をデザインした日本を代表する建築家、隈研吾さんのデザインです。

公園に着くなり、何やら木の板の塊が目に入ります。まさかと思いつつ近づくと、そのまさかでした。

あまりのおしゃれさに「これがトイレ?!」と思わず大声を出す筆者(笑)。

男女に分かれたこのトイレは、多機能トイレと子供向けのトイレもあるという充実っぷり。子供向けのトイレの中に入ってみると、子供用の小さな便器がありました。

ありそうでなかなかないんですよね〜公共の子供用トイレって。子供の頃は公園のトイレを使うときに「落ちたらどうしよう…」と怖かった記憶もあります。公園って子供がメインユーザーなんだから、子供用のトイレがあって然るべきじゃん…とハッとさせられました。

そしてなんと言っても、おしゃれなのは外観だけじゃないんです。足を踏み入れた瞬間、「え?何これホテル???」ってくらいに、おしゃれな個室。

ここでも木がふんだんに使われていて、女性用トイレの鏡は大きめにデザインされているところも、めちゃくちゃ考えて作られていますよね…。

そして個人的な一押しポイントは、多機能トイレの壁についていた犬型のフック。

これ、犬をつないでおくことができるじゃん!と犬飼い勢で大騒ぎ。

介助犬を連れている方はもちろん、犬の散歩の時って、公園に寄ることはしょっちゅうあるし、トイレに寄りたくなることももちろんあるので、こうして個室内で繋いでおけるのはめちゃくちゃ有難い…と気づいた瞬間に拍手喝采。

さすが世界の隈研吾!

話題のあのトイレも!代々木深町小公園トイレ

次は完成時に「透明のトイレが爆誕した!」と大きな話題になった、代々木深町小公園トイレへ。

ツアーでも最も人気なトイレとのこと。

このトイレ、普段は透明だけれど、人が中に入り鍵を閉めると曇って中が見えなくなるんです。

ガイドさん曰く、「防犯性を考慮し、中に誰もいないことを一目瞭然にするため」なんだそう。(ただユニークなだけじゃなかったのか...)

実はこのプロジェクトに起用されたデザイナーは、建築家、工業デザイナー、クリエイターの3区分で選出されているんだとか。

ガイドさん曰く、建築家は背景を考慮してデザインし、工業デザイナーはトイレそれ自体に凝る。

そして、クリエイターは「こんなトイレができるのか!」と驚いてしまうようなアイデアを形にするそうです。

このトイレをデザインしたのは、建築家の坂茂さん。

公園の遊具や景観に合わせて色を組み合わせたことで生まれた、このカラーリングなんですね。

防犯性に加えて、景色に馴染むように作られたトイレだとは…説明を聞かないとわからなかった…。

中に入ってみるとびっくりするぐらい広くて、思わずうろうろ。

外からはうろうろする筆者の姿は全く様子が見えなかったそうです、すごい。

説明を受けながらトイレを見ていると、何やら楽しそうに写真を撮っている外国人観光客の方々がいました。

話を聞いてみると、映画を見てドイツからわざわざ見にきたんだとか!恐るべし『PERFECT DAYS』パワー!!

冬になると、気温の関係で透明になるのに時間がかかるんだそう。

そのため、5月まで曇ったままの仕様で運用しているんだとか。

この日は残念ながら透明な姿は見ることができませんでしたが、話題のトイレを見ることができて大興奮でした。

夏にリベンジを心に決めました。さぁ私のために透明になるのです。

トイレはおまけ?幡ヶ谷公衆トイレ

意外な発想で面白かったのは、幡ヶ谷公衆トイレ。

このトイレは唯一外国のデザイナーである、マイルス・ペイントンさんのデザインで、タイトルは「With toilet」。

そう聞くと、「え?トイレは本体ではないってこと?」と疑問に思いますが、行ってみるとまさにその通りでした。

「ひろっ!!!」とこれまた大声で驚いてしまう程、高い天井とおまけのようにコの字型に配置されたトイレ。小さく見えるトイレの扉ですが、これ、普通に成人サイズです。

というのもこのトイレ、イベントスペースとしても使えるように作られているんです。

スポットライトか?というくらいの数の照明があったり、地面には用途に合わせてポールが出せるようになっていたりと、トイレの概念を吹っ飛ばされました。

生粋の雨女で、どこにいくにしても、なんなら今回のツアーも天気が心配だった程の筆者は「この広さでこの天井の高さなら、雨が降った時に雨宿りし放題で有難い…」と感動してしまいました。

トイレの種類は、男性用トイレと多機能トイレ、そしてバリアフリートイレの3種類。いちばん左手前のバリアフリートイレの入り口には、何故か赤いサイレンが。

トイレの説明書きを見てみると、そこにも赤いサイレンがあり「非常ベル作動時はバリアフリートイレ内を確認してください」との記載がありました。

突然の体調不良はもちろんのこと、犯罪に遭った場合のSOSにもなりそうですね。

このサイレン、西回りコースでは唯一女性がデザインした笹塚緑道公園トイレや、この後紹介する七号通り公園トイレにもあるのですが、初めてここでサイレンを見た時は「この機能、全部のトイレにつけてくれ…」と目から鱗でした。

トイレで思わず大はしゃぎ!七号通り公園トイレ

一番はしゃいでしまったのが、七号通り公園トイレ。

このトイレ、なんと手を一切触れずに利用できるんです。

「いやいやいや、触れずにトイレってなんやねん」とエセ関西弁のツッコミをしながら向かうと、入り口に謎の液晶画面を発見。

なんとそこにあるQRコードを読み取ると、すべての操作がスマホで確認できちゃうとのこと…!

扉の開け閉めはもちろん、鍵の施錠やウォシュレットのお願いも可能。

トイレには声を感知する機能がついており、お店で料理を注文するかのように、スマホを確認して指示を出します。

会話できるトイレ、新しすぎる!仲良くなろうじゃありませんか!

そして一番笑ってしまったのは、なぜかBGMをオーダーできること(笑)。

しかも、かなりバリエーションが豊富。トイレジョークの交えた「腸いい音楽を流して」とか、つい言ってみたくなっちゃう(もちろん言いました)。

壁にも指示内容が記載されており、一般的なトイレのように手で触れての利用も可能です。

このトイレをデザインしたのは、クリエイティブデザイナーの佐藤カズーさん。

トイレを見に行っただけなのに「クリエイティブってこういうことかか!」「なんだこれ、やられた〜!」と、みんなで爆笑しながら発想に感服したトイレでした。

見惚れるほど美しい。西原一丁目公園トイレ

最後にご紹介するのは、個人的に一番のお気に入りの西原一丁目公園トイレ。

ここは、建築家の坂倉竹之助さんによってデザインされたトイレです。

公共トイレに関する「周辺の緑道の見通しの悪さに危険を感じる」という声を反映し、緑道を明るくして誰もが使いたくなるトイレをテーマに作られたんだとか。

扉の緑とピクトグラムが可愛いですよね。トイレは全て男女兼用になっています。

このトイレ、たくさんの植物に囲まれて景観に馴染んでいる外観はもちろんのこと、内装がとんでもなく素敵なんです!

扉を開けると、木々の影がうっすらとデザインされており、外の光や緑を取り込むデザインになっています。

しかも、日の向きによっては、実際にトイレ横に植えられている木々の影が映り込む仕組みに。筆者が参加したのは午後のツアーだったので、ちょうど西日のタイミング。

いちばん左のトイレの個室では、ゆらゆら揺れる木の影がイラストと一体化して映し出されていました。思わず視線が奪われ、みんなでじっと眺めてしまいました。(「どんな図だよ...」と思い出して、これを書きながら笑っています。)

夜は自然に馴染むように、それでいて安心できるようにライトアップされるため、また昼間とは違う顔が見られるんだとか。

防犯性とデザイン性、いつ来ても楽しめるように考え尽くされたトイレに感動しっぱなしでした。あっぱれ!

「THE TOKYO TOILET SHUTTLE TOUR」はこんな人におすすめ!

「THE TOKYO TOILET SHUTTLE TOUR」は、たくさんの洗練されたトイレを比較することで、デザインの奥深さや作り手の配慮がよく見えて、知的好奇心がかなり刺激されました。

正直、最初は楽しめるか不安でしたが、すみませんでした。大変に楽しませていただきました...。

どのトイレにも、多機能トイレが当たり前に設置されていたのも嬉しい発見。たかがトイレ、されどトイレ、しかし誰もが使うトイレ。

デザインに興味がある人はもちろん、一味違った休日の過ごし方を探している人にピッタリのツアーでした。

行けば絶対に人に話したくなっちゃいます。ぜひチェックしてみてくださいね!

「THE TOKYO TOILET SHUTTLE TOUR」基本情報

集合場所:渋谷エクセルホテル東急5階
所要時間:2〜3時間
運行スケジュール:①10:15〜 ②14:15〜 の2回
料金:4950円

(ウェルなわたし/Hiyori)

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